東日本大震災を転機にクールビズが一気に普及したように、オン/オフの垣根を曖昧にしたコロナ禍はビジネスウエアに新たな変革をもたらす。自粛生活に入った直近のシーズンこそ、Web会議向けのニットジャケットなど、従来の枠を出ない提案が目立ったが、この流れにスーツ専門店のAOKIが待ったをかけた。
自社製マスクに続く新生活様式シリーズ第2弾として2020年11月に『パジャマスーツ』を発売。「自宅でくつろぎながら、仕事の時はきちんとしたい」というイエナカ需要を汲み取ったこの商品は、5月現在で累計販売数2万着を突破。スーツ=仕事着という概念をリセットする低価格・高機能スーツとして爆発的な反響を呼んだ。
〝高機能×高品質×低価格〟をモットーとするワークマンは、今年2月に同社初の機能性スーツを発表。伸縮性、撥水性、軽量などの定番機能とともに、工具入れになるポケットやフード付きの作業着に変身する両A面機構など、独自性を追求。現場作業のプロの声に応えながら、シーンを選ばない見た目と上下で税込み4800円という驚きの価格を実現、約2週間で完売した。翌4月に盛夏向けの第2弾の販売を開始するなど、新たな市場創出に猛攻をかける。
スーツ型作業着の先駆者であるWWSは、3密を回避できる通勤手段として注目を集める自転車に着目。人気セレクトショップと自転車専門店の知見を生かし、看板商品『ワークウエアスーツ』を自転車通勤者に向けに最適化した。
快適で、着回しが効き、懐にやさしく、さらにモチベーションが高まる。アクティブスーツがビジネスウエアの覇権を握る日は近い。
WORKMAN
作業服に変身する高機能スーツ
FieldCore『DotAir リバーシブルジャケット』2900円 『DotAir 2WAYパンツ』1900円
裏返すとアクティブジャケットになる両A面機構や、ポケットの袋部を引き出すと工具入れになるギミックポケットなど、作業現場に役立つ機能を詰め込んだ盛夏用セットアップ。機能素材DotAirを使い、通気性をさらに高めた。
微細な通気孔を持つ機能素材を採用。メッシュでありながら透けにくく、軽量で撥水性に優れる。
右後ろポケットを引き出すと工具入れに変身。レンチなどの長物を固定できるホルダー付き。
WWS
ツーキニスト向けに機能を更新
WWS『WWS×417 for CYCLE BASE ASAHI ジャケット』1万9580円
『WWS×417 for CYCLE BASE ASAHI パンツ』1万3200円
セレクトショップ『417 ÈDIFICE』、自転車専門店『サイクルベースあさひ』との3社コラボ。素材は伸縮性や撥水性などに優れた独自開発の「ultimex」。自転車通勤を快適にする機能を都会的なパターンに落とし込んだ。
脇下にベンチレーションを付属。ファスナーを開くことで、衣服内のムレを軽減できる。
丈の調整を容易にするアジャスターボタンをパンツの裾裏に付属。チェーンへの巻き込みを防ぐ。
AOKI
パジャマ以上&おしゃれ着未満
AOKI『パジャマスーツ(プリントジャージージャケット)』
『パジャマスーツ(プリントジャージーパンツ)』各5489円
リモート会議から休日まで対応する、TPOレスセットアップの春夏モデル。接触冷感素材のリセヨン、サラッとした肌触りのサッカー生地を新たに展開。パンツをくるぶし丈にするなど、自転車通勤しやすい作りに。
肩口や腰回りにゆとりを持たせたパターンを採用。締めつけが少なく快適に寝転べる。
ウエストに平ゴムとドローコードを内蔵。ベルトループ付きでスラックス見えするなど、きちんと感にも配慮。
取材・文/渡辺和博