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きっと誰かに話したくなる!日本人が好きな魚1位のシャケにまつわる意外な事実

2021.02.27

 マルハニチロが4年前に実施した調査によれば、日本人が「好きな魚」の1位はシャケ(2位はマグロ)、日本人が「ふだんよく食べる魚」の1位もシャケ(2位はサバ)。つまり、日本人はそれだけシャケが好きだしよく食べてる、ってこと。ついでにいうと、地域情報サイトのJタウンネットが昨年1101人を対象に行なった調査では、「鮭」を「サケ」と呼ぶ人は46.5%、「シャケ」と呼ぶ人は53.5%。「シャケ派」が多いので、今回、「鮭」の呼び名は「シャケ」で通させていただきます。

 日本のシャケの漁獲高は、下のグラフをご覧いただければおわかりのとおり、近年激減中で、ピークだった1996年と比べると、去年は約5分の1。今年も昨年と同水準だそうで、歴史的な不漁が続いています。水揚げされるシャケは小型化の一途をたどっており、昔は平均80〜90cmだった魚体が、今は60〜70cm。重さも2〜3kgほど軽くなっているのだとか。シャケは海水温が低くならないと身に脂が乗らないそうで、これも地球温暖化の影響ではないかと考えられています。

 生物学的にいうと、シャケはマス・ヤマメ・イワナと明確な区別がない魚。例えばシャケ缶の中身はカラフトマスですし、川を遡った紅ジャケが湖や沼に残ればヒメマス、サクラマスが川に残ればヤマメと呼ばれます。だいたい、昔は紅マス・銀マスと呼ばれていた魚が、シャケと呼んだほうが高く売れるというので、紅ジャケ・銀ジャケになったくらいですし——みんなひっくるめてシャケとお考えください。

 シャケの卵のイクラも同様。そもそもイクラとはロシア語で「魚卵」の意味。回転寿司で出されるイクラの大半は実はマスの卵の「マスコ」ですし、最も高級なイクラといわれる宮崎県産の「黄金イクラ」は、尺ヤマメと呼ばれる大型のヤマメの卵です。

 シャケは、アニサキスという寄生虫がいるので、基本、生で食べることはできません。ところが、1970年代にノルウェーが、寄生虫を寄せつけずにアトランティック・サーモンを養殖する技術を確立。ノルウェーの漁業関係者は、この寄生虫のいないサーモンの売り込み先を探して、世界でも一人当たりの魚介消費量が突出して多く、生で魚をガンガン食べている日本に目をつけ、サーモンの握り寿司を考案。1992年、ニチレイが、そのノルウェーから養殖アトランティック・サーモンを5000t輸入して回転寿司店に供給。以後、サーモンの握りが爆発的に普及しました。今、寿司ネタで人気No.1のサーモンの握りは、1991年以前はなかったわけで、あれは江戸前寿司ではなくオスロ前寿司。年配の寿司通がサーモンの握りを食べようとしないのは、そのためです。

 日本国内でも、2000年には、数えるほどしかなかったシャケの養魚場が、漁獲高の激減を受け、2010年前後から急増。各県が、和牛並みのブランド化を目指して本気で取り組み、海のない県もシャケを育て始め、暑さに強い品種が開発されて四国や九州でも養殖が可能になりました。今では、全国で育てられているご当地サーモンはゆうに100種類を突破しています。

 シャケはそもそも白身魚で、昔から日本で食べられてきたのは、シロジャケと呼ばれる身が真っ白なシャケですが、シャケの身の色や味は、餌に大きく影響され、紅ジャケの身が赤いのは、餌としてエビやカニを食べているから——この原理を利用して、例えば広島県は、餌にレモン果汁を与えることで身にレモンの味が乗った広島レモンサーモンを、愛媛県は餌にミカンの皮を与えることで、身がミカンの味がするオレンジ色のみかんサーモンを開発。ほかにも、山梨県はニジマスとキングサーモンを掛け合わせた大きくて脂乗りのいい富士の介を、長野県はノルウェーのサーモンより身が締まっていて味が濃厚なシナノユキマスを開発しています。これらはお取り寄せで食べられるので、ご家庭で食べ比べしてみてはいかがでしょうか。

 店で食べ比べをされたい方は、テレビでよく紹介されている自由が丘のイクラ丼専門店『波の』の経営元ブロケードが原宿に出店している、サーモン丼専門店『熊だ』へどうぞ。仕入れ状況によって種類は変わるそうですが、1580円の「三種食べ比べ丼」で、サーモンの食べ比べをすることができます。

 ちなみに、自由が丘の『波の』には、イクラの4色丼(2280円)があり、マスコ、紅ジャケのイクラ、黄金イクラなどを食べ比べることができますので、イクラ好きの方はそちらへ。

シャケ類の漁獲高

出典:漁業・養殖業生産統計年報「海面漁業魚種別漁獲量累年統計」
(全国・1960年〜2019年)をもとに編集部作成

『波の』

『波の』は、2016年暮れに自由が丘にオープンしたイクラ丼専門店。酒肴も日本酒も豊富で、飲み屋としての使い勝手もよさそう。オープン当初、キロあたり3500円前後だったイクラは、すぐに3倍近くまで値上がりし、しかたなくそれに合わせて丼も値上げしたそうです。渋谷区東に2号店があるほか、原宿に同経営のサーモン丼専門店『熊だ』があります。◆目黒区自由が丘 1-3-22 ◆電話:03・6421・1765

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