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リストラの語源「リストラクチャリング」とはどんな意味?

2021.04.03

新型コロナウイルスの影響から、昨年から大企業の人員削減や希望退職募集のトピックがニュースになることが多い。日本ではこうした人員整理のことを「リストラ」と呼ぶが、実はリストラの語源である「リストラクチャリング」には、別の意味もあるのを知っているだろうか。

本記事では、意外と知られていない「リストラクチャリング」の本来の意味や、具体的に何を指す言葉なのかを詳しく解説する。

日本では略語「リストラ」が有名なリストラクチャリング、本来の意味は?

冒頭でも触れたように、「日本では従業員を退職させること=リストラ」とのイメージが定着しているため、どちらかと言うと〝ネガティブな言葉〟として認識されている。しかし、リストラクションの本質は必ずしもマイナスのことばかりではなく、むしろ企業経営における大切な要素を含んでいる。

リストラクチャリングは「再構築」を表す

リストラクチャリングの語源は、同じ読み方の英語「restructuring」。「~を構成し直す、作り直す」を意味する「restructure」の現在分詞で、日本語では「(企業の)再構築、構造改革」と訳される。

欧米ではこの意味の通り、企業の成長や企業価値向上のために「業務の再構築」や「企業全体の構造改革」を表す言葉として用いられている。改革手段の一つとして人員整理も含まれているが、日本のように中心的な意味合いではない。

日本でリストラクチャリングが広まったきっかけ

日本で今のように「リストラ」が定着したきっかけは、1990年代初頭のバブル崩壊であると考えられている。不景気の突入にともない企業の業績が悪化する中、管理職だった中高年を中心とした大規模なリストラが行われ、失業率は5%超えという高い水準で推移した。

これは高度経済成長期から安定していた日本の雇用に大きなインパクトを与え、新聞や本でも繰り返し取り上げられたほど。その後も続く不況の中、2000年代、2010年代と複数回に渡って雇用調整の波が訪れ、リストラは人員整理の意味で広く定着した。

リエンジニアリングとの違いとは?

リストラクチャリングと近い意味を持つ言葉に「リエンジニアリング」がある。リストラクチャリングが主に不採算事業に対する構造改革を指すのに対して、リエンジニアリングは組織全体の戦略や業務プロセス、管理体制の改善を行う意味で用いられる。

わかりやすく言うと、ビジネスプロセスを見直すことにより、業務スピードの向上や人件費などのコスト削減を実現する手法。多くの場合、既存業務のデジタル化やシステムの強化といったようにIT技術の活用とセットで行われることが多い。

リストラクチャリングで具体的に行われること

リストラクチャリングが幅広い意味で「構造改革」を意味することは先述の通りだが、では実際にどのような改革が行われるのだろうか。それぞれの要素は相互に作用し合うため単独で考えるのはなかなか難しいが、いくつか具体的なリストラクチャリングの例を紹介する。

事業のリストラクチャリング

まず考えられるのが、事業自体のリストラクチャリング。不採算な事業を見極め、事業の縮小や売却といった整理を行い、将来的に安定した採算が見込める事業にリソースを配分することで利益改善をはかる。事業の見極めには、企業コンサルティングを利用するケースも少なくない。

財務のリストラクチャリング

財務のリストラクチャリングには、債権や固定資産、有価証券などの企業の資産を時価計算し直した「修正賃借対照表」を作成し、負債と資産の実態把握が必要となる。その上で、収益を生まない有価証券や過度な在庫といった流動資産、工場や社宅、ゴルフ会員権等の固定資産、あるいは負債の大幅な見直しを行う。

有効活用されていない不動産の賃貸化や売却で金銭を生み出す資産流動化や、債務を通常ローンから劣後ローン(高金利だが返済順位が低いローン)に転換するDDS(デッド・デッド・スワップ)など、さまざまな方法が考えられる。

業務、経費のリストラクチャリング

リストラクチャリングの中でも、もっとも重要とされるのが業務リストラ。経費削減による利益の増大を図る目的で行われ、事務用品や電気代の節約といった軽微なものから、業務そのものの大規模な削減まで幅広い対応策がある。

その一環として人件費の削減にともなう人員リストラも含まれている。人員リストラには特に慎重な対応が必要となるが、売上を得るために本当に必要な経費であるかどうかの見極めが重要。

M&Aもリストラクチャリングの一つ

事業構造の再構築にあたって活用できる手法の一つに「M&A(企業の合併、買収)」がある。将来の企業展望を実現するのに必要な機能や事業をM&Aや業務提携で獲得するのもリストラクチャリングの一環として捉えられており、特にアメリカではM&Aを活用したリストラクチャリングが活発に行われている。しかし、日本では終身雇用制度のような制度面での難しさがあり、欧米に比べてあまり主流ではない。

文/oki

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