経営者JP「東京大学のイメージや学歴とキャリアについてリアルな声を聞く調査」
「バカとブスこそ東大に行け!」という、主人公の弁護士・桜木健二による名言が有名な「ドラゴン桜」。6月27日には、約16年ぶりに放送された連続テレビドラマシリーズが最終回を迎えたことで話題になったが、現実世界でも、東大ブランドの威力はまだまだ健在なのだろうか?
そこで、エグゼクティブ向けの転職・キャリア支援サービスを展開する株式会社 経営者JPではこのほど、エグゼクティブ男女約2,000名(有効回答数 92名)を対象に、東京大学のイメージや学歴とキャリアについてリアルな声を聞く調査を行った。
東大ブランドの威力はまだまだ絶大
「できるものなら東大に行きたかった」と思いますか?と伺ったところ、「はい」が47.6%、「いいえ」が52.4%という結果になった。約半分の方は「東大に行きたかった」と回答、いまだ学歴社会の残る中、東大ブランドの威力はまだまだ絶大のようだ。一方で、「いいえ」と回答した方も半分以上をしめており、以下のような意見が寄せられた。
<「はい」に関するコメント>
・日本のトップだから、日本で最もレベルの高い人間が集まるから
・注目してもらえやすい
・社会的ステータスがある。周囲からの自分を見る目が違うから。信用も比較的得やすい
・人生の選択肢が増える可能性があるから。多様な考え方や生き方を若い頃から感じとることができそうだから
・東大にいる人は、自分と同じかそれ以上の努力をしたのだろうと推測できるから
・研究の質(教授陣・設備)、量(研究費等)ともに、日本では突出したものが確保されているから
・優秀な方との交友関係が作りやすい。東大卒の様々なネットワークを活用させてもらえる
・多彩な人材がいる。将来重要な職務をしているであろう人たちと学生時代に知り合えるのは価値がある
・学内で彼女・配偶者候補に出会える可能性がある
・環境は人に大きな影響を与えるものだと考えているので、その環境を体験してみたかったため
・一定以上の大学でないと出会えない世界の方がいると思うから(家柄、才能、人間性など)
・教養課程があり、リベラルアートを学べるから
・あらゆる分野での研究が進んでおり、今は東大発スタートアップも多く、VC立ち上げなどでスタートアップ支援もやっているため
<「いいえ」に関するコメント>
・学歴で不便を感じたことがないため
・卒業した大学で満足。自分の出身大学でも充分、日本では一目置かれる大学(私学)だから
・必ずしも将来を約束される要素の1つとして、学歴が優先されなくなってきたため
・東大卒を採用すればよいとの企業風土、世の中の風土がダメだと思う
・社会に出て数年経てば、あまり東大を出たメリットは感じられないと思うから
・学力が全てでないから。学歴と評価に相関関係をそれほど感じていないため
・実社会で東大卒の学歴は最初だけ。「学歴」ではなく「学習歴」が大事だと明確に感じたため
・ビジネスの世界は実力勝負なので、学歴は関係ないと思う
・世界のランキングから見て、東大は決して上位ではない
・海外に行って通用する大学ではないから。アイビーリーグを目指した方が、ワールトワイドに人脈ができる
・東大出身者を多く知っているが、単に受験に受かっただけで、在外中やその後、パッとしない人が多い
・東大出身者が仕事ができるとは限らない
・自分の周りの東大進学希望者で、友達になりたいと思うような同級生はいなかったから
・在学中、東大生と交流あったが特段違うとは思えなかった
・自分が行きたい大学そして学部が他にあったから
・京都大学でとてもよい刺激を得られたから。少しでもノーベル賞に近づきたいのであれば京大に行きたいし、イグノーベル賞を狙いたいのであれば大学はどこでもよい
・大学はツールであって、目的ではないから。大学より、どんな学部を選んで学びたいか、の方が重要と思うから
東大出身者「東大に行ってよかった」と100%の回答
東大出身者に「東大に入ってよかったと思いますか?」と伺ったところ、すべて人が「はい」と回答した。その理由について伺うと、あらゆることへの選択肢・環境・質の高さ、ブランド力を評価する声が多く上がった。
