新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、疫病を退散させるといわれる妖怪「アマビエ」が注目されているが、クリエイターズマーケット「Creema(クリーマ)」では、アマビエだけでなく、「赤べこ」も人気だという。なぜ赤べこが? 人気の赤べこアイテムをつくるクリエイターにインタビューを行った。
「アマビエ」ならぬ「赤べこ」も人気に!?
クリーマでは、「赤べこ」作品が人気で、「可愛いし縁起も良い、おすすめの赤べこ作品」という特集ページでは赤べこモチーフの作品が複数、掲載されている。
赤べことは、福島県会津若松市の郷土玩具で「幸運を運ぶ牛」といわれる張り子人形のこと。ゆらゆらと首が揺れるさまを眺めていると、思わず心が和む。この赤べこ、古くは厄除け・縁起物として扱われてきたもので、例年、丑年になると、全国的に多くの家庭で飾られているという。
このほどの、新型コロナウイルスの厄除けの意味と共に2021年は丑年とあり、新年が明けてから、ますます注目されているようだ。
クリーマにおいては、2020年12月末時点で、この赤べこ作品が前年比130倍以上の販売数に上り、売り切れや再販待ちが続出しているという。これまでは『お正月飾り』というイメージが強かった赤べこだが、最近ではコロナ終息の願いとともに、見た目の可愛さから、デイリーアイテムとして購入する人が増えているという。
赤べこ作品のクリエイター「白河だるま」さんインタビュー
クリーマで赤べこ作品を作っているクリエイターの中でも、白河だるまさんは、福島県の伝統的工芸品に認定されている「白河だるま」の制作を行うクリエイター。現在制作している赤べこはクリーマ内でも特に人気が高いという。
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白河だるまさんに、赤べこ人気について聞いてみた。
―赤べこが人気だそうですが、アマビエだるまと比べて人気ぶりはどうですか?
白河さん:アマビエのときもすごかったのですが、今回の赤べこもそれに追いつくような勢いです。これをきっかけに福島のことを少しでも知っていただけると嬉しいです。
―赤べこはなぜ人気が出たと思われていますか?
白河さん:福島県内では、赤べこは疫病退散の縁起物として全県民が知っているくらい親しまれておりますが、丑年や有名人の方が取り上げた影響で、全国的に一気に人気になったのだと思います。
―今回の赤べこ人気を受け、率直な感想をお願いします。
白河さん:福島県は、10年前の震災時には深刻なイメージが広がりましたが、今回はポジティブな意味で福島県を知ってもらえていることに、とても嬉しく感じています。
震災当時は、全国のみなさんに元気を分けていただきましたが、今回は福島県の縁起物として、福島から全国を少しでも元気づけることができればと思っています。
―赤べこを作るときに一番気を使っているところはどこですか?
白河さん:赤べこの特徴でもある「首振り」には気を使います。少しでも長く首を振っているかどうかを、念入りに検品します。
―今後、新しい作品を販売する予定はありますか?
白河さん:最近よく「こんな作品を作ってほしい!」などご意見をいただけるようになりました。だるまなどの新しい作品の形が、少しずつ受け入れられてきていると思いますので、これからもますます喜ばれるような作品を作ろうと思っております。
その他の注目の赤べこ作品たち
他にも、赤べこ作品はさまざまなクリエイターによって作られており、それぞれ、とても個性的だ。
「羊毛フェルトの赤べこ」/woolwool
羊毛フェルトでつくった赤べこ。首はゆらゆらしないが、ほっこりとする。
「福招きのうつわ 『2021赤べこ』豆皿 受注制作」/minakawaneko
赤べこのイラストが描かれた陶器製の豆皿。
「赤べこイエスマン【ナチュラル】ekot パーカー 10オンス<イラスト:タカ(笹川ラメ子)> 」ekot
赤べこをプリントしたパーカー。縦に揺れる首の動きを「イエスマン」と表現。
「#STAY HOME 『あかべこ×あまびえ』 疫病退散ラベル 720ml×2本セット」ねっか
酒米農家がつくる、只見生まれの「完全ドメーヌ米焼酎」。新型コロナウイルスに負けるな!という願いが込められている。
これからはアマビエと共に、赤べこにも注目して、グッズを揃えて縁起をかつぐのもいいかもしれない。
取材・文/石原亜香利