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「口から肛門までは1つの道!よく噛むことが腸内環境に好影響を与え、便秘改善につながる」山口トキコ医師インタビュー

2021.03.23

働き盛りの世代が知っておくべき健康寿命を延ばす術を紹介する「忍び寄る身近な病たち」シリーズ。今回は取り上げるのは腸である。レクチャーをお願いしたのは山口トキコ医師。先生は日本初の女性肛門科専門医として、女性の痔病を最も多く診察した医師である。港区赤坂にある山口先生が医院長を務める「マリーゴールドクリニック」は、大腸肛門専門医院を謳っている。

「消化管は口から始まり食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肛門まで一つの道として見なければいけません」そんな先生の言葉は、各部位の治療のみに専念せず、身体全体の健康を診るのが医師の役割という考えに基づいたものだと、私は感じた。

便秘もいろいろ、我慢型とストレス型

山口先生の専門は肛門と腸。大きく分けて小腸約6mと、大腸約1.5mからなる腸はどんな働きを担っているのか。

「小腸で栄養素を吸収された液状のものが、大腸に送られます。大腸で水分とミネラルを吸収し、ある程度形になったものが直腸に溜まり便意を感じる。

近年、腸の研究が進み腸内細菌や腸内環境が身体の免疫機能に関係していることや、鬱等のメンタルに関しても腸とのかかわりの研究が、発表されています」腸内には約1000種、100兆個の細菌が生息する。顕微鏡で腸内を覗くとそれらは植物が群生する花畑(flora)のように見えることから、腸内フローラと呼ばれている。

山口トキコ医師
日本大腸肛門病学会専門医。2000年、女性が相談しづらい肛門疾患や便秘、下痢などの悩みに応えるべく「マリーゴールドクリニック」を開業。真摯な診察に定評がある。
https://marigold-clinic.com/profile/

――先生、まず便秘のお話をお願いします。

長年、便秘と下痢を繰り返している私にとって、切実な問題なのだ。

「便秘の定義は、本来体外に排出すべき糞便を十分かつ的確に、排出できない状態を言います。溜まったものが出ないのは、一つは便の元となるカスが少ないこと。もう一つは腸の動きが悪いことが考えられます。

うちのクリニックの患者さんは20~40代の比較的若い女性が多いのですが、腸の動きは正常であるはずの若い人が、なぜ便秘に悩むのか。食事の問題か、水分不足なのか。便秘の原因をクリアにすることは難しいのですが」

そう前置きして、先生はまず“我慢型”の便秘を上げる。先生は医学用語を極力使わず、数万人の患者を診察した経験に根差した言葉で語る。

「直腸に便が到着すると直腸から脳に、“うんちが着いた”と、情報が送られます。脳は“排泄せよ“と指令を出す。これが便意ですが、忙しかったりトイレに行けない事情があったり、このうんちコールを我慢していると、溜まった便が固まってしまい、出にくくなる。”排便困難型“の便秘に陥ることがあります」

排泄困難型の便秘が重症化すると、便が固まり肛門に栓をしたような状態になる。便が出ない苦しさに、救急車を呼ぶ人もいるというのだ。こうなると肛門に指を入れ硬くなった便をつぶして摘出し、その後に浣腸をして便秘を改善する“摘便”が必要だ。

さらに先生はストレス型の便秘を指摘する。腸はストレスの影響を受けやすい。

「ストレスによって、腸が痙攣したような状態になり便秘を引き起こします。このタイプは腹痛をともなったり、お腹がゴロゴロと鳴ったり便が細かったり、小さくコロコロした状態になることもあります」

――便秘は女性に多いと聞きますが。

「高齢になれば男性も増えますよ。便秘の分布を見ると若い人より65歳以上が多い。75歳以上は女性より男性が増える傾向にあります。年を重ねればパワーがなくなり、便の通過遅延を起こす人が多くなるんです」

