西川の4層特殊立体構造マットレスの使用による睡眠の質と腸内フローラ(腸内細菌叢)へ及ぼす効果
西川は、同社の研究機関である日本睡眠科学研究所と、抗加齢医学研究の第一人者である同志社大学大学院生命医科学研究科 / アンチエイジングリサーチセンター 米井嘉一教授と共同で、西川の4層特殊立体構造マットレスの使用による睡眠の質と腸内フローラ(腸内細菌叢)へ及ぼす効果について検証した。
睡眠の質に不満をもつ、軽度肥満の50~65歳の男女12名を対象に、西川の4層特殊立体構造マットレスを8週間使用し、使用開始前と使用8週間後に検査を実施。
その結果、使用8週間後に睡眠の質、および主観的な身体と心の状態が改善された。
また、腸内フローラ(腸内細菌叢)の解析では、Bacteroides属細菌および短鎖脂肪酸(SCFA)関連細菌群の割合が有意に増加し、睡眠の質が改善することで腸内環境を正常化することが認められた。
短鎖脂肪酸(SCFA)が増加すると、基礎代謝の増加、体温上昇、インスリン感受性の改善、脂肪分解促進等が期待され、より長期的に良好な睡眠を保持できれば、肥満改善に繋がる可能性が示唆される結果が得られたという。
本研究は、「Glycative Stress Research」に掲載された。
同志社大学生命医科学部/アンチエイジングリサーチセンター 米井 嘉一 教授のコメント
脳機能と腸管機能は、互いに影響を及ぼしあうことが知られ、腸脳関連と呼ばれています。今回の臨床実験では、「睡眠の質」の向上により腸内フローラが変化することがわかりました。
「睡眠の質」は糖代謝と双方向性に影響を及ぼします。例えば、「睡眠時無呼吸」があると糖尿病が悪くなり、糖尿病が悪化すると「睡眠時無呼吸」が進行し「睡眠の質」は増々低下します。腸内フローラの変化がこの二つの現象を結びつけているのかもしれません。画期的な発見だと思います。
日本睡眠科学研究所 安藤 翠氏のコメント
腸は、食べたものを消化・吸収する臓器というイメージがありますが、実は、体中の免疫細胞の約6〜7割が腸内に存在していると言われています。
さらに、腸内フローラが整うと、短鎖脂肪酸などのはたらきによってエネルギー代謝や基礎代謝の向上に繋がり、肥満の予防・改善効果が期待できます。その他にも、腸内フローラは肌の状態にも影響を与えます。
今回の試験から、日々の睡眠の質を上げることが腸内フローラの正常化に繋がることが示唆され、バランスのとれた食事や適度な運動とあわせて良質な睡眠をとることが、腸内フローラを整えるカギとなると考えます。
試験結果の詳細
試験概要
■ 被験者 : 睡眠の質に不満をもつ軽度肥満の50~65歳 男女12名
■ 試験品 : [エアーSX] マットレス(4層特殊立体構造マットレス)
■ 試験スケジュール : 試験品を8週間使用し、使用開始前と使用8週間後に検査を実施
(1) 腸内環境が改善:Bacteroides属および短鎖脂肪酸(SCFA)関連細菌群が増加
➡︎免疫能や糖代謝、エネルギー代謝等の改善に繋がる可能性を示唆
今回の結果では、睡眠の質が改善することで腸内フローラのうちBacteroides属細菌の割合が増加し、さらにBacteroides属細菌を含む短鎖脂肪酸(SCFA)関連細菌群の割合が有意に増加した。
短鎖脂肪酸(SCFA)が増加することにより、免疫能や糖代謝、エネルギー代謝の改善、更には基礎代謝の増加、体温上昇、インスリン感受性の改善、脂肪分解促進等が報告されている。より長期的に良好な睡眠を保持できれば、肥満改善に繋がることが期待される。
[腸内細菌叢 T-RFLP解析]
・Bacteroides属細菌の割合が有意に増加(p<0.001、使用前と使用8週間後を比較)。
・その他(others)に属する細菌の割合が有意に減少(p<0.01、使用前と使用8週間後を比較)。
・短鎖脂肪酸(SCFA)産生に関与する細菌※1の割合が有意に増加(p<0.05、使用前と使用8週間後を比較)。
※1 短鎖脂肪酸(SCFA)産生に関与する細菌;Bifidobacterium属、Coriobacteriaceae科、Lactobacillales目、Bacteroides属、Clostridium cluster IV (Ruminococcaceae科)、Clostridium subcluster XIVa(Lachnospiraceae科)
<Bacteroides属の特徴>
・多い場合:
短鎖脂肪酸(SCFA)産生を増強
短鎖脂肪酸:免疫能、糖代謝・エネルギー代謝の恒常性維持に好影響をもたらす。
・少ない場合:
肥満者にみられる
<短鎖脂肪酸(SCFA)関連細菌群>
短鎖脂肪酸(SCFA)産生に貢献すると報告されている細菌6種※1の合計割合が75.9%→82.1%に有意に増加。
