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最近よく聞く「ジョブ型雇用」とはどんな意味?

2021.03.17

テレワークなど働き方の多様化にも対応しやすい採用制度として近年、『ジョブ型雇用』が注目を集めています。従来の日本型人事システムとは異なり、業務に適した人材を雇い入れる方式です。ジョブ型雇用のメリット・デメリットや導入事例を紹介します。

雇用方式は2種類ある

企業が従業員を雇う際の雇用方式は、『メンバーシップ型雇用』と『ジョブ型雇用』の2種類に大別できます。まずは、それぞれの特徴や違いを理解しましょう。

日本企業に多い「メンバーシップ型雇用」

人材確保を重視した雇用方式が『メンバーシップ型雇用』です。主に新卒の学生を一括で採用し、従業員には終身雇用や年功序列を前提とした働き方が求められます。

会社の一員になるための雇用契約を結び、職務内容・勤務場所・報酬といった労働条件は契約に明記されないのが一般的です。

メンバーシップ型雇用では、会社で力を発揮できるような能力開発や教育を新入社員に行った上で、適材適所の人員配置が実施されます。

日本で古くから採用されている雇用方式であり、高度経済成長期における人材確保のために発達したシステムです。

欧米企業に多い「ジョブ型雇用」

仕事に適した人材を確保する雇用方式が『ジョブ型雇用』です。業務を遂行するために必要なスキルや経験を持つ人材を雇用し、即戦力として働いてもらうことが求められます。

ジョブ型雇用で交わされる雇用契約書には、職務内容や報酬などの勤務条件を明記することが一般的です。雇用者による一方的な契約内容の変更はできません。

採用時には、業務内容に合ったスキルや経験が備わっているかが重視されます。メンバーシップ型雇用のような、終身雇用や年功序列といった概念は反映されません。

ジョブ型雇用は多くの欧米企業で採用されている雇用方式です。日本における中途採用のようなイメージで考えると分かりやすいでしょう。

ジョブ型雇用が注目される背景

従来のようなメンバーシップ型雇用に代わり、近年はジョブ型雇用が注目され始めています。専門性の高い人材が求められるようになった背景を知っておきましょう。

国際競争力を高めるため

国際経営開発研究所(IMD)が毎年公表している『世界競争力年鑑』によると、2020年時点における日本の国際競争力は34位です。

1989年からの4年間は世界1位を維持していたものの、97年に一気に順位を落として以降はおおむね20位台を推移し、2019年には30位となっています。

20~30年の間に日本の国際競争力が下がった原因の一つとして指摘されているのが、メンバーシップ型雇用の弊害です。

一つの会社で長く働き続けることで、自社で有効なスキルのみを習得すればよくなるため、グローバル化に対応できる人材が育ちにくくなります。

一方、より高い専門性を求められるジョブ型雇用なら、優れたスキルや経験を持つ人材が集まりやすくなることから、国際競争力が高められるでしょう。

専門分野における人材不足解消のため

IT分野で技術革新が進むにつれ、業務の専門性はより高くなる傾向にあります。かつて専門職は一部の企業にのみ求められていましたが、近年はあらゆる業界で専門分野における人材が不足しています。

従来のメンバーシップ型雇用は、スペシャリストよりゼネラリストの育成を重視した雇用方式です。しかし、これからのクローバルな競争に勝ち続けるためには、専門分野におけるスペシャリストの雇用が欠かせません。

ジョブ型雇用を採用することで、専門性の高い人材を雇用しやすくし、専門分野での人材不足の解消につなげています。

経団連による導入の提案

経団連が毎年発表している春季労使交渉での経営側の方針を示した『経営労働政策特別委員会報告』では、2020年版から2年連続でジョブ型雇用の導入を提案しています。

『日本の雇用方式の中心であるメンバーシップ型雇用を中心に据えつつ、ジョブ型雇用で雇い入れた従業員も一層活躍できるような自社システムを構築すべき』というのが経団連の提言です。

