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世界で導入が進む国際会計基準「IFRS」と日本の会計基準との違いとは?

2021.02.15

『IFRS』は世界で導入が進んでいる国際会計基準です。企業のグローバルな経済活動において、会計基準の統一は必要不可欠でしょう。一方で、日本の会計とはルールが異なり、導入には多くの負担が生じます。IFRSのメリット・デメリットを考えてみましょう。

IFRSとは?

『IFRS(International Financial Reporting)』は、130カ国以上の国々で義務化されている『国際会計基準』です。

世界中で導入の必要性が認識されていますが、日本では普及がそれほど進んでいないのが現状です。

世界共通の会計基準

『IFRS(アイファース・イファース)』とは、国際会計基準審議会(IASB)が定める『世界共通の会計基準』です。

各国は、自国の文化や価値観に基づいた独自の会計基準を持っていますが、グローバルな経済活動の中では『財務諸表の比較ができない』という問題が生じます。

世界基準の会計ルールを設けることで、経済活動により利便性をもたらそうとしたのがIASBなのです。

IASBはロンドンに拠点を置く民間の非営利組織ですが、各国政府機関からの支持を受け、今やグローバルスタンダードになりつつあります。

2005年、EU域内の上場企業でIFRSが義務化されました。これがきっかけでIFRSは世界中に波及し、現在は130カ国以上で採用されています。

日本のIFRSの状況

2005年にEUでの義務化が始まると、日本政府は国内の会計基準をIFRSにコンバージェンスさせることを固めました。

会計における『コンバージェンス』とは、IFRSそのものを採用するのではなく、自国基準をIFRSに歩み寄らせるという意味です。

日本の会計基準設定団体『ASBJ』は、IASBと共同で『コンバージェンスプロジェクト』を進め、09年にはIFRSの『任意適用』を認める中間報告を公表しました。

10年3月期には上場企業の連結財務諸表への採用を認め、13年には日本版IFRSであるJ-IFRS(JMIS)が導入されています。

20年の時点では、IFRSを適用している企業は200社以上で、今後も徐々に増えていくと予想されます。

IFRSと日本基準の違い

IFRSと日本の会計基準は、真逆の特徴を持っているといわれます。IFRS導入をすれば、会計方針や方法の大転換を迫られるでしょう。IFRSと日本基準の三つの違いを解説します。

原則主義

日本は『細則主義(ルール・ベース)』であるのに対し、IFRSは『原則主義(プリンシプル・ベース)』です。

『原則主義』では、財務報告に関する大まかな原則のみが示されます。会計処理のための詳細な判断基準や数値基準は設定されず、具体的な解釈や運用は各企業に委ねられるのが基本です。

自由度が高く、企業の経営実態が適切に反映されるのがメリットですが、独自の解釈をした際には『注記』としてその根拠を明確に示さなければなりません。

日本の会計基準である『細則主義』は、一定のルールに従うことを重視する考え方です。ガイダンスの中から判断基準や数値基準を見つけ、それに則って会計処理を行います。

公正価値評価

IFRSではさまざまな基準書に共通して『公正価値評価』が用いられます。

  • 金融資産:公正価値で事後測定
  • 資産の減損:回収可能価額として処分コスト控除後の公正価値を算定
  • 初度適用企業:IFRS移行日のみなし原価として公正価値を採用

貸借対照表上の資産や負債の価額を算定する評価基準の一つで、簡単にいうと『時価』のようなものです。

IFRSでは『測定日時点、市場参加者間の秩序ある取引において、資産を売却するために受け取るであろう価格、または負債を移転するために支払うであろう価格』と定義されています。

資産負債アプローチ

IFRSは『資産負債アプローチ』を採用しています。貸借対照表(BS)を基準として利益を求める傾向があるともいえるでしょう。

利益の算出方法において、『利益=期末純資産-期首純資産』といったように、純資産の正味の増減額を利益とする考え方です。この利益は、含み益や含み損を含んでいることから『包括利益』と呼ばれます。

