投資の世界で使われる、「ワラント」という言葉を見聞きしたことはあるだろうか。日本語では「新株引受権」と訳されるが、それだけを聞いてもなかなか意味を理解しづらい。
そこで本記事では、ワラントとは何を意味するのか、基本的な部分をわかりやすく解説する。特に、投資に興味がある方は、ぜひ覚えておきたい言葉の一つ。
ワラントとは
日本で使われるワラントは、英語の「warrant(権利、保証、証明書)」に由来する言葉。主に金融、証券の世界で使われる言葉だ。詳しい内容を見ていこう。
新株予約権のこと
ワラントは日本語で「新株引受権」「株式引受権」と訳される。一言で言えば、一定の期間内あらかじめ決められた価格で新株を購入できる権利のことだ。
例えば、A社の株価が今2,000円だとする。A社が行使期間10年、行使価格3,000円のワラントを発行すると、10年の間に株価が5,000円になったとしても3,000円で購入できる。ただし、10年の間に行使価格3,000円を超えなかった場合にはワラントは意味をなさない。
一般的に、配当や金利の低い債権を受け入れてもらうための”インセンティブ”としてワラントが用いられるケースが多い。先程の例のように、ワラントは会社が成長し、株価が上がれば上がるほど、その恩恵が大きくなる。
ワラント債(WB)とは
企業は資金調達のために、有価証券を発行し投資家から資金を募ることがある。これを「社債」と呼ぶが、この社債にワラントを付すことも可能だ。ワラントが付された社債を「ワラント債(通称WB:Bond with subscription warrant)」と呼ぶ。
ストックオプションとの違い
同じように、あらかじめ決められた価格で将来株を購入できる権利に「ストックオプション」がある。ストックオプションは主に企業の役員、従業員を対象としたものであるのに対し、ワラントは主に投資家を対象としている点が最大の違いだ。
【参考】「ストック・オプション」の正しい仕組みとは?意外と知らない税金とメリット、デメリット
ワラントのメリット、デメリット
では、ワラントは企業、投資家にとってどのようなメリット、デメリットがあるのだろうか。双方にメリットのある仕組みではあるが、恩恵を受けられるのは「企業の成長次第」という点も覚えておきたい。
メリット
企業がワラント債を発行するメリットは、低金利で資金調達を行える点だ。投資家側からしても、債権自体から得られる金利は少なくても、その企業に成長見込みがあれば、将来割安に株を購入し差益を得られることがメリット。さらに、ワラントによる株の購入は企業への資金流入にもなるため、双方にとってメリットのある仕組みとも言える。
デメリット
一方、ワラントを発行した企業が成長しなかった場合も想定しておかなければならない。例えば、企業の成長が鈍化してしまい、株価が思うように上がらないケース。ワラントを購入した投資家は、権利行使ができないと低い金利のみを受け取るだけであまりメリットがない。それにより企業の株が買われないと、株による資金調達にも悪影響を及ぼす。
eワラントとは
eワラント証券が発行する「eワラント」という金融商品がある。これは「カバーワラント 」と呼ばれる有価証券のことで、あらかじめ決められた価格(権利行使価格)で有価証券を購入し、一定期間(権利行使日)に決済価格との差益を得られる仕組みだ。権利行使日前に売買することもできる。
ハイリスク・ハイリターンの投資
eワラントは、少額の資金から投資できることから注目を集めている。しかし、eワラントはレバレッジ投資が可能なことからハイリスク・ハイリターンとしても有名だ。
レバレッジとは、実際の投資額の3〜10倍ほどの資金を動かすことができる仕組みで、少額の投資資金で大きなリターンを得られる可能性があるる。ただし、値動きが激しいことに加え、所有しているeワラントが0円になるリスクもあるため、慎重な判断が求められる。どちらかと言えば、相場を読む力が備わった中上級者向けの投資とも言えるかもしれない。
eワラントによる損失は投資資金額の範囲内で、追加の支払いを求められることはないが、他の投資よりもリスクが高いこと、難易度が高い点は覚えておきたい。
eワラントの取引時間と投資対象(銘柄)
eワラントは朝の9:00から23:50分まで、インターネット上での取引が可能。日中仕事で取引ができない人にとっては、メリットがあるかもしれない。
投資対象も国内株式、海外株価指数、コモディティ、為替など多岐にわたっており、選択肢が多いのも利点だ。3,000円ほどから投資可能なので、興味のある方はリスクを十分配慮した上で、投資対象の一つとして検討してみてはどうだろうか。
文/oki