3社3様の針路に漕ぎ出すビッグ3のこれから
経営方針や考え方の違いから、3様の道を邁進する3社。今後はどのような未来図を描いているのだろうか。
「ニトリにとって、都心の好立地で展開し、比較的富裕層を顧客として持つ『島忠』を傘下にしたことは、店舗戦略上非常に大きい意味を持つと思いますね。低価格から高額商品までをカバーできる体制が整い、家具とホームファニシング分野に加え、ホームセンター的な商品展開も拡大され、家電商品なども今以上に増えていくと思います。また、アパレルの『N+』を立ち上げたように、今後は家の中で使うものをすべて揃える〝エッセンシャルストア〟に転換していきそうですね」(岩崎さん)
新年早々に、家具のサブスクサービスをスタートさせ、生活雑貨の大胆な値下げに踏み切った無印良品はどうか。
「地域活性化のリーディングカンパニーになろうとしています。そのためには、地域との土着化が不可避で、だからこそ何でも扱うアイテム数が必要であり、1400坪の『無印良品 東京有明』のような大型店舗が、地域の暮らしの接点として郊外でも重要になっていきます。道の駅や住宅、地方の名産、食材の取り扱いなどでわかるように、より身近な〝無印〟を目指し、各地域でユーザーのファン化を進めていきそうです」(岩崎さん)
イケアは、日本での業績が2年連続の赤字となっているが、世界的企業だけに、見据えるその先は目先の売り上げだけではない。
「直近としては都市型店舗を強化し、新たな顧客開拓に注力していますが、イケアは〝RE100〟に加盟し、世界の大企業の中でもサステナブル経営はトップクラスです。特に海上風力発電と太陽光発電に力を入れ、今後は自店舗の使用電力100%を再生可能エネルギーでまかなおうとしています。同時に、今後はサステナブル商品やサービスをいろいろと開発していくと思います」(岩崎さん)
新たな展開からどんな商品やサービスが生まれてくるのか、それぞれのファンの期待は高まるはず。
まずは今回の特集で、イケア、ニトリ、無印良品の最新動向をチェックして、ライフスタイル全般に生かしていただきたい。
無印良品
食品や住宅事業を展開し〝地域との結び付き〟を強化
■ 家具の月額定額サービスを開始
ベッドやデスク、収納家具が月額定額で使えるサービスを開始。「必要なモノを必要な期間だけ」借りる、新たな選択肢が加わった。
■「無印良品 東京有明」が開業
関東最大1400坪3フロアに無印良品のほぼ全商品を展開。部分リフォームやお片づけサポートなど、地域の暮らしに役立つ存在を目指す。
■ 快適に暮らす「無印良品の家」
2000年に住宅事業に参入し好調な販売を続ける「無印良品の家」。ライフスタイルに合わせた4タイプを用意する。土地探しサービスも好評だ。
■ 道の駅に無印良品が初出店
千葉県鴨川市にある総合交流ターミナルの「里のMUJIみんなみの里」に続き、3月には福島県・浪江の「道の駅なみえ」に無印良品を出店する。