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「CI」という言葉を見聞きしたことはあるだろうか。実はこの言葉、大きく2つの異なる意味を持っており会話の中で話が噛み合わない場合は、もしかしたらお互い違う意味のCIを指しているかもしれない。
そこで本記事では、「ビジネス手法としてのCI」と「IT用語としてのCI」の2つの意味をわかりやすく解説する。特にIT関連の仕事に従事している方は、両方の意味の違いをしっかり理解しておきたい。
ビジネス手法としてのCIの意味は?企業アイデンティティを示す言葉
はじめに、ビジネス用語としてのCIの意味を解説する。CIを理解する上で、構成要素になっている「MI」「BI」「VI」の意味も併せて理解しておくことが重要だ。
ビジネスのCIは「Corporate Identity(コーポレート・アイデンティティ)」の略
ビジネス用語として使われるCIは「Corporate Identity:コーポレート・アイデンティティ」の頭文字を取った略語。
一言で言えば「企業の特色や独自性」を社会に発信することで、会社のブランド価値、存在価値を高める経営手法を指す。例えば、企業のコーポレートカラーやロゴ、社名、ブランド名、経営理念、スローガンもCIの一例だ。
CIの目的は企業の存在価値の向上
先述したとおり、企業がCIを導入する大きな目的は存在価値を高めること。一般的に消費者やステークホルダーに向けられるものだが、そこで働く従業員の意識向上にもつながり、商品・サービスの品質維持にも役立っている。
また、独自性を打ち出すことで競合他社との差別化をはかること、「この企業といえば赤」「A社は誠実」といったブランドイメージを定着させることもCIの目的だ。
CIの始まり
CIの考え方は1930〜40年代に始まったと言われており、徐々に企業のロゴマークの商業的価値が高まっていった。その後もマスメディアの進展とともに、CIの考え方はビジネスでますます重要視されるようになっていく。
日本では、1975年のマツダ(東洋産業)がCI計画を初めて導入したと言われており、その後1980年代のバブル期にはCIブームが到来。今では企業活動において、当たり前の概念になっている。
CIの構成要素(MI/BI/VI)
CIは、大きく「MI:マインド・アイデンティティ」「BI:ビヘイビア・アイデンティティ」「VI:ビジュアル・アイデンティティ」の3つの要素で成り立っており、式で表すと「CI=MI+BI+VI」となる。それぞれの構成要素を見ていこう。
CIの構成要素1:MI(理念)
MIは「mind identity:マインド・アイデンティティ」の頭文字を取った略語。企業の方針などを言語化したものを指し、企業においてはスローガンやミッション、企業理念がこれにあたる。CIにおける”核”となる部分と言っても過言ではない。
CIの構成要素2:BI(行動)
BIは「behavior identity:ビヘイビア・アイデンティティ」の頭文字を取った略語で、MIを実行するための具体的な行動や計画を意味する。ここには、社員教育や組織改革、販促・広告活動などが含まれる。
なお、消費者にサービスや商品から「何をイメージしてもらいたいか」を打ち出すことを「brand identity:ブランド・アイデンティティ」と呼ぶ。同じくBIと略されることもあるが、CIにおける「ビヘイビア・アイデンティティ」とは意味が異なるので注意しよう。
CIの構成要素3:VI(視覚)
VIは「visual identity:ビジュアル・アイデンティティ」の略で、ロゴマークやコーポレートサイト、パンフレットなど、視覚的にMIやBIで定めた内容を表現したもの。
人はおよそ9割の情報を視覚から得ていると言われるように、その企業における「らしさ」を定着させる上で欠かせない要素だ。
IT用語としてのCIの意味は?ソフトウェア開発で用いられる言葉
同じくCIという略語が違う意味で使われているのが、IT分野だ。特にソフトウェア開発で一般的に用いられる。元になった英語の意味が異なっているため、両者の違いを明確に理解しておきたい。
ITにおけるCIは「Continuous Integration(継続的インテグレーション)」の略
IT分野におけるCIは「Continuous Integration」の略で、日本語では「継続的インテグレーション」と訳される。ソフトウェアの開発における品質管理の手法の一つで、開発の効率化のために用いられる。常時ソフトウェアの更新をテストすることで、バグなどの問題を早期に発見する手法だ。
開発現場では自動でテスト環境を構築できるCIツール(Jenkins、Codeshipなど)が使われる
CIは手動で行なうことも可能だがその分コストがかかるため、ツールを用いるのが一般的。「Jenkins」などの無償のものから「Codeship」などの有償のものまで、その種類も幅広い。
ツールにより機能に違いはあるが、開発者やプログラマーがソースコードの変更をすることで、CIツールが自動でテストを行ない、問題が生じた時に知らせてくれるといった基本的な機能は共通している。CIツールは、高品質なソフトウェアを効率的に開発する上では欠かせない存在だ。
英語由来のビジネス用語には、同じ略語でありながら元となる言葉が異なるものが少なくない。意味を取り違えないためにも自分が所属する業界の専門用語に似た類語はチェックしておこう。CIと同じく業界によって意味が異なる「GMS」もあわせてチェックしてみてはいかがだろうか。
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文/oki