目次
ビジネス系のニュース、記事でよく見聞きする「議決権」という言葉。何となく意味は分かるものの、正確な意味まで理解していない人は意外と少ないかもしれない。
そこで本記事では、主に企業の株主総会における議決権について、制度と意味をわかりやすく解説する。最後に、議決権に関連する株式の種類についても併せて紹介したい。
議決権(ぎけつけん)とは?
では、議決権という言葉は元々はどのような意味を持つ言葉なのだろうか。まずは本来の意味を確認しておこう。
企業などの組織で決議に加わる権利のこと
「議決権」とは多数決原理の基本的要素で、企業や各種団体・組織の構成員として決議に出席し、議案の賛否について意思表示をする権利のこと。英語では「Voting Right」と表す。
日本では一般的に「企業の株主総会における表決権」を指す言葉として用いられるケースが多い。企業における重要事項は、原則として多数決によって決定されるため、議決権を有することで議案に自己の意見を反映させることができる。
なお、マンションの管理組合集会、株式会社の株主総会における議決権については、内容や行使方法などが法令で定められている。
マンションの管理組合集会における議決権
分譲マンション(区分所有建物)では、建物の管理運営を目的として、住人により「管理組合」が結成される(区分所有法3条)。管理組合は定期的に総会を開き管理に関する事項を決定するが、住民にはこの総会における議決権がある。
各区分所有者が有する議決権の割合は、規約に別段の定めがない限り「専有部分の床面積の割合」を基準に計算される(区分所有法38条、14条)。例えば、専有部分の総面積が1,000平方メートルのマンションで、専有部分の面積が80平方メートルの区分所有者の議決権は1,000分の80という具合だ。
株主総会における議決権
株主総会は、株式会社の運営に株主の意思を反映させるための重要な機関。株式会社では、株式の種類や保有数に応じて株主を平等に扱わなければならないことから、議決権の数え方は「1株1議決権」が原則で、出資額に応じた取り扱いがされる(会社法109条1項、308条1項本文)。
発行済み株式のうち、議決権のある株式の割合を指す場合「議決権ベースで何パーセント」と表現することもある。株主は、代理人を株主総会に出席させて議決権を行使することも可能(会社法310条)。
投資と議決権の関係性、議決権の行使とは?
株主は議決権を用いて、経営方針や役員選任などの決定に影響を与えることができる。投資との関係では、投資家は議決権を持つ株式を購入することによって、その企業の経営に参加し、自身の投資価値を向上させる機会を得ることが可能だ(経営方針や役員選任、配当政策の決定など)。
また、議決権の行使は、企業の透明性や責任を高め、長期的な企業価値の向上に寄与するため、投資家にとっては重要な要素となる。