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流通・小売業でよく使われる「マーチャンダイジング」とはどんな意味?

2021.03.01

ビジネス用語の中には、特定の業界のみで使用されている言葉があります。『マーチャンダイジング』もその一つで、流通・小売業に特化したマーケティング用語です。マーチャンダイジングの基本的な仕組みと種類、重要な五つの適正について、分かりやすく解説します。

マーチャンダイジングとは何か?

『マーチャンダイジング』は、「商品を売買する」「商品以外のサービスや設備などを商業化する」「宣伝する」といった意味を持つ言葉です。日本では『商品政策』『商品化計画』などと訳されています。

流通・小売業界におけるマーチャンダイジングの具体的な役割について解説します。

流通・小売業に特化した販売戦略

『マーチャンダイジング』は、商品を消費者に直接提供するマーケティング戦略の一環として用いられます。

商品の選定や仕入れから始まり、消費者に購入してもらうまでの一連の流れを、効果的・戦略的に進めていくための手法なのです。

より具体的に解説すると、消費者のニーズを見極めて商品を選定し、ニーズが高い時期に欠品や過剰在庫にならないように適正な量だけ仕入れます。

さらに、店頭での魅力的なディスプレイ、販売促進のための広報の徹底、適正な販売価格の設定までを担います。

企業の中で、マーチャンダイジングを担当する人が『マーチャンダイザー(MD)』です。

価格や販売形態を決めるプロセスが重要

マーチャンダイジングで重要な部分は、どのような基準で商品の仕入れの時期や量を選択し、どのような分析に基づいてディスプレイや販売価格を決めるのか、分析と仮説、検証を繰り返しながら確立していくプロセスです。

マーチャンダイジングを導入することで、市場のニーズやデータに基づいた販売戦略が確立できれば、継続的な業務改善が可能になると同時に、評価基準も明確になります。

マーチャンダイジングの種類

マーチャンダイジングにはいくつかの種類があり、その代表的なものに『ビジュアルマーチャンダイジング』と『クロスマーチャンダイジング』があります。

ここでは、その二つのマーチャンダイジングについて、それぞれ見ていきましょう。

ビジュアルマーチャンダイジング

『ビジュアルマーチャンダイジング』は、1940年代にアメリカのディスプレイ会社で使われ始め、70年代にその概念が日本でも導入・浸透し始めました。日本では『VMD』、海外では『VM』と呼ばれています。

日本では87年に『日本ビジュアルマーチャンダイジング協会』が設立されました。

同協会ではビジュアルマーチャンダイジングに対し『企業の独自性を視覚化し、流通の場で商品などの視覚的要素を演出・管理する活動』と定義付けています。

従来ビジュアルマーチャンダイジングの手法を用いた売り場作りは、消費者が直接訪れる店舗での販売に限られていました。

しかし、ECビジネスが盛んになった現代では、サイトの中でどのような見せ方をして商品の魅力を伝えるのかなど、バーチャル店舗においても、その手法が重要視されています。

出典:VMDとは|JAVMA 日本ビジュアルマーチャンダイジング協会

クロスマーチャンダイジング

『クロスマーチャンダイジング』とは、商品の属性は異なるものの、何らかの関連性のある商品同士を並べて陳列することで消費者の利便性を高め、購買意欲を刺激する展示訴求の手法です。

スーパーマーケットなどで、牛肉販売コーナーの横に焼き肉やすき焼きのタレを陳列していたり、酒類の売り場でビールが積まれた横に乾き物を陳列していたりするのを見かけたことがあるでしょう。

このように、属性が異なるものを関連性に基づいて陳列する手法は、まさにクロスマーチャンダイジングの代表例です。

マーケティング協会が定義「5つの適正」

マーチャンダイジングには、その考え方の核となっているものがあります。それが『アメリカ・マーケティング協会(AMA)』が、マーチャンダイジングの定義として掲げている『五つの適正』です。

