ビジネスにおいて話し方は、重要なスキルの一つ。中でも、特に話し方が重要視されるのが、コンサルタント業だ。外資系のコンサルティングファームでは、知識も人格レベルも非常に高いものが求められる。
そこで今回は、かつて外資系コンサルティングファームに勤めて業績を上げた後に起業し、現在は若手ビジネスパーソンの教育事業を行う株式会社Ex-Work代表の馬渕太一さんに、外資系コンサル流の話し方の特徴を教えてもらった。
外資系コンサルが話をする主なシーン
外資系コンサルが話すシーンというのは、具体的にどんなシーンか。馬渕さんによると、主に次の3つがあるという。
【取材協力】
馬渕太一さん
株式会社Ex-Work代表。京都大学卒。三井物産にて貿易ビジネスに従事後、外資戦略コンサルファーム A.T. Kearneyにて、大手企業の経営戦略立案や自社の採用活動に携わる。現在は起業し、若手ビジネスパーソン向けに人材・教育事業を展開。
https://exwork.jp/corp
1.上司への報告・連絡・相談
「これは他の企業でも一般的に行われる仕事の基本ですが、外資系コンサルでもその基本を徹底することが必要です」
2.チーム・クライアントとの議論
「コンサルの仕事の性質上、話し合って何かを決めることが多いので、議論の機会が多くなります。機会が多いからこそ、効果的な話し方をして仕事を前に進めることが求められます」
3.クライアントへのプレゼンテーション
「定例会や最終報告会などで、クライアントにプレゼンテーションをすることで成果を伝えます。ここでも相手に納得するためのロジカルな話し方が必要となります」
外資系コンサルの話し方の特徴5つ
あらゆるシーンで話す機会のある外資系コンサル。話し方の特徴は次の5つがあるという。
1.結論ファースト
「説明をする際には、主張を端的に伝えるために必ず『結論』→『根拠』の順番で話します」
2.根拠を三つ挙げる
「『結論』→『根拠』で話すことが求められますが、根拠は一つではなく、複数あるほうが望ましいです。一つだけでは、論理が弱く、それが否定された場合に結論が成り立たなくなります。その数は三つがちょうどいいとされます。コンサルタントは、結論を述べた後に『根拠は三つあります。』という言葉をよく使います」
3.ポジションを明確にする
「『賛成』か『反対』か、『自分の意見は何なのか』を明確化することが求められます。どっちつかずの意見を話していては、相手は理解ができず、話が前に進まないからです」
4.意見と事実を分ける
「例えば『この商品はコスパが良い』と言ったときに、それは単なる自分の意見(感想)なのか、他製品との比較データに基づいた事実なのかを分ける必要があります。それを聞いた上司やクライアントが、誤解したまま判断してしまうと、誤った意思決定になる可能性があります」
5.会議では必ず発言する
「これは話し方というより姿勢なのですが、コンサルタントは新米であろうと必ず会議で発言することが求められます。発言をしない人は会議での価値がないと言われてしまうからです」
外資系コンサル流の話し方を身につけるためのコツ
外資系コンサルのようにロジカルかつわかりやすく話したい。そんな憧れを持つビジネスパーソンに向け、外資系コンサルの話し方を身につけるためのコツを聞いた。
「一番早い方法としては、周りにいる話し方が上手い人を真似ることです。まずは徹底的に真似をしようとすると、一から我流で改善していく手間と時間をショートカットして早く上達できます。
徹底している方だと、自分の話と上司の話のそれぞれを録音して、その違いを書き出して次から実際に実践していました。よく上司のモノマネをしていた人が、いつの間にかロジカルな話し方が身についたなんて話もあります。武道でも『守・破・離』と言われる通り、最初は師匠を決めて、徹底的に真似て型を身につけるのがおすすめです」
外資系コンサル流の話し方の基本は、とてもシンプルなものだった。まずは真似をすることから始め、特徴をよく捉えながら話し方のスキルを上げていこう。
取材・文/石原亜香利