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お盆の法要に行くことになった場合、お盆の香典はいくら包むのがよいのか、どう渡せばよいのかなど、基本的なマナーが分からないと戸惑ってしまいます。いざというときに困らないよう、香典の相場やマナー、渡し方などを確認しておきましょう。
お盆の香典とは
そもそもお盆の香典とは、どういうものなのでしょうか。お盆の種類から再確認し、お盆の法要への参列に備えましょう。
お盆は2種類ある
お盆には2種類あるのをご存知でしょうか。四十九日後に初めて迎えるお盆と、2年目以降のお盆です。初めて迎えるお盆を初盆(はつぼん)、地域により新盆(にいぼん・あらぼん・しんぼん)と呼び方が違いますが同じ意味です。
初盆で故人が初めて家に戻るため、一般的に初盆の法要は2年目以降より盛大に行う傾向があります。僧侶を呼んで読経してもらったり、故人に縁のある人で会食したりするのが例です。
お盆の法要として必ず行うのは初盆だけで、2年目以降は家庭によって差があります。毎年法要をする家庭もあれば、数年に1度の家庭もあります。いずれにせよ、初盆に比べると小規模です。
法要には香典を持参するのがマナー
一般的に、お盆の法要には香典または御提灯代を持参するのがマナーです。かつてのお盆には、盆提灯を贈る風習がありました。しかし、近年では香典として現金を包むことが多くなりました。地域や家庭によって、今でも盆提灯をお供えする場合があります。
現金を用意するときは、その地域に住む親戚や身内に確認するとよいでしょう。ただし、以下のような場合は香典を用意する必要はありません。
- 盆提灯を贈る場合
- 「香典はいらない」と遺族に強く言われた場合
- 法要を行わない場合のお盆参り
香典の相場
お盆の法要に参列するときに、香典の金額で迷う人もいるでしょう。香典の相場は、宗派や地域によっても異なります。分からないときは周囲に確認し、参列する法要に合った準備をしましょう。
相場はいくら?故人との関係、立場の違い、マナー、今さら聞けない香典の豆知識
初盆と通常のお盆で相場が違う
初盆と通常のお盆で違いがあるのは、香典の相場も同じです。基本的には初盆の香典の方が、相場は高額です。
故人との関係や年齢でも香典の相場は異なりますが、初盆で5000~1万円、2年目以降で3000~5000円が相場です。実の親子や兄弟など、特に故人と近い関係の場合は、1万~3万円ほど包むこともあります。
仏事にあたるお盆では、包む金額が高過ぎてもよくありません。とはいえ、地域や家庭の宗派によっても考え方は異なります。特に初めてその家庭の仏事に参列する場合は、事前に周囲に確認すると安心です。
会食費用も包む
法要後には、会食が行われることがあります。会食に参加する場合は、会食費用も併せて香典に包みましょう。
追加費用はお膳代相当で、3000~1万円が相場です。ただし、家族で参加する場合は人数分の食事代を含むよう、相場より多めにお金を用意しましょう。
ただし、会食にも地域や家庭のルールがあるかもしれません。会食に参加する場合は、会食費用についても確認しておくとよいでしょう。
香典袋の選び方と書き方
香典の金額と同様に、香典袋の書き方も宗派や地域によってさまざまです。分からないことは周囲に尋ねたり調べたりして、参列するお盆の法要に合った香典袋を用意しましょう。
香典袋の選び方
香典袋には、黒や白の水引が付いたものを選びましょう。香典袋は不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)とも呼びます。熨斗が付いておらず、2度と繰り返さぬよう結びきりになっている水引が香典袋の特徴です。
香典袋の水引には白黒や青白、青灰などがあります。水引の違いは、香典袋に包む金額の違いです。1番金額が少ないのは、水引が印刷されている香典袋で、約5000円を包みます。
水引の左右両方に銀色があしらわれた水引は双銀と呼ばれ、包む金額は3万円以上です。関西では黄銀や黄白の水引を使う地域もあるため、香典袋を買う前に親族に確認するとよいでしょう。
