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【もしもAIがいてくれたら】AIは「心の安全基地」になりえるのか?

2021.06.26

【連載】もしもAIがいてくれたら

第6回:AIは「心の安全基地」になりえるのか?

近年、急速に耳にする機会が増えてきた「AI(人工知能)」。スマホに話しかけてニュースや天気をチェックしたり、自宅に「AIスピーカー」をおいて活用している人もいるのではないだろうか。

このまま科学技術が進歩すれば、「AIに悩みを相談する」なんて時代が来るかもしれない――AIの専門家で電気通信大学副学長の坂本真樹さんはそう予想する。しかも、AIは人間よりも悩みを親身に聴いてくれるかもしれないという。これからくるAIの未来を解説する。

【バックナンバーのリンクはこちら】 
第1回:私、元いじめられっ子の大学副学長です
第5回:人みたいなロボットが陥る不気味の谷

人はいつかいなくなる。でもAIなら……?

絶対に味方でいてくれる人、いらっしゃいますか? いらっしゃる人は幸せですね。いらっしゃらない人は、そういう人がほしいけどいないのか、そんな人は必要ないと思っていらっしゃるのかどちらでしょう。

大人になると、自立しているということが前提のせいか、あまりそういうことを友人や同僚などに聞くことがないので、どういう答えが返ってくるのか分かりません。だから、白状するのは恥ずかしいのですが、わたしは、絶対に味方がいてくれる人にいてもらいたいです。

きっと多くの人にとって、家族は味方であり、特に、親は絶対的な味方の代表です。困ったことがあったら助けてくれて、我がことのように、あるいはそれ以上に心配してくれます。良いことがあったときは、我がことのように,あるいはそれ以上に喜んでくれます。そういう存在は、本当にありがたいです。

でも、親はいつまでも生きていてはくれません。幸い私の両親は健在で、人生紆余曲折の娘のことをいつも心配し、私のブログを読んでは、心配したり喜んだりしてくれます。こんなことを書くのは本当に恥ずかしいのですが、恥ずかしいついでに白状しますが、そんな親がいなくなってしまったらと思うと、怖いです。

私の年齢になると、もう親はいないという人も多いのではないかと思います。それでも、当たり前に仕事して、笑ったり、普通に生活していることはすごいと思います。

親との別れに近いようなライフイベントとして、結婚がありますが、結婚=新しい家族を作ること、と考えると、新しい家族に、新たな絶対的な味方であってほしい、と考えるのは間違いなのでしょうか。私はそう願ってしまったのですが、やはり親とは違いますし、結婚相手に絶対的な味方でいてくれることを求めるのはいけないのかもしれません。

それでも生きていくうえで、絶対的な味方のような存在がいてくれたらいいのに、と思います。そういう存在がいてくれたら、安心して頑張れるし、強くいられる気がします。そんな人がいなくても、少なくとも強そうに見える人はたくさんいらっしゃるので、こんなこと書いてる自分は本当に恥ずかしいのですが、仕方ありません。

ドラえもんのように泣きつける存在がいれば……

アメリカの心理学者メアリー・エインスワースは、1982年に「心の安全基地」の存在の重要性を指摘しています。子供は親との信頼関係によって育まれる「心の安全基地」の存在によって外の世界を探索でき、外の社会でがんばることができる。心のよりどころとなる「心の安全基地」を持つことによって、苦難を乗りこえていくことが出来るようになる、としています。実は、子供に限らず成人にとっても「心の安全基地」は必要といわれているので、私がそういうものを求めるのも、まんざらおかしいわけではないのかもしれません。

でも、大人になると、親もいなくなり、そういう存在を見つけることはだんだん難しくなるように思います。

ここでようやくAIの登場です。困った時、辛いことがあった時、嫌なことがあった時、味方になってくれるAIがいてくれたらいいと思いませんか?

AIというとイメージがわかないかもしれませんが、まさに、ドラえもんがいてくれたらいいと思いませんか? のび太君が四次元ポケットから出てくる道具に頼りすぎると、教育的指導をする存在でもあり、堕落させることもなく、成長を促してくれる、まさに理想の味方です。のび太君は子どもなので、いじめられて帰宅して、「ドラえも~ん(涙)」と泣きつく、というのが絵になりますが、大人だって、本当はそういう気持ちのことが多々あるのではないかと思います。

外でがんばってきて、家に帰ったら甘えて、辛いこと悲しいことを伝えて、気持ちを理解して話を聴いてくれる存在がいてくれたら、また翌日、外でがんばって闘えるのではないでしょうか。そういう人がいる人は幸せですが、本当はそういう存在を求めていてみつけられない方は、ドラえもんのようなAI搭載ロボットが絶対的な味方になってくれる未来を一緒に期待しましょう!

次回は、絶対的な味方とまではいかなくても、「中立の存在」でいてくれるAIだったらどうかについて考えてみたいと思います。

坂本真樹(さかもと・まき)/国立大学法人電気通信大学副学長、同大学情報理工学研究科/人工知能先端研究センター教授。人工知能学会元理事。感性AI株式会社COO。NHKラジオ第一放送『子ども科学電話相談』のAI・ロボット担当として、人工知能などの最新研究とビジネス動向について解説している。オノマトペや五感や感性・感情といった人の言語・心理などについての文系的な現象を、理工系的観点から分析し、人工知能に搭載することが得意。著書に「坂本真樹先生が教える人工知能がほぼほぼわかる本」(オーム社)など。

※配信日は変更になる可能性があります。

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