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「インサイダー取引」で規制の対象となる取引とは?会社員なら覚えておきたい定義、罰則、事例

2021.01.18

インサイダー取引は、金融商品取引法で規制されている重大な違反行為。この法律を守らなかった場合、相応の罰金刑や懲役刑が科せられる。過去には有名な事例がいくつかあるため、多くの人が「経営層だけの話」だと思っているかもしれない。しかし、実は知らず知らずのうちに、誰しもがインサイダー取引に関わってしまう可能性があることを忘れてはいけない。

そこで本記事では、インサイダー取引とは何か、その定義や取引規制の対象者、主な罰則を解説したい。インサイダー取引規制についての書籍も出ているので、具体的な例を学ぶために活用してみるのも良いだろう。

インサイダー取引とは?わかりやすく解説

インサイダー取引とは、株式発行会社の重要事実(内部事情)を知る人が、その立場を利用して情報公表前に株式の売買を行うこと。金融商品取引法(166条、167条)で規制されており、重要な違法行為にあたる。

「内部事情」は金融商品取引法の中では「重要事実」と言われており、世間では「インサイダー情報」と呼ばれることもある。合併や業務提携、主要株主の異動や取引先との取引停止など、投資者の投資判断に影響を及ぼす事実を指す。

簡単に説明すると、本来の株取引は「全員が得られる情報をもとに行わなくてはならない」ということ。一般の投資家が知りえない、自分だけが特別に得た情報で株式の売買を行って利益を得ることは、証券市場の公平性に反する。つまり、インサイダー取引が禁止されているのは、「証券市場の公平性や健全性を保つため」だ。

法律によるインサイダー取引規制とは?

金融庁は、金融商品取引法第6章でさまざまな「有価証券の取引等に関する規制」を定めている。この中で特にチェックしておきたいのが「インサイダー取引規制(金融商品取引法166条・167条)」だ。

この金融商品取引法は2014年に改正され、たとえ自身が株式を購入していなくても、インサイダー取引に該当する事例も出てきた。例えば、(自分名義ではなく)家族名義で株式売買してもいけない。

「インサイダー取引規制(金融商品取引法166条・167条)」の詳細は以下の通り。

<会社関係者のインサイダー取引規制>

・会社関係者の違反行為(金融商品取引法第166条)

「会社関係者」は、上場会社等の業務等に関する「重要事実」を、その者の職務等に関し知りながら、当該重要事実が「公表」される前に、当該上場会社等の株券等の「売買等」を行ってはならない 。

・情報受領者の禁止行為(金融商品取引法第166条第3項)

「第一次情報受領者」は当該重要事実が「公表」される前に、当該上場会社等の株券等の「売買等」を行ってはならない。

<公開買付者等関係者のインサイダー取引規制>

・公開買付者等関係者の禁止行為(金融商品取引法第167条第1項)

「公開買付者等関係者」は、「公開買付け等事実」を、その者の職務等に関し知りながら、当該公開買付け等事実が「公表」される前に、当該公開買付け等に係る株券等の「買付け等」又は「売付け等」を行ってはならない。

・情報受領者の禁止行為(金融商品取引法第167条第3項)

「第一次情報受領者」は、当該公開買付け等事実が「公表」される前に、当該公開買付けに係る株券等の「買付け等」又は「売付け等」を行ってはならない。

引用元:インサイダー取引規制の概要 金融庁総務企画局市場課

インサイダー取引に罰則はある?

インサイダー取引を行った場合の罰則は、同じく金融商品取引法で定められている。個人の場合は5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、または懲役と罰金の両方が科せられる場合もある。(金融商品取引法第197条)

法人は、犯罪を行った行為者だけが罰せられるだけでなく、法人そのものにも罰則がかけられるケースもある。この場合、法人に対して5億円以下の罰金が科せられる。(金融商品取引法第207条)

また、インサイダー取引によって得た財産は没収、または追徴される。この場合の「財産」とは、取引によって得られた「利益」ではなく、「インサイダー取引に関わったお金すべて」を言う。(金融商品取引法第198条)例えば、買い付け代金が100万円で、その後200万円で売却したとする。この場合、利益は100万円だが、没収されるのはインサイダー取引に関わったすべてのお金、つまり200万円ということになる。

インサイダー取引は刑事罰ではないが、行政の措置として課徴金納付命令が出される。課徴金納付命令が出された場合、違反行為による経済的利益相当額として、法令所定の方法により計算された金額を国庫に納付することになる。

取引の対象者 どこからどこまでが会社関係者なの?家族は含まれる?

インサイダー取引の対象者は「会社関係者」と「情報受領者」の2つに分類される。

「会社関係者」とは、上場企業の会社取締役や社員はもちろん、パートやアルバイトも含まれる。また、役職員や帳簿閲覧権を有する株主、監督官庁の職員など法令に基づく権限を有する者、契約締結者や締結交渉中の者なども対象だ。

なお、「現在の会社関係者」と「かつて関係者だった者」の両方を指し、「会社」という言葉の中には親会社や子会社、グループ会社も含まれている。ここで重要なのは「かつて関係者だった者」の定義。「かつて関係者だった者」もその会社を退職した後1年以内は対象者として扱われるため注意しよう。

「情報受領者」とは、会社関係者を通して内部情報(重要事実)を知った人のことを指す。従業員の家族や恋人、友人など、会社内部の人ではない場合も対象者に該当する。つまり、思いもよらぬところで自分も対象者となる可能性が大いにあるということだ。重要事実を知ってしまったら、その情報が公表されるまで、該当株式の取引をしないよう注意が必要だ。

インサイダー取引規制に関するQ&Aは、金融庁の公式サイトからも確認できる。「自分も該当しているだろうか?」と不安な人は、チェックしてほしい。

参考:インサイダー取引規制に関するQ&A(最終改訂:令和元年7月 29 日)

 

インサイダー取引の例

最後に、インサイダー取引の具体例を2つ紹介したい。今までにあったインサイダー取引の事例は、証券取引等監視委員会のサイトにも掲載されている。併せてチェックしてほしい。

【事例1】 業務提携を事前に知ったケース

A社の従業員Xが取締役会の資料準備中に、A社とB社が業務提携をする事実を知り、そのことを知人Yに話してしまった。知人YはA社の株式1,000株を業務提携公表1週間前に買い付け、業務提携公表後にすべて売却し利益を得た。この場合、「A社の従業員X」と「知人C」が違反行為者となる。

【事例2】 株式公開買い付けを事前に知ったケース

A社の役員は、B社がC社に株式公開買い付けをすることを、D社の役員に職務上伝達。D社の役員Xは、D社の従業員Yに株式公開買い付けの事実を伝える。その従業員Yが家族名義でC社の株を買いつけ、株式公開買い付けの事実公表後に株式を売却して利益を得た。この場合、「D社の従業員Y」が違反行為者となる。

【参考】報道発表(令和2年)―金融商品取引業等関係 -証券取引等監視委員会-

文/oki

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