<コメント>
・あらゆることの選択肢が広がるから
・より多様な考え方や生き方を若い頃から感じとることができそうだから
・まわりの環境や付き合っていく人が違ってくると思うから
・東大というステータスは一定程度、存在しているから
・大企業での出世が早い
・研究環境が国内で最も優れている
・良くも悪くも注目してもらえやすい。信用も比較的得やすい。東大卒の様々なネットワークを活用させてもらっている
・無駄な競争が不要となる
・東京大学でよき友人、先輩、後輩に恵まれたから
・「東大」というブランドで様々な機会を得ることができたから
・学歴を気にせずに生きられるようになった、という点では意味があったと思う
・すばらしい友人や教授に出会えた。自分で思う以上に信頼獲得につながっている
東大出身者のイメージは「要領が良く、情報の整理が早い」
「東大出身者のイメージを教えてください」と具体的に伺ったところ、頭脳明晰はもちろんのこと、努力できる才能がある「地頭がよく、課題解決能力に長けているなどの声があがった。
<コメント>
・他の人が見えていない角度からものを見ることができる
・地頭が良い、頭脳明晰で理解が早い、エリート志向が強い
・勉強がよくできる。努力をできる才能がある
・与えられたことを要領よく行う
・タスク処理能力と構造化スキルとコミュニケーション力が高く、ビジョンを持たない。いい意味でも悪い意味でも日本式教育をしっかり受けてきた学生が多い印象
・最近の20~30代の卒業生は勉強だけでなく、いろんなことにもチャレンジしている
・バランスよく広範囲の学習ができる。その知識を組み合わせて課題解決することができるとイメージ
・頭が硬い、コミュニケーション能力がない。地頭が良い
・人生で運に恵まれないときもあるが、その時でも自分を信じていられる
・地頭がよいが人付き合いが苦手
東大卒の同僚・部下は賛否。強みは「課題解決能力が高く、地頭が良い」
「東大卒の同僚・部下と聞いて、良いイメージを持ちますか?」と伺うと、半分以上の方が「はい」と回答した。その理由としては、以下のような意見が寄せられた。課題解決能力が高く、地頭がよい、のみ込みが早いなどがあげられた。一方で、もともと東大卒ということで周囲の期待が大きいだけに、失望を感じた人も比較的多くいるようだ。
<「はい」に関するコメント>
・経験上、仕事が鋭く出来た、優秀な人が多かった
・東大に入るまでの努力や根性、結果を出す力がある。受験勉強をやりとげた「実績」
・頭脳明晰、頭の回転がはやい、自頭がいい、情報を処理するスキル
・問題解決スキルの高さ
・学習能力の高さ、のみ込みの早い、インプットスキルが高い
・物事の本質を捉える事が出来る
・知識の豊富さ、自分に持っていないものを持っているから
・学習環境が整っていないと、東大には入れないため、良い環境で育ったと推察される
・自分のビジョンを持たないタイプが多い。人脈「能力がないので」という言い訳を聞かずに済む。尊敬する
<「いいえ」に関するコメント>
・出身大学で人の良し悪しは分からない
・人物を見て会話して判断するから、大学がどこであっても関係ない
・学歴ではなく、その人を見たいと思うため
・大学時代に何を考え、学び、取組んだが大事だと思う
・学歴より実務重視なので
・実際に採用した東大卒で、あまり良い経験がなかったから
・人間的に魅力的な人が身近には少ないから。仕事ができるかどうか次第
・なかには鼻につく態度の人も見かける、選民観をもっているのを感じる、扱いにくい、プライドが高い
・真面目すぎる
・自分の意見を通しそう、柔軟性に欠けている
・地頭は良いが要領は悪い。気が利かない人が多いから
・勉強はできるけれど、その他の能力、コミュニケーションや生活力、人間的魅力、チームワークが得意などの保証はないから
・頭でっかちの印象があり、仕事ができるイメージがない、意外と使えなさそう
・地頭や発想力に乏しい
親は必ずしも自分の子供を「東大に行かせたい」と思ってはいない?!
