
「このパソコンはパフォーマンスが良い」「彼の行動はパフォーマンスに過ぎない」「今日はなんだかパフォーマンスが発揮できないな」など、日本語でもすっかりと定着してきたパフォーマンスという言葉。この言葉は、その時々のシーンや前後の文脈によりニュアンスが異なるため、それぞれの意味を理解しておかないと話が噛み合わないこともある。
そこで本記事では、パフォーマンスの意味を語源からわかりやすく解説したい。元の意味を理解しておけば、間違った使い方をして恥をかくこともないはず。ぜひこの機会に正しい意味を理解しておこう。
そもそもパフォーマンスとはどんな意味?
スポーツやエンターテインメントの場で使われる機会の多い「パフォーマンス」という言葉は、近年ビジネス用語としても定着してきた。では、そもそもパフォーマンスとはどのような意味の言葉なのだろうか。その由来から見ていこう。
英語の「performance」が由来
日本語のパフォーマンスは、英語の「performance」に由来する。語源は「per(徹底的に)+form(形)+ance(もの、こと)」が組み合わさったもので「徹底的に形にすること」を表現する言葉だ。英語では、「上演、演奏、出来栄え、成績、(機械の)性能」といった意味で使われる。
日本語でも同様に、「1)演劇や音楽などを『上演すること』またはその『演技』」「2)人目を引くためにする行為そのもの」「3)性能、機能、効率」と、英語とほぼ同じような意味で使われる。
ビジネスシーンで使われるパフォーマンスは「性能、成果、価値のこと」
ビジネスシーンにおいて、決められた時間の中で最大限の成果を上げることは重要な要素の一つ。この最大限の成果が挙げられたかどうかを「パフォーマンスが発揮できた」「仕事のパフォーマンスが落ちた」と表現することも多い。
ITの分野ではコンピューターやネットワークシステム、または商品がどの程度性能なのか、そしてどれくらい成果を発揮するのかを指す言葉として使われている。身近な例でいうと、CPUやメモリなど、処理の速さや作業の効率性を表現するのに用いられるのが一般的だ。
またマーケティング業界では、「他社製品と比べ、自社製品がどのような性能・価値を持っており、それを顧客にどのように伝えるのか検討する」という意味もあり、販売している製品の性能や価値を指すことが多い。
パフォーマンスの関連語
正しい意味を理解したところで、次に「パフォーマンス」に関連する言葉、またその類義語について見ていこう。特にコストパフォーマンスやベストパフォーマンスなど、形容的な言葉と組み合わせて用いられる場合の使い分けに注目してほしい。
コストパフォーマンス
日本語で表現すると「費用対効果」とも表現される、コストパフォーマンス。あるものが持つコスト(費用)とパフォーマンス(性能)を対比させた度合いを表す言葉だ。コスパやCPと略されることも多く、昨今では「あのお店はコスパが良い」「この製品はコスパ最高!」など、あらゆるシーンで使われている。
ベストパフォーマンス
パフォーマンス(性能・成果)の中でも「最良のもの」を指して使うのが、ベストパフォーマンスという言葉。英語でも「best performancence」と用いられるこの言葉は、日本よりも英語圏でのビジネスシーンで使われることが多い。「今度のプロジェクトを成功させるために、各自ベストパフォーマンスで臨もう」など、最高の状態で物事に取り組むときに使ってみよう。
類義語とそれぞれのニュアンスの違い
最後に、パフォーマンスと意味が違い類義語と、それぞれ微妙に異なるニュアンスについて紹介する。シーンごとに最適な言葉選びをしてほしい。
ショー(英語:show)
音楽や舞踊を中心とした視覚的要素の強い芸能を指し、「ミュージカルショー」や「トークショー」のように使われる。パフォーマンス自体にも「演じること」という意味を持っているが、比較すると「ショーの場で行われること」をパフォーマンス(演奏や舞踊)と表現するのが一般的だ。
大言壮語
日本では、実力以上に大きなことを言うことを「大言壮語」という。政治家や表に立つ人に対して使われることが多く、「あの発言はパフォーマンスに過ぎない」というように用いられる。これは「パフォーマンス」という言葉が持つ、「性能」や「演技」という意味ではなく、「人目をひく行為」の部分を指して使われている表現だ。
どちらも使う場面を間違えると、自分が恥をかいたり相手に不快な思いをさせてしまったりすることもあるため、しっかりと意味を使い分けて使用してほしい。
文/oki