配線不要で耳が痛くならないaddSound
バイクでスマホを活用するなら、Bluetoothインカムが欠かせない。ナビの音声案内や、音楽再生、音声アシスタントの利用など。音を聞くためにはBluetoothスピーカーが、声を拾うにはマイクが必要である。この両方に対応したのがBluetoothインカムだ。
インカム機能を使えばライダー同士の通話もできる。しかし、通話は原則同じ機種同士で、人数制限があり、到達距離が短いなどの弱点があった。さらにヘルメットにスピーカーを後付けするため、配線が面倒、耳が痛い、音が近くてうるさいといった問題が発生。これらを解決したのが「addSound」である。今回、専用マイクが発売されたのでその使い心地をレポートしたい。
骨伝導を使ったサウンドシステム
最近、ながら聞きが出来るとイヤホン業界でも注目の骨伝導を採用したのが、私も愛用中のaddSoundである。骨伝導と言っても人間の骨ではなく、ヘルメットの筐体自体を振動させて音を出すシステムだ。そのためなんとなく定位が曖昧だったのだが、アプリのアップデートによって「広がり感」という機能が使えるようになった。これを使うと音がヘルメットの後方から側方、前方定位に補正できる。
さらにヘルメット専用のイコライジングであるBikeに、疲れているとき用のBike2が追加された。これは高域が耳に優しい特性でツーリングの帰路など疲れた時に適したモードなのだ。そして、別売で専用マイクが登場、電話の受話はシングルタップ、ヘルメットを2回タップするとSiriやGoogleアシスタントが起動するようになった。
これで今まで使っていたBluetoothインカムは不要になる。内部の配線もいらなくなってヘルメットの耳元もスッキリした。邪魔だったインカムとマイクもなくなりヘルメットも持ちやすい。
今まで使っていたBluetoothインカムはマイクが大きいがノイズを拾って役に立たなかった
配線を固定したのでインカム不要の時もマイクを取り外せなかった
LINEグループ通話でインカムは不要になった
ツーリング中に仲間と会話がしたいというニーズに応えて様々な通信機器が登場してきた。私は意識高い系のBMWのツーリンググループに参加したくて、アマチュア無線4級の資格を取って、ハンディ無線機まで購入したのだが、男同士で話すことと言えば、トイレ休憩したいから次のSAに寄りたいとか、そろそろガソリン入れたいなど色気のない話ばかりだった。
女子も加わるツーリングではBluetoothインカムで会話を試みるが、メーカー違いでペアリングできないとか。一度に会話できるのは3台までとか、ワインディングで見えなくなったら、音声切れるとか。結局信号待ちで止まった時ぐらいしか通話できなかった。
これを全て解決してくれたのがスマホで使えるLINEグループ通話である。一度に通話できるのは500人までとほぼ無制限。電話回線を使わないインターネット通信なので、つなぎっぱなしでも料金を気にしなくていい。さらにどんなに離れても通話可能。帰宅報告までできる。スマホとインカムを結ぶ近距離のBluetoothシステムがあればOK。つまりaddSoundに最適なのだ。
低音の量感を求めるなら取り付け位置はヘルメットの下側がオススメ
ゲインが大きすぎて、この位置にマイクを付けたのだが後に変更した
LINEグループ通話はハッキリ聞こえ実用性は充分
通話機能をテストするために自宅の妻のiPhoneとLINE通話を接続したままDUCATI Monster M900ieで近所を走行した。理想はバイク同士の通話なのだが、それは次の機会に試したい。まず、一般道なので音楽再生も楽しめた。広がり感は2でイコライザはBikeを選択、ヘルメット全体がスピーカーなのでワイドレンジは望めないが、歯切れはそんなに悪くない。まあ、私の場合、音楽再生が目的でないので不満はない。
LINE通話に関しては、こちらの声にはノイズが乗るけど聞こえるとのこと。バイクがノイズ源になっているようだ。向こうの声は音楽よりハッキリ聞こえる。全く問題なくスマホのスピーカーフォン機能を使って通話している感覚だ。阿佐ヶ谷から荻窪方面に青梅街道を走るが、楽天モバイル回線の問題でLINEが途切れたこと以外、快適に通話できた。これならツーリングでも使えそうだ。苦節何十年もかかったツーリング中に仲間と通話するという夢がようやくかなう時がやってきたのだ。
専用アプリに、広がり感が加わりイコライザの項目にBike2が増えた
写真・文/ゴン川野