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ビジネスシーン、特にマーケティングの分野ではお馴染みの「チャネル」という言葉。当たり前のように使われているが、元の英語の意味や”チャンネル”との違いについて理解している人は、意外と少ないかもしれない。
そこで本記事では、チャネルを理解するために知っておきたい基礎知識を紹介する。元の意味から派生した、他の業界やサービスで使われているチャネルの意味も併せて理解しておこう。
チャネルとは
はじめに、チャネルとはそもそもどのような意味なのかを解説する。元になっている英語の本来の意味を知れば、さまざまなシーンで使われているチャネルの意味を理解しやすいはずだ。
由来は英語の「channel」
日本で使われているチャネルは、英語の「channel」に由来する。本来「水路/運河」などの意味で用いられていた言葉だが、テレビやラジオが普及した後に「チャンネル/周波数帯」の意味に、ITの普及により「データを転送する経路」など、複数の意味に派生していった。
チャンネルとの違い
結論を先に言えば、両者の違いは英語「channel」の発音にあり、「チャネル」と「チャンネル」は同じ意味を指す。ただし、マーケティング分野、ビジネスシーンでは「チャネル」が一般的であるのに対し、放送業界では「チャンネル」が多く用いられている。それぞれの業界で、慣習的に使い分けされているようだ。
マーケティング用語として使われるチャネル
企業のマーケティング活動におけるチャネルは、「流通経路」とそれに携わる業者、組織を指す。マーケティングの世界では「どんなに良い製品でもチャネルが悪いと売れない」とも言われており、企業活動において重要視されている概念の一つだ。
マーケティングにおけるチャネルは、大きく「販売チャネル」「流通チャネル」「コミュニケーションチャネル」の3つに分かれている。それぞれの違いを見てみよう。
販売チャネル(販売方法)
販売チャネルは、ECサイトや実店舗など、実際に商品やサービスを「販売する場」のこと。もしくは「販売方法」を指すこともある。消費者側からすると「商品を購入できる場」であり、身近な企業との接点でもある。
流通チャネル(流通方法)
流通チャネルは、消費者に製品を届けるための配送・物流などの手段のこと。小売業者や卸売店も流通チャネルに分類される。直販することは「直接流通チャネル(0段階チャネル)」とも呼ばれ、卸売・小売店を介する「間接流通チャネル」と区別される。
【4つの段階チャネル】
・0段階チャネル(直接流通チャネル):直販
・1段階チャネル(間接流通チャネル):小売業者を介する形態
・2段階チャネル(間接流通チャネル):卸売店を介して小売業者に卸す形態
・3段階チャネル’間接流通チャネル):卸売業者と二次卸売業者を介し、小売店で販売する形態
コミュニケーションチャネル(情報伝達経路)
コミュニケーションチャネルは、企業が消費者とコミュニケーションを取るための場所のこと。テレビCMや公式Webサイト、メルマガやSNSなど、その範囲は多岐にわたる。SNSで影響力を持つインフルエンサーを活用するのも、コミュニケーションチャネルに分類される。
オムニチャネルとは
オムニチャネルとは、チャネル(channel)に「すべての/全体の」の意味を持つ英語「omni」が付いた言葉で、「ECサイト(ネット)と実店舗(リアル)」など、複数の販売経路に境界を設けない考え方のこと。
例えば、実店舗で販売されている同じ商品をネット上のサイトからも購入でき、共通のポイントが貯められる仕組みも、オムニチャネルの取り組みの一つだ。
チャネルの企業での使い方【例文】
ここでは、マーケティング分野で使われるチャネルの使い方を実際の例文で紹介する。以下の例文は、マーケティング業界における「チャネル」が、製品やサービスを市場に届けるための多様な方法や経路、そして顧客とのコミュニケーション手段としてどのように活用されているかを示してる。
・「当社の新製品は、主にオンラインチャネルを通じて販売されます」
・「B to Bマーケティング戦略では、直接販売チャネルとディストリビューターチャネルの両方が重要だ」
・「マルチチャネルマーケティング戦略を採用し、顧客との接点を増やしています」
・「ソーシャルメディアは、当社のプロモーションチャネルの中でも特に効果的な手段です」
・「顧客フィードバックを収集するために、さまざまな通信チャネルを活用している」
その他の意味で使われるチャネルの意味
最後に、マーケティング用語で使われるものとは意味が異なるチャネルについて紹介する。どちらも元の英語の意味を知っていれば理解しやすいはずだ。
Microsoft Teamsのチャネルとは
Microsoftが提供するチャット、通話、ビデオ会議ツール「Teams」。ここでもチャネルという言葉が使われている。Teamsのチャットでは「Team(チーム)」というグループを設定できるが、そのチーム内のさらに小さなグループを「Channels(チャネル)」と呼ぶ。チームが部署単位、チャネルはプロジェクト単位などで用いられることもある。
金融(FX)、株式、投資の世界では相場を読むための線、ゾーンのこと
FXや株式投資の世界では「チャネルライン」という言葉が使われる。これはチャートのローソク足の底や天井に引く「トレンドライン」と並行して描く線のこと。売買のタイミングを見極めるために用いられる。
また、チャネルラインとトレンドラインとの間を「チャネル」もしくは「トレンドチャネル」と呼び、相場はこのチャネル内で動く傾向にあると言われる。
文/oki