それぞれ項目ごとに詳しく見ていきましょう。

1.適正な商品

『適正な商品』とは、適正な品揃えのことです。店舗に足を運んでくれる消費者のニーズに合わせた商品選びを行っているかをチェックする作業を指します。

適正な商品選びは、店の売り上げを左右する重要な仕事です。

大手小売店では、仕入れる商品を選定する『バイヤー』と呼ばれる専門職がこの業務にあたっています。

2.適正な時期

『適正な時期』とは、消費者のニーズが高い時期に合わせて、商品の仕入れや販売を行うことを指します。

真夏に毛糸の手袋を仕入れてもニーズはほとんどありませんし、真冬にビーチサンダルを仕入れても夏と比較すれば需要は少ないでしょう。

このように、時期に合わせた商品を見定めることも、マーチャンダイジングには必要な要素です。

3.適正な場所

『適正な場所』とは、消費者にとって買いやすく、さらに購買意欲を刺激するように商品の陳列方法を工夫することを指します。

例えば、コンビニでレジの前に小腹を満たすような菓子類が販売されていて、買うつもりはなかったのにレジ待ちの間につい買ってしまった経験がある人は多いことでしょう。

これはまさに、客の心理や動線を考えて、適正な場所に商品を配置したことでもたらされる効果です。

4.適正な量

『適正な量』とは、適正な在庫管理を意味し、仕入れと販売のバランスが取れるように管理と分析を徹底することを指します。

小売店で欲しい商品の欠品が続けば、客に「品揃えが悪い店」という印象を与えてしまうでしょう。逆に過剰に在庫をかかえれば、余分な経費がかかったり資金繰りが悪くなったりする原因になってしまうのです。

5.適正な価格

『適正な価格』とは、正しいマーケティング分析に基づき、商品に適正な価格を付けることを指します。

原価に対してどのくらい利益をのせて販売するかは、小売店としての腕の見せどころです。

一方で、近隣の競合他店とのバランスや、売れ残り商品にどのような値段を付けて売りさばくかなど、非常に難しい作業でもあります。

店舗経営におけるメリット

マーチャンダイジングを導入することは、小売業者がビジネスを行う上で当たり前に守るべきことを、当たり前にこなすための仕組み作りだともいえるでしょう。

マーチャンダイジングを行うことで得られるメリットについて、具体的に紹介していきます。

満足度が上がり売り上げ増が期待できる

大量生産・大量販売されている商品を扱っている小売店の場合、特に都市部では同一商圏に競合他社が多数存在するでしょう。

その中で、自店のポジションを確立していくには、商品力の向上を図り、魅力のあるディスプレイを行い、競争力のある価格設定にすることが求められます。

これらを消費者の目線から見てみましょう。もし、魅力ある商品が手頃な価格で展示されていれば、自然とその店に足が向くはずです。 

つまり、マーチャンダイジングを導入することは『消費者の求める店舗の姿に近づくこと』を意味します。

自然と消費者の満足度が上がり、客の購買単価の上昇や固定客の獲得、集客の促進などが期待できるのです。

成功事例を後に生かしやすい

小規模の小売業の場合、長年の勘や引き継がれてきた伝統に基づいて店舗運営がされていることが多くあります。

もちろん、こうした方法にもメリットはありますが、伝統的なやり方が消費者のニーズや時代に合わなくなってきても気づくことができず、経営不振に陥ってしまう企業があることもまた事実です。

一方マーチャンダイジングは、エビデンスのあるマーケティング分析に基づいて最適な実践方法を導くものです。そのため、成功のノウハウを社員間で共有でき、後に生かしやすいという特徴があります。

ただし、消費者や時代のニーズ、店舗が置かれた環境などは、時代に合わせて変わっていきます。一度ノウハウを確立したとしても、繰り返しマーチャンダイジングを行い、常に情報をアップデートしていく必要があるでしょう。

マーチャンダイジングの活用事例

最後に、マーチャンダイジングの成功事例として『ドン・キホーテ』と『IKEA』の事例を紹介します。これらの事例には、マーチャンダイジングを正しく行い、ビジネスを成功に導くためのポイントが隠されているはずです。

ドン・キホーテ

今や小売業界の大手となった『ドン・キホーテ』 のビジネスモデルの成功例として頻繁に取り上げられるものに『圧縮陳列』があります。

『迷路』とも呼ばれ、一見無秩序に商品が山積みにされている印象を受ける店内ですが、実は入口側の棚は低くして奥まで見渡せるようになっているのです。

その視線の先に目玉商品を配置して客の動線を伸ばすことで『ついで買い』を狙うなど、マーチャンダイジングおける『適正な場所』が効果的に実践されています。

さらに格安で知られる同店ですが、ただ安いだけではなく『PC(プライスコントロール)』と呼ばれる『意外性のある安さ』を狙った価格付けを行っています。

これはまさに、マーチャンダイジングにおける『適正な価格』に該当するといえるでしょう。

IKEA

スウェーデン発祥のホームファニッシングカンパニー『IKEA』も、その独特な陳列方法で知られる企業です。1943年に創業し、51年から家具のカタログ販売をスタートさせ、現在では世界中に出店しています。

郊外に出店することで広い店舗面積を確保した店舗では、客の動線が必然的に長くなり、平均1時間は店内を滞留しているといわれます。

さらに、従来のように家具の種類ごとに売り場を設けるのではなく、子ども部屋やリビングを再現した体験型ショールームの体裁でディスプレイしていることがポイントです。

こうした売り場作りを行うために、各ストア内に『ビジュアルマーチャンダイザー(VMD)』を配し、季節や地域性、トレンドを意識した空間作りを行っています。

構成/編集部

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