資産負債アプローチに対するのが『収益費用アプローチ』です。損益計算書(PL)を重視した考え方で、利益は『利益=収益-費用』で算出されます。

日本の伝統的な会計方法は、後者の収益費用アプローチです。しかし、近年はIFRSとのコンバージェンスにより、資産負債アプローチも適用されています。

IFRSのメリット

世界共通の会計基準を導入すると、企業にはどんなメリットがもたらされるのでしょうか?とりわけ、グローバルな経済活動を行う企業にとっては欠かせないものといえます。

財務情報を正確に比較できる

IFRSは、グローバルレベルのモノサシです。

海外に事業展開をしている企業の場合、親会社・子会社の全てにIFRSを導入することで、業務成績や経営状態がより正確に比較できます。

もし、子会社がそれぞれの国の会計基準に従って財務諸表を作成していたとすれば、簡単に比較はできません。

IFRSで統一することで、グループ会社はもちろん、IFRSを導入する同業他社との比較も行えるため、今後の運営方針を決定するのに役立つでしょう。

スムーズな国際取引が可能に

多くの投資家は自国の企業だけでなく、他国の企業に投資する機会を持ちたいと考えています。

投資の意思決定を行う場合、複数の企業の財務諸表を比較するのが前提ですが、企業が自国の会計基準に従って財務諸表を作成している場合、比較検討が困難です。

企業側も投資家や取引先に対し、会計資料を書き換えて説明する必要性が出てくるでしょう。

IFRSを導入すると、投資家や取引企業に対してグローバルレベルの財務情報が提供できるようになり、ビジネスや取引がより円滑に進むのです。

資金調達の幅が広がる

ビジネスを行うには膨大な資金が必要です。グローバルに展開する企業は、資金の調達先を海外マーケットに求めることが多くなるでしょう。

使用する財務諸表が自国基準だった場合、相手に具体的な方向性や基準が示せません。海外企業や銀行との話し合いがなかなか進まず、調達先も限られてしまいます。

この場合、『海外市場向けの会計資料』を作成するのが一般的ですが、IFRSに基づいた財務諸表があると、資料作成にかかる時間と労力が省けます。資金調達の幅が大きく広がるでしょう。

IFRSのデメリット

IFRSの適用企業は徐々に増加していますが、日本の会計基準に慣れている企業にとって、導入は容易とはいえません。導入に際し、コスト・労力・時間がかかってしまうのが最大の問題といえるでしょう。

コストがかかる

IFRSを導入するには多くのコストがかかります。IFRSに関する専門知識がない企業の場合、外部のコンサルタントの採用は必要不可欠です。

依頼先によっても異なりますが、『コンサルタント費用』と『監査費用』だけでもかなりの金額になるでしょう。

導入後は、自社で社内チームを立ち上げ、コンサルタントに定期的な後方支援を依頼するのが一般的です。

月に数回のサポートで数十万円はかかるケースもあるでしょう。オプションで『社内研修』なども付帯すれば、コストはさらにかさみます。

導入までの労力が負担に

日本の会計基準に慣れた企業にとって、内容が180度異なるIFRSを導入するには、労力と時間がかかります。オペレーションの変更にあたり、担当者の教育もゼロからやり直さなければなりません。

IFRSを導入した最初の年は『初年度適用』と呼ばれる規則に従います。前期と当期の2期分の財務諸表をIFRS対応で開示しなければならないため、担当者の負担が増える可能性は高いでしょう。

また、会計において『IFRSが適用できるもの』と『できないもの』があります。

『連結財務諸表』はIFRSに適用していますが、企業単体の財務表である『個別財務諸表』はIFRSの適用が認められていません。そのため、現在の日本においては、日本基準の『個別財務諸表』を別途作成する必要があります。

構成/編集部

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