欧米におけるジョブ型雇用のように、必要がなくなった専門職の人材を解雇するのではなく、従業員の能力に合わせて専門業務に従事させるようなシステムを推奨しています。

出典:経団連:2020年版 経営労働政策特別委員会報告 (2020-01-21)

新型コロナウイルス感染症によるテレワークの浸透

2020年から続く新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、多くの企業でテレワークが導入され始めています。

勤務態度や勤務時間などさまざまな視点から人材を評価できた出社勤務とは異なり、テレワークでは成果物での評価をより重視せざるを得なくなるでしょう。

ジョブ型雇用の導入で成果物を重視した評価制度を構築しやすくなるため、テレワークに向いた労働環境を整えることが可能です。

新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着いたあとも、ジョブ型雇用にシフトしたシステムを構築しておけば、多様化する働き方にも対応しやすくなります。

働く側のメリット

自分の得意とする分野で集中して働けることや、スキルアップにより報酬を上げやすくなることが、ジョブ型雇用で働く側の主なメリットです。それぞれについて詳しく解説します。

スキルを生かした仕事ができる

ジョブ型雇用で雇われた人は、契約時に定められた職務範囲外の業務に従事する必要がないため、自分の強みを存分に生かしながら仕事ができます。異動や職務内容の変更を定期的に行うジョブローテーション制度を導入している企業に雇われたとしても、そのようなことを気にせず自分の仕事に集中できるのがメリットです。

ジョブ型雇用では、企業側が勝手に従業員の職務内容を変更できません。契約内容と異なる業務を突然任されることがないため、安心してスキルアップに励むことが可能です。

入社時点で自分の職務範囲が明確になっていることから、求職活動ではスキルを生かした業務が行える企業を探しやすくなるでしょう。

専門性を高めれば更なる報酬アップも

日本の企業に多いメンバーシップ型雇用では、年齢や勤続年数に応じて昇給させる年功序列制度が根強く残っていることから、スキルに見合った報酬を得にくいのが実情です。

一方、ジョブ型雇用では自分のスキルを報酬に反映させやすいため、専門性を高めれば報酬がアップする可能性があります。

優れたスキルを持つ20代の従業員が、スキルを持たない40~50代の従業員より高い報酬を得ることも、ジョブ型雇用においては珍しいことではありません。

一つの会社で長く働かなくてもスキルさえあれば報酬を上げられるため、同じスキルレベルでもより高い報酬を受け取れる企業への転職が容易になるでしょう。

働く側のデメリット

ジョブ型雇用で働く側のデメリットも理解しておきましょう。自己管理を求められる点や、失業のリスクなどが挙げられます。

スキルアップやキャリアは自らマネジメント

メンバーシップ型雇用では、企業側が従業員を育成するスタンスをとるのが一般的です。働く側は企業に自分の成長を委ね、相応の努力を続けていれば、その企業に適した人材に成長し地位や報酬のアップが望めるでしょう。

一方、ジョブ型雇用では企業側が従業員の育成を行うことはありません。業務に対するスキルレベルが足りないと判断されれば、報酬を下げられたり不要な人材として扱われたりする可能性が高まります。

ジョブ型雇用で働く側は、スキルの研さんやキャリアを自分でマネジメントすることが重要です。企業に依存せず、自分自身の市場価値を積極的な自己管理で高めることで、企業側に求められる人材になる必要があります。

会社の方針次第で失業する可能性がある

ジョブ型雇用では、契約時に決められた業務範囲のみに従事するのが基本です。会社の方針などにより該当業務自体が消滅するケースでは、退職を余儀なくされることもあります。

メンバーシップ型雇用でジョブローテーションを採用している会社であれば、他の業務で働ける可能性があるでしょう。しかし、ジョブ型雇用では他業務で働く選択肢がないため、解雇されるリスクが高まってしまうのです。

