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多くの上場企業が採用している決算方法「連結決算」とは?

2021.03.02

『連結決算』は、多くの上場企業が採用する決算方法です。子会社や関連会社の決算情報を単に合算するのではなく、連結特有の調整を行う必要があります。決算には期限が設定されているため、段取りよく作業を進めましょう。連結決算の重要性や効率化のポイントを解説します。

連結決算とは?分かりやすく解説!

国内外に子会社や関連会社をもつ上場企業は『連結決算』を行い、企業グループ全体の経営状況を公開する必要があります。

決算には『連結』と『単独』の2種類がありますが、どこがどのように違うのでしょうか?

子会社・関連会社を含めた決算方法

『連結決算』とは、親会社・子会社・関連会社を含めた『グループ全体の決算』のことです。

日本で連結決算が義務付けられたのは1978年3月期ですが、決算情報の情報開示が始まったのは2000年3月期になってからです。

『金融商品取引法におけるディスクロージャー制度』が見直され、以来、連結決算中心の開示が行われています。

長い間、日本では1社のみの『単独決算』が行われてきましたが、単独決算ではグループ企業全体の実情が分かりにくいのが課題でした。

連結決算ではグループ内取引が『消去』されるため、グループ企業の経営実態が正確に把握できます。

対象となる子会社・関連会社

連結決算の提出義務があるのは『有価証券報告書を提出する大会社』です。ここでいう『大会社』とは、資本金5億円以上・負債総額200億円以上の株式会社を指します。

そのため、『社会的影響力のある上場企業』のほとんどは、有価証券報告書を提出していると考えてよいでしょう。

連結決算には、全ての子会社・関連会社を含めるのが原則です。ただし、子会社の決算提出の『重要性が低い』と認められた場合は、連結の範囲から除外することもできます。

子会社の重要性は、経営戦略上の位置付けなどの『質的な側面』と、資産・売上高・利益・ 利益剰余金などの『量的な側面』により判断されます。

出典:会社法444条 - 会社法の条文と解説Web
出典:大会社|会社法|EY新日本有限責任監査法人

連結決算を行う理由

連結会計では、企業グループ全体の経営状況が開示されます。単独決算だけでは、グループ全体の評価が適切に行えず、企業経営における利害関係者にも影響を及ぼしてしまうでしょう。

正しい情報を開示するため

連結決算を行う主な理由は、『企業グループ全体の正しい情報を開示するため』です。

大企業では、子会社やグループ会社を使って多角的な経営を行っています。親会社単独決算だけでは、企業全体の業績や財政状況を判断することは難しいのです。

連結決算が義務化されていないと、会社への『飛ばし』といった粉飾決済が行われる可能性も否定できません。これは、含み損を抱えた有価証券を一時的に転売し、損失や赤字をごまかす行為です。

また、子会社や関連会社間の売買も利益として計上された場合、企業グループ全体で利益がどれだけ発生しているかが分かりません。

全体の実態が不明な限り、『債権者』や『投資家』は企業とともに利益を追求していくことはできないでしょう。連結決算にはステークホルダー(利害関係者)を保護するといった役目もあるのです。

連結決算を作成する4つの流れ

連結決算の大まかな流れは『個別決算情報の収集』→『連結調整前財務諸表の作成』→『連結修正仕訳』→『連結財務諸表の作成』です。

各企業の損得を全て単純合算した後、内部取引を相殺し修正を加えていきます。

1.決算情報を収集・合算

最初に、各子会社や関連会社が作成した『個別決算情報』を収集します。

個別決算情報とは、『貸借対照表』『損益計算書』『株主資本等変動計算書』といった『財務諸表』のことです。

のちに、グループで計上している利益は全て控除しなければならないため、『グループ内における取引情報』『グループ内商品の期末在庫金額』『グループ内で購入した固定資産』なども収集しておきましょう。