「ご自分のお子様を東大に入れたいと思いますか?」と伺ったところ、「はい」と回答した方が46.5%、「いいえ」が54.5%となった。意外にも半数以上エグゼクティブは、子どもを「東大に行かせたい」とは思っていないことがわかった。
<「はい」に関するコメント>
・良い環境で勉強できる。現状では、東大の学歴は一目置かれるし、明らかな差がある
・将来の選択肢を広げることができると思うし、多様な価値観にふれることができそう
・やりたいことが明確になるまでは、学問を究めてほしいから
・いけるものなら、いったほうがいいと考えるから
・信じられる友人に恵まれたので、同じ環境においてやりたい
・何事においても、チャレンジできる「資格」となる。どの大学を卒業したかで、チャンスを閉ざされることがあり得る
・就職に有利
・東大生として関われる世界も選択肢に入れられるため
仕事で結果を残すためには学歴は大切
「仕事で結果を残すためには学歴はあったほうが良いと思いますか?」と伺ったところ、「はい」と回答した方が78.5%、「いいえ」が21.5%となった。過半数以上のエグゼクティブは、仕事で結果が残すために、学歴が必要だと思っていることがわかった。
出身大学を信頼性のあるフィルターだと考えている企業は多い
「企業内で出世するためには、高学歴が有利だと思いますか?」と伺ったところ「はい」と回答した方が71%、「いいえ」が29%と、過半数以上が「学歴社会である」と思っていることがわかった。社会に出れば実力勝負と言われているが、「学歴フィルター」なるものはまだまだ根強いようだ。
「学歴よりスキル重視」はウソ!? 厳しい企業の本音
「自社の社員を採用するときに学歴は気になりますか?」と伺ったところ、「はい」と回答した人が66.7%と最多。一方で、「いいえ」と回答した人は33.3%となった。中途採用は「学歴よりもスキル重視」をうたう企業は多いが、やはり出身大学は気になるようだ。
<「はい」に関するコメント>
・何を学んできたのかは把握したい
・確率的に上位学群の方が優秀な方と出会いやすいため
・努力出来るのかどうかの一つの指針となる。基礎力の目安
・基礎力が高い。学ぶ習慣がついている。教えなくても理解できる
・大卒の自分と重ねて考えやすい
・今までの人生観がそこにある程度は現れると思うから
・仕事で最低限必要な能力と受験で高得点を取る力とは類似すると考えるから
・学校で何をしたかが大事で、コツコツ努力をした結果が学歴につながったので有れば、評価に値するから
・経済的な理由などがなければ、同じ受験勉強の時間の中でより効率的に勝つための方法を考え、やり切ることができた人だと思うから
■経営者JP総研所長(経営者JP 代表取締役)井上和幸氏のコメント
総じて「東大に行くこと・高学歴であることは有利である」という経営者・エグゼクティブの皆さんのご意見となりました。
「出世には高学歴が有利」「自社採用で学歴は気にする」ともに70%前後。これについて、やはり学歴ブランド志向は根強いのかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、なぜそう思われるのかの理由を見てみれば、「課題解決能力」「本質をとらえる目」「のみ込みの早さ」などを持ち合わせている方ということで、見ているのは学歴そのものというよりも東大出身者・高学歴者が「どのようなものを持っているか」から出た結果と拝見しました。(もちろん、ネガティブな印象をお持ちの方もいらっしゃいますが。)
一方で、「子供を東大に入れたいか」について半々という意見となったことも興味深いですね。「ドラゴン桜」では桜木建二がこう言いました。「東大に入るために絶対に必要なこと。それは東大を受けることだよ。受けなきゃ受からない。やらなきゃなにものにもなれない。要ははじめに受けようと思うかどうか。そして勉強するかどうか、この違いだけだ」。親がどうこうではなく、本人が東大に入りたいと思い、そのために必死に勉強する。そのことこそが、社会に出てからも主体性、当事者意識の強い人間を育むことは間違いなさそうです。
<調査概要>
・実施期間:2021年6月16日〜2021年6月20日
・調査対象:経営者及び人事にかかわる男女
・調査機関:経営者JPメルマガ会員:約2,000名(有効回答数68名)
・調査手法:インターネット調査
出典元:株式会社経営者JP
構成/こじへい