企業側に雇用を守ってもらう立場にないことを理解し、失業リスクに対する備えを常に考えておく必要があるでしょう。

企業側のメリット

次に、ジョブ型雇用の導入による企業側のメリットを紹介します。主なメリットは、プロフェッショナルを採用しやすくなることや評価システムを改善できることです。

専門人材の採用が可能に

専門性が高い分野の業務を抱える企業にとって、きちんと仕事をこなせる優秀な人材の確保は重要なテーマです。ジョブ型雇用を導入することで、専門性の高い分野に精通したプロフェッショナルな人材を採用しやすくなります。

職務内容や報酬をより明確にし、求める人材に対する自社でのキャリアイメージをしっかりと提示できれば、規模やイメージで他社に劣る企業でも優秀な人材を獲得できるでしょう。

メンバーシップ型雇用のような年功序列型の報酬システムではなく、スキルをダイレクトに反映できる評価制度を整えることが大事です。

成果での評価がしやすくなる

評価基準があいまいになりがちなメンバーシップ型雇用では、報酬額の根拠に関し従業員からの理解を得にくいこともあるでしょう。

ジョブ型雇用ではスキルを活用して生み出される成果物を最重要視した評価が行えるため、報酬額の根拠を従業員へ明確に示せます。

成果での評価を重視したシステムを構築すれば、テレワークで勤怠管理ツールなどの導入を検討する必要もありません。

与えられた仕事に対する結果のみを評価すればよいので、人事や総務などの従業員管理にかかる負担も大幅に減らせるでしょう。

企業側のデメリット

導入する企業が増えているジョブ型雇用ですが、いくつかのデメリットもあります。リスクをきちんと理解した上で、導入を検討することが大事です。

配置換えなどの異動が難しい

ジョブ型雇用で採用した人材は業務内容や勤務地などが限定されているため、会社の都合で仕事を変更したり転勤・異動を命じたりはできません。

さまざまな業務に従事させてゼネラリストを育成するメンバーシップ型雇用と異なり、配置換えなどが困難なことがデメリットです。

急な欠員が発生した場合は、ジョブ型雇用で働く従業員以外の人に対応させるか、残った従業員のみで対応してもらうかを選択せざるを得ないでしょう。

専門分野以外の業務には従事させられないことをしっかりと理解し、万が一のケースでも柔軟に対応できるプランを練っておくことが重要です。

ヘッドハンティングが激化する

従業員のスキルが高ければ、他社からヘッドハンティングされる可能性が高まります。従業員自身も会社への帰属意識が薄いため、完全に予防することは困難でしょう。

ヘッドハンティングされる可能性をできるだけ低くしたい場合は、報酬の見直しや労働環境の改善など、従業員の満足度をより高める施策が有効となります。

ただし、優秀な人材の引き止めに注力するあまり、社内における報酬や労働環境のバランスが崩れてしまっては、ほかの従業員の定着率を下げることにもなりかねない点に注意が必要です。

ジョブ型雇用を導入した事例

日本の大手企業で、ジョブ型雇用が導入されたケースを2例紹介します。どちらもグローバル化への対応を意識していることがポイントです。

株式会社日立製作所

大手総合電機メーカーの株式会社日立製作所では、2021年3月までに全ての職種における職務記述書を作成し、同年春には全従業員をジョブ型雇用で採用することを発表しています。

各従業員の能力や意欲をより的確に見極め、適切な人材配置によりそれぞれのパフォーマンスを最大化することが狙いです。

日立製作所がジョブ型雇用の導入を決めた背景には、グローバル化の本格的な進展があります。

世界中に拠点やグループ会社がある現状を考慮し、グローバルで統一された人事ルールの必要性を議論した結果、『ジョブ型人財マネジメント』という雇用方式への移行が決定されたのです。

富士通株式会社

総合エレクトロニクスメーカー大手の富士通株式会社は、2020年4月から課長職以上の幹部社員約1万5000人を対象にジョブ型雇用制度を導入しています。

『FUJITSU Level』と呼ばれる、グローバルに統一された独自の評価基準を基に、月額報酬を算出することが特徴です。

今後は、一般社員にも運用を拡大する予定で、AIなど高度な専門技術を有する人材獲得のための制度も導入を予定しています。

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