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売れ残りや大量破棄を防ぐ物流用語「DCM」とはどんな意味?

2021.02.14

日本の製造業はSCM(サプライチェーンマネジメント)が主流でしたが、近年は、需要に応じて供給を調節するDCM(デマンドチェーンマネジメント)の重要性が高まっています。従来のSCMとの違いや、DCMを運用するメリットについて解説します。

そもそもDCMとは?

『DCM(Demand Chain Management)』は物流用語の一つで、正式名称を『デマンドチェーンマネジメント』といいます。物流管理における重要性や、SCM(サプライチェーンマネジメント)との違いについて理解を深めましょう。

消費側を起点とした管理システム

DCMとは、『消費者側』から得られる情報を起点とした物流管理システムのことです。

『消費者』→『小売店』→『卸業者』→『生産メーカー』→『原材料メーカー』というように、消費者のいる川下からメーカーが位置する川上に情報が遡ります。

調達・生産・商品開発などの各プロセスが『顧客の購買傾向』に基づいて最適化されるため、『過剰在庫』や『欠品』が起こりにくいのがメリットです。

DCMが生み出されたのは1990年代以降で、市場の成熟化や製品寿命の短期化により、売れ残りや破棄が大量発生したことに起因しています。

これまでは、供給者(メーカー)の目線で次々とモノが生み出されましたが、市場が成熟化した後は、消費者のニーズをいかに製品開発に反映させるかが注目されているのです。

SCMとの違い

『SCM(サプライチェーンマネジメント)』も、供給者から消費者までを結ぶ一連の流れを指します。SCMとDCMの違いは『どちらの立場を起点にして管理をするか』という点です。

SCMは『供給連鎖管理』とも呼ばれます。DCMでは小売店や消費者などの『需要側』からバリューチェーン(価値連鎖)を構築するのに対し、SCMは『供給側』からの情報を起点に、全体の管理や最適化を行うのが特徴です。

DCMは消費者の購買傾向に重きが置かれますが、SCMはプロセスにおける業務の効率化やコストの削減に重きが置かれる傾向にあります。

DCMの目的

日本の流通業界はSCMが中心ですが、消費者ニーズの多様化に伴い、SCMだけでは立ち行かなくなっているのが現状です。今、多くの企業がDCMを取り入れようとする理由は何なのでしょうか?DCMの主な目的を見ていきましょう。

多様化した消費者のニーズの把握

DCMの目的の一つに、『多様化する消費者のニーズ把握』が挙げられます。

大量生産・大量消費の時代は、SCMで企業側が市場に商品を一方的に売り込んでいく傾向がありました。需要を意識せずとも、『良い製品を作りさえすれば売れる』という時代だったのです。

しかし、成熟市場では『消費者がほしいと感じる商品』を『適切なタイミング』で提供しなければ、企業は競争で優位に立てません。

現代は消費者のニーズが多様化・高度化しています。DCMによって消費者の特性を知り、ニーズを的確に捉えることは不可欠といえるでしょう。

無駄の削減と流通の効率化

DCMには、過剰在庫を削減する目的もあります。多くの在庫を店に確保しておけば、消費者の需要に迅速に対応可能です。しかし一方で、『生産過剰』や『売れ残り』のリスクに晒されます。

DCMは消費者のニーズを的確に把握し、望むものを望むだけ提供するシステムです。生産過剰や売れ残りはもちろん、売れ筋の品切れも未然に防げるでしょう。

DCMの特徴は、消費者のいる川下からメーカーのいる川上に情報が遡ることです。小売店がメーカーに顧客情報や在庫情報をタイムリーに提供すれば、無駄の削減はもちろん『流通の効率化』も実現できます。

DCMの運用方法

DCMでは需要側から得られる情報を基に、商品開発や資材の調達、生産などが進められていきます。実際のモノづくりの現場では、どのようにDCMが運用されているのでしょうか?

消費者の需要を整理

最初のステップとして、消費者の『プロファイリング』を行います。

プロファイリングとは、履歴データから性別・年齢・生活態度などを特定し、人物像や未来の行動を推測する手法の一種です。

DCMでは、個人情報や購買履歴を基に消費者の過去の行動を分析し、『購買行動の類型化』を行っていきます。

消費者をタイプ分けすることにより、『どんな商品でアプローチしていくべきか』が明らかになるのです。消費者の需要を整理した後は、『基本の品揃え』や『価格』などを決定していきます。

POSデータを活用

消費者のプロファイリングに活用されているのが『POSデータ』です。

『POS』とは「Point of Sales(ポイント・オブ・セールス)」の略で、『販売時点情報管理』とも呼ばれます。小売店のレジで商品が売れたときのデータと考えましょう。

POSデータには、商品が売れた店舗・時間・個数・価格・商品名などが記録されています。それらのデータから

  • 誰に何が買われやすいか
  • 売れ筋・死に筋の商品はどれか
  • 最近売れるようになった商品は何か
  • 商品が売れやすいタイミングはいつか
  • セットで売れる商品は何か

などが分かります。

POSデータを外部に公開する小売店はほとんどありませんが、DCMにおいてはメーカー側にも共有されています。このデータが、マーケティングや消費者のプロファイリングなどに役立てられるのです。

他部門と情報共有

プロファイリングの後は、顧客ターゲット層や消費者のニーズに基づいた『商品計画』と『需要調整』を行います。

取り扱う商品を決定した後、適切な数量や価格、販売のタイミングなどを逆算していくのが一般的です。

販売体制が決まった後は、他部門との『情報の連携』が行われます。DCMは、部署間の連携や情報の共有がなければ成り立たないシステムといっても過言ではありません。

多くの企業では、基幹部門の情報を1カ所でまとめて管理する『ERP(Enterprise Resource Planning)』というシステムを導入しています。全部門が互いの状況をタイムリーに把握できるため、組織全体の業務効率が向上するのです。

小売店側から需要データが提供されると、各部門では迅速に実態を把握し、情報を流通や生産プロセスに反映させます。

構成/編集部

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