表書きの書き方
香典袋の表書きには、いくつか種類があります。『御供物料(おくもつりょう)』は、宗教や宗派を問わず使用可能です。『御霊前』も一般的ですが、浄土真宗と曹洞宗では使えません。御提灯代を包む場合は、『御提灯代』と書きます。
氏名は水引の下にフルネームで記入します。夫婦連名の場合は、中央に夫の氏名、その左に妻の氏名を書くのがマナーです。
連名で香典袋に氏名を書くのは、代表者を含めて3人までに留めましょう。4人以上になるときは、代表者のみ氏名を記入し、その横に『同志一同』と書きます。代表者以外の名前は別紙に記入し、同封するとよいでしょう。
薄墨ではなく黒墨で記入
お盆の法要に持参する香典袋は、薄墨ではなく黒墨で記入しましょう。
通夜や葬儀では、薄墨で香典袋を書くのがマナーです。突然の訃報への悲しみから、『涙で墨が滲んでしまった』という意味があります。しかし、お盆の法要はあらかじめ分かっていた予定のため、薄墨で書く必要はありません。
薄墨と濃墨の使い分けは、四十九日を迎えたかどうかです。四十九日の前までは薄墨で、四十九日法要からは濃墨で記入するのがマナーです。以上から、初盆でも香典袋の記入事項には濃墨を使いましょう。
知っておきたい香典のマナー
香典では押さえておくべきマナーがいくつかあります。基本的な袋の選び方や書き方だけではなく、包むお札の選び方といった細かな部分までしっかり確認していきましょう。
新札は避ける
香典袋に包むお札は、通夜や葬儀と同様に新札は避けるのがマナーです。このマナーには『突然訃報で慌てて香典を用意した』という意味があります。お盆の法要は事前に分かっているため、新札を使っても構わない、とする考えもあります。
とはいえ、香典袋に新札を包むのは一般的ではありません。新札しか手元にないときは、自分で軽く折り目を付けて香典袋に入れましょう。
香典袋に包むのは、ある程度使用感があって、なおかつきれいなお札が正解です。しわくちゃのお札や汚れたお札、破れているお札は遺族や故人に対して失礼にあたるため避けましょう。
忌み数の金額は避ける
一般的に初盆で用意する香典の金額は、3000円・5000円・1万円が一般的です。ルールとしては、『忌み数の金額を避ける』があります。忌み数とは、不吉・不幸などをイメージさせる数のことをいい、4(死)や9(苦)が代表例です。
加えて、偶数の金額がタブーとされています。これは仏事に限らず慶事も同じです。2で割り切れる偶数は、『つながりを切る』ことをイメージさせるといわれます。
地域によって偶数の金額でも問題ないケースもあるようですが、一般的なマナーの観点からすると奇数で用意した方がよいでしょう。
お札の入れ方
お札を複数枚入れるときは、必ず向きをそろえておきましょう。肖像画は香典袋の表側を向き、縦長の封筒で底側に肖像画が来るようにします。
香典に5000円を包む場合、1000円札5枚でもマナー上は問題ありません。ただし、1000円札10枚や5000円札2枚で1万円を包むのはNGです。お札の枚数が偶数になるからです。
もし香典袋に中袋があれば、現金は中袋に入れましょう。なければ直接香典袋に現金を入れて構いません。中袋を使う場合は、金額は『金●●圓』と書き、数字は壱・弐・参などの『大字(だいじ)』を使いましょう。
香典は袱紗に包んで渡す
お盆の法要に参列するとき、香典は渡すまで袱紗(ふくさ)に包むのがマナーです。自宅に袱紗がない人も、会場に到着するまでに購入しておきましょう。
仏事には、紺や緑などの寒色や、グレーのような無彩色の袱紗が適しています。赤やオレンジなど暖色の袱紗は慶事用です。紫は性別を問わないだけでなく慶事にも使えるため、迷ったら紫を選べば失敗しません。
会場で袱紗を開くのは、相手に香典を渡すときです。相手が表書きを読める向きで開いた袱紗の上に、香典袋を置きます。お悔やみのあいさつをして一礼し、「御霊前にお供えください」と一言添えてお香典を渡しましょう。
構成/編集部