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世界最軽量!手持ちで野鳥を撮影できるキヤノンの超望遠レンズ「RF800mmF11 IS STM」の実力検証

2021.03.17

■連載/ゴン川野の阿佐ヶ谷レンズ研究所

600mmか800mmか、それが問題だ!

今年のマイブームは野鳥の撮影。鳥を撮る標準レンズは500~600mmと言われている。600mmが標準なら望遠は1000mmと言いたいところだが、それは無理、あったとしても持ち運びが大変なので、単焦点では800mm、さらなる高倍率はテレコンを使って対処する。

今回は以前、ご紹介したCanon「RF600mmF11 IS STM」の兄弟モデルとなるCanon「RF800mmF11 IS STM」を使う。焦点距離が200mm長くなって固定絞り値はF11と600mmと変わらないお得感のある超望遠レンズだ。800mmにもかかわらず重量は1260gと世界最軽量、同社のEF800mmF5.6の重量4500gと比較しても抜群に軽いことが分かる。価格も約12万円とハイコスパ、昨年夏の発売以来、品薄状態が続いている人気のレンズなのだ。

手持ちで800mmが快感になる

望遠レンズには前後の間隔がみっちり詰まって密度が高まる圧縮効果があるため、迫力のある画像が得られやすく、のぞいていても新鮮な驚きがある。800mmとなればその効果は抜群、2倍のテレコンを付ければ1600mmになって、これ以上長い焦点距離はないというハイエンドレンズ気分を味わえる。

鳥を撮影する場合は、ズームでないため小さな被写体を見失いやすいという弱点があり、ドットサイトなどの光学照準器を使って追尾性を向上させたくなる。2倍のテレコンを使った場合、絞り値はF22固定となるためかなり暗い。AFも若干遅くなる。今回の撮影では1.4倍のテレコン「EXTENDER RF1.4×」を使用、これだと絞り値はF16となるためやや使いやすくなる。別売アクセサリーの専用フードも借用。一般的な樹脂製のフードで4000円と割高感があるが、EF800mmF5.6のフードを単品で買うと6万6000円もすることを考えて我慢しよう。

撮影には一脚を持参したが、ほとんど使わずに手持ちで撮れた。野鳥の撮影は鳥が飛び立つのを待つとか、鳥が来るのを待つ、などの待ちが多いため、一脚か三脚があった方が便利だが、撮影するときはこれが邪魔して自由なアングルがとれなくなる。800mmF11は三脚座がなく、三脚用のネジ穴がレンズ本体に付いているので、素早く縦位置にできない。軽量化により手持ち優先に作られた超望遠レンズと考えて間違いないだろう。逆に言えば、取り出すのがおっくうになる重量級の超望遠レンズと違い、デイパックにケースレスでつっこんでおき、被写体を見つけたら、速攻で撮影できる機動性のあるレンズなのだ。

800mmF11は沈胴式で、レンズ収納時は約28.1cmまで短くなる

撮影時はレンズのロックを外して引き出して再度ロック。長さは約35.1cmになる

遮光だけでなくレンズ保護効果も期待できるのでフードは必ず付けておきたい

内側には横方向にミゾが切られており内部反射を抑える構造になっている

左サイドにフォーカスリミッター、AF/MF切り替え、手ブレ補正ON/OFF切り替えがある

マイクロフォーサーズの200~800mm相当のズームと比較しても巨大には見えない

遠くのカワセミを引き寄せる超望遠効果

鳥の撮影はディスタンスが決まっていて、それ以上近寄れないことが多い。皆が同じ位置から撮影するなら焦点距離の長いレンズほど有利になる。明るくて重いレンズにテレコンという選択肢もあるが、多少、暗くても軽くて機動性の高いレンズの方がチャンスに強い。今回、使ったEOS R5であればF11でも実用上問題なくAFが合焦してくれ、動物認識で確実に鳥を追尾してくれた。

からみあった枝の奥にいるカワセミは動物認識できなかったが、MFを使って他のレンズでは小さくしか見えない姿をアップで捉えられた。1.4倍のテレコンは解像度が高く画質的には安心して使えるが、絞り値がF16になるため、条件によってはシャッター速度を上げようとすると高感度になり、感度を下げるとスローシャッターになるため、使用範囲が限られてくる。動きのない被写体なら手ブレ補正機能を使って、手持ちでもかなりいけることを実感した。

600mmと800mmを両方使ってみて、どちらか1本と言われると、それなら800mmにしておけというのが正直な感想だ。レンズはハイコスパだが、これを活かせるカメラボディはR5かR6であり、RPでも使えるのだがAFの合焦速度や追従性などに差が出るのが残念。固定絞りとDOレンズの採用、樹脂を多用したレンズ設計で、ミラーレスに合わせた新世代の超望遠レンズが使えるのはCanonだけと言っておきたい。

頭上で鳴くヒヨドリを素早くキャッチ。餌をくわえる瞬間を連写で捉えた
Canon EOS R5 RF800mm F11 IS STM 1/800sec F11 ISO1000

定位置にとまるアオサギ。動物認識で合ったAFが非常にシャープだった
Canon EOS R5 RF800mm F11 IS STM 1/400sec F11 ISO200

奥の枝に止まったカワセミ。ノートリミング、わずかに陽が当たりキレイな発色になった
Canon EOS R5 RF800mm F11 IS STM 1/250sec F11 ISO1600

やや手前に移動したカワセミ、光が当たってさらに鮮やかな色になった
Canon EOS R5 RF800mm F11 IS STM 1/400sec F11 ISO3200

珍しく口を開けたカワセミ。一瞬の動きを連写で止めた
Canon EOS R5 RF800mm F11 IS STM 1/400sec F11 ISO3200

エクステンダーはコンパクト、実勢価格約6万3000円とかなり高価である

比較のためにエクステンダーなしで撮った作例。どちらも手持ちで撮影
Canon EOS R5 RF800mm F11 IS STM 1/80sec F11-1.67補正 ISO100

エクステンダーを使って1120mm相当で撮影。100%で比較しても解像度の低下は見られない
Canon EOS R5 RF800mm F11 IS STM+RF1.4× 1/80sec F16-1.67補正 ISO100

手持ちで撮影した昼間の月、ややアンダーにするとクレーターがはっきり見えた
Canon EOS R5 RF800mm F11 IS STM+RF1.4× 1/320sec F16 ISO200

動きの遅い鳥であれば手持ち1/80secでブレずに撮影できた
Canon EOS R5 RF800mm F11 IS STM+RF1.4× 1/80sec F16 ISO1250

写真・文/ゴン川野

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