高齢になると腹筋等が衰え、いきむ力が弱くなる。その結果、便が出にくくなり便秘に陥るというわけだ。

口の中の健康も腸にとって大切だ

便秘を予防するには、どうしたらいいのか。食物繊維の十分な摂取と、規則正しい食生活、適度な運動、これらは素人の私にも想像できるが、「炭水化物を減少が一つの問題です」と、山口先生は言葉を続ける。

「野菜類からの食物繊維の摂取量は、50年前とさほど変わっていません。減ったのは炭水化物です。炭水化物は主に穀物から取りますが、ご飯を食べることが昔より少なくなって、穀物から摂取する食物繊維が減っています」

――先生は白米と同時に、玄米の摂取も奨励していますね。

繊維質が多い玄米が、便秘にいいことは私でも想像できるが、それに加えて別の理由もあるという。

「玄米はよく噛む。噛むことが大切なんです。よく噛めば満腹感を得られ、食べ過ぎを防ぐことができて、生活習慣病の予防に繋がります。よく噛むことで歯茎もしっかりして歯周病の予防にもなる。近年では口腔内の歯周菌が腸内環境を介して、糖尿病や心臓病、脳血管障害等、身体に悪影響を及ぼす研究結果が報告されています。

また、よく噛めば唾液が多く分泌されます。唾液は抗菌作用があり、口の中の虫歯菌や歯周病菌を抑える。それによって腸内の悪玉菌を抑え、腸内環境のバランスを整える。私の場合は、40回噛むことを努力目標にしています」

よく噛むことが腸内環境に好影響を与える。実は便秘にとっても良薬というわけだ。

「大腸には蠕動(ぜんどう)運動と言って、腸が伸びたり縮んだりして、便をゆっくり押し出す動きがあります。胃に食べたものが入ると、大蠕動運動が活発になる。朝食を取ることが、朝の排便に繋がります。腸には個人差がありますが、しっかりと朝食を食べることは大切ですね」

朝、昼、晩の食事はある程度決まった時間に取ることも便秘の予防に繋がる。もちろん、野菜からの食物繊維の摂取、水分も1日1.2~1.5ℓは必要だ。適度な運動もしたほうがいい。日々のリズムある生活習慣が便秘の解消に繋がる。

デリケートな腸に合った自分の工夫

――でも先生、生活のリズムを整えたつもりでも、便秘になる時はなります。

先生の説明に納得はするのだが、日々の悩みを吐露すると、先生も軽くうなずき言葉を続ける。

「朝、規則正しく便意が来れば、自宅で済ませることができるので好都合ですが、理想は便意を催した時にトイレに行くことです。また毎日、うんちが出ないといけないと思っている人がいますが、出ないのに無理にいきむのは、腸にも肛門にもよくない。人間は排便マシーンじゃないのですから、毎日出さなくてもいいんですよ」

――しかし、便が出ないと違和感があるので、つい薬に頼ってしまいます。

腸はデリケートな臓器で、一人一人個人差がある。これまでのレクチャーでそんな実感を得た。山口先生はその理解を踏まえた上でと言いたげに、言葉を発する。

「薬も自分の身体に合えば、時には使ってもいいのですが、便秘薬を飲んでも便がゆる過ぎたり、思うように出なかったり、すっきり感が得られないことが多い。大切なことは自分に合った量を服用することですね」

錠剤の便秘薬なら半分に割ってもいい。時には市販の浣腸を使ってもいい。デリケートな臓器なのだから、薬を使う場合は一人一人が自分の腸にあった服用を工夫すべきだと、先生はアドバイスをする。

――便秘もですが、下痢も克服したいです。

長年、便秘と下痢を繰り返してきた私は、次の大きな問題に話題を向けた。

「軟便と下痢の区別は難しいですね」そう言うと、先生は少し沈黙して、

「ビジネスマンにとって問題なのは、過敏性腸症候群という病気なんです」と、言葉を発しする。

ビジネスマンを襲う“過敏性腸症候群”とはどんな病なのか。さらにおならのこと、そして肛門のことについて、明日配信の後編では、山口トキコ先生が詳しく説明する。

取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama

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