収集後、親会社は子会社・関連会社から集めた個別財務諸表を合算する作業に入ります。ここでは、全ての会社の損益を『単純合算』します。

子会社・関連会社の会計基準が異なる場合、連結に時間や労力を要します。あらかじめ、企業グループ全体で『会計方針』を統一しておくとよいでしょう。

2.連結調整前財務諸表を作成

全ての個別財務諸表を単純合算した後、『連結調整前財務諸表』を作成します。作成時は、以下の点に注意しましょう。

  • 勘定科目をグループ会社で統一する
  • 海外の子会社・グループ会社の財務諸表は円換算にする
  • 決算日を統一する

日本の会計基準において、子会社の決算日と連結決算日の差異が3カ月以内であれば、決算期を統一する必要はないとされています。

ただ、将来的にIFRS(国際財務報告基準)適用を考えている場合は、決算日は統一しておくのが理想です。

3.連結修正仕訳を作成

連結調整前財務諸表には『企業グループ間の取引』が含まれているため、『連結修正仕訳』によって、内部取引を相殺消去しなければなりません。

連結修正仕訳作成の流れは以下のとおりです。

  • 開始仕訳
  • 親会社の投資と子会社の資本の相殺消去
  • 取引高の消去
  • 未実現利益の消去
  • 貸倒引当金の調整

『開始仕訳』とは、前期に行った連結修正仕訳を当期に引き継ぐための仕訳です。

前期の連結修正仕訳は前期の連結精算表上でのみで行われるため、収集した個別財務諸表には反映されていません。開始仕訳により『前期末の利益剰余金』と『当期首の利益剰余金』を一致させる必要があります。

4.連結財務諸表を作成

連結調整仕訳の後は、親会社・子会社・関連会社の財務諸表を合算し、『連結財務諸表』を作成しましょう。この段階では、相殺消去などの調整作業は全て完了しています。

連結財務諸表の構成は以下のようになります。

  • 連結貸借対照表:企業グループ全体の財務状況
  • 連結損益計算書:企業グループ全体での経営成績
  • 連結キャッシュフロー計算書:会計期間における収入と支出の状況
  • 連結株主資本等変動計算書:連結貸借対照表における純資産の部の変動事由

連結財務諸表の勘定科目については、金融庁のガイドライン『連結財務諸表規則』を確認しましょう。

出典:金融庁 連結財務諸表規則

連結決算を行う際のポイント

連結決算は時間や手間がかかるものです。『担当者が不慣れ』『グループ内で会計基準がバラバラ』『システムが古い』などの問題があると、連結決算の期限に間に合わない可能性が高くなってしまいます。

スムーズに作業を進めるための三つのポイントを紹介しましょう。

経理担当者の知識を高める

連結決済では、『開始仕訳』や『未実現利益の消去』『貸倒引当金の調整』といった『連結特有の調整』が行われます。単独決済にはない作業が多いため、経理担当者は常に情報収集をし、知識を高めておく必要があります。

そのため、知識の浅い担当者に対しては、親会社から講師を派遣するなどして、十分な研修を行いましょう。

親会社・子会社・関連会社間で認識のズレが起こらないように、こまめな『情報共有』も欠かせません。

システムを導入して効率化

複数の子会社を有する企業は作業に多くの時間と手間がかかります。連結決算を効率化する会計システムを積極的に導入し、担当者の負担を減らすことも重要です。

連結決算を行う企業の中には、『ERP(統合基幹業務システム)』を導入しているところが少なくありません。

さまざまな組織や部署の情報を一元管理できるシステムで、企業全体の状態をリアルタイムで把握できるというメリットがあります。

EXCELなどの表計算ソフトを用いるよりも、決算情報の収集や共有がスピーディーに行えるでしょう。

また、グループ全体で使用する『会計システム』を統一することも検討しましょう。

入力した経費データが連結決算処理にそのまま反映されるシステムを導入すれば、経理担当者の負担が大きく軽減されます。

スケジュールには余裕をもって

連結決算には期限があります。上場企業の場合は『決算期末後45日以内(休日の場合は翌営業日)』に情報を開示しなければならないため、各社のスケジュール管理は徹底して行う必要があります。

とりわけ、子会社や関連会社が多い場合は、決算情報を集めるだけでも一苦労です。会計システムやERPなどを導入しても、個別財務諸表の合算には時間と労力が費やされるでしょう。

スケジュールを組む際は、ギリギリではなく余裕をもたせるのがポイントです。不慣れな担当者がいる場合は早い段階で研修を済ませておきましょう。

出典:決算短信作成要領・四半期決算短信作成要領 | 日本取引所グループ

構成/編集部

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