(2) 自覚症状による睡眠の質が改善
睡眠障害の評価に用いられる「ピッツバーグ睡眠質問票」の結果では、睡眠の質、入眠時間、睡眠時間、睡眠効率、睡眠困難、日中覚醒困難、総合得点の主観評価が有意に改善された。また、起床時の睡眠内省を評価する心理尺度「OSA睡眠調査票MA版」の結果では、起床時眠気、入眠と睡眠維持、疲労回復、睡眠時間の主観評価が有意に改善された。
[ピッツバーグ睡眠質問票]
PSQI総合得点(PSQIG)が8.8 ±1.9から3.8 ±1.3に有意に改善(p<0.01、使用前と使用8週間後を比較)
[OSA睡眠調査票MA版]
「起床時眠気」「入眠と睡眠維持」「疲労回復」「睡眠時間」の主観評価が有意に改善
(p<0.01,p<0.01,p<0.01,p<0.05、それぞれ使用前と使用8週間後を比較)
(3) 自覚症状による身体と心の症状が改善
身体や心の症状の問診に用いられる「抗加齢QOL共通問診票」の結果では、以下項目の改善が認められた。
[抗加齢QOL共通問診票]
<身体の症状>
「目がかすむ」「肩がこる」「ふとりやすい」「だるい」「口渇」「食欲不振」「関節痛」「むくみ」「汗をかきやすい」「のぼせ」が有意に改善。
<心の症状>
「意欲がわかない」「幸せと感じない」「日常生活が楽しくない」「眠りが浅い」「寝つきが悪い」「くよくよする」「ど忘れする」「心配ごとでよく眠れない」が有意に改善。
Haasbroek K, et al: Glycative Stress Res 8(2):73-86, 2021.
これまでの検証結果について
これまでも西川では、同社の研究機関である日本睡眠科学研究所と、同志社大学大学院生命医科学研究科/アンチエイジングリサーチセンターの米井嘉一教授と共同で、アンチエイジングの観点から、4層特殊立体構造マットレス使用による睡眠の質への作用を検証した。
その結果、(1)成長ホルモン分泌量の増加 (2)酸化ストレスの減少 (3)HDL-コレステロール値の上昇 (4)糖化ストレスの減少 (5)心身ストレスの減少 (6)メラトニン分泌量の増加 (7)肌質の改善 (8)自覚症状による睡眠の質改善が示唆され、睡眠とアンチエイジングの関連性が裏づけられたという。検証結果の詳細は、下記ウェブサイトを参照。
■ 共同研究1 https://www.nishikawasangyo.co.jp/company/laboratory/kenkyu/02/
■ 共同研究2 https://www.nishikawasangyo.co.jp/company/laboratory/kenkyu/03/
■ 共同研究3 http://www.toukastress.jp/webj/article/2019/GS18-32J.pdf
■ 共同研究4 https://www.nishikawa1566.com/company/laboratory/kenkyu/07/
プロフィール
同志社大学生命医科学部/アンチエイジングリサーチセンター 米井 嘉一 教授
抗加齢医学研究の第一人者として、研究活動に従事するとともに、研究成果を講義、講演、著作、学会発表・論文などで日本のみならず世界に発信している。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座である同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授に就任。老化度判定ドック(アンチエイジングドック)における老化マーカーの開発と治療ガイドラインの作成に従事。2008年同志社大学大学院生命医科学部教授に就任すると共にアンチエイジングリサーチセンター教授も兼任。最近の研究テーマは老化の危険因子と糖化ストレス。
[経歴]
1958年 東京生まれ
1976年 武蔵高校 卒業
1982年 慶応義塾大学医学部卒業
1986年 慶応義塾大学大学院医学研究科 / 内科学専攻博士課程修了の後、UCLA留学
1989年 帰国、日本鋼管病院内科 / 人間ドック脳ドック室部長などを歴任
2005年 同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授
2008年 同志社大学大学院生命医科学研究科 教授 / 日本抗加齢医学会理事
日本睡眠科学研究所
日本睡眠科学研究所は、人間の睡眠生理の解明やより良い睡眠環境の開発を目指し、寝具業界と しては先駆けとなる研究所として、1984年に設立。企業・大学・研究機関とも協力して様々な 研究活動を推進。その結果は、西川の数々の画期的な寝具や寝環境の開発に活かされ、睡眠の質の向上に貢献している。
[WEB]https://www.nishikawa1566.com/company/laboratory/
構成/DIME編集部