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スマートシティー構想、Society5.0、NEC未来創造会議や新経済連盟が思い描くビジョン

2021.01.23

2020年4月に発足した一般社団法人LIVING TECH協会。「人々の暮らしを、テクノロジーで豊かにする。」の実現を目指して住宅関連事業者やメーカー、流通・小売りに携わる企業が集い、まずは、ユーザーに心地良いスマートホームを段階的に進めていこうとしています。

2020年10月29日にはカンファレンス「LIVING TECH Conference 2020」を開催。全13セッションの中から、セッション93回にわたって紹介します。

写真左から、岡本克彦さん(日本電気株式会社 マーケティング戦略本部 シニアエキスパート【NEC未来創造会議事務局】)、武井浩三さん(一般社団法人不動産テック協会 発起人/理事)、小木曽稔さん(一般社団法人新経済連盟 事務局政策部長)、日下光さん(xID株式会社 代表取締役CEO)


※Session 9 前編※ 「NEC未来創造会議」×LIVING TECH協会 日本のスマートシティ構想、Society5.0を考える

 NECが目指すサスティナブルな社会

武井(モデレーター):僕の目から見ると、現実的に2050年を視野に動いていらっしゃる方たちなので、パネルディスカッションよりもそれぞれの具体的な活動をお話しされる方が面白いんじゃないかと思っています。まずは岡本さんからよろしくお願いいたします。

岡本:よろしくお願いいたします。NECでプロジェクトとして担当している「NEC未来創造会議」についてご紹介させていただきます。NEC未来創造会議はいつの未来を想定しているかというと2050年になります。

NECは1899年創立、今年で121年目の会社です。100年以上続いて会社としてこれからもサステイナブルな社会を作っていくことが使命だと思っています。

NECのブランドステートメントは、Orchestrating a brighter worldです。オーケストラのように一人一人が異なる楽器を奏でながらもう一つの曲をみんなで奏でる。そして brighter worldを作っていくという感じです。

Society5.0も含めて、未来向けてNECが取り組んでいることとして、大きく2つございます。

まずはNEC Safer Citiesというスマートシティに対する取り組み。スマートなだけでなくみんなが安全安心だと感じるような街作りをしたいということでSaferという名前をつけています。Cities(複数形)というのは、個別最適で良い街を作るだけでなく都市間連携をして全体最適を狙っているためです。

もう一つは、NEC Value Chain Innovationです。サプライチェーンという言葉がありますけどもサプライチェーンだと供給する側だけなってしまうので、供給する側、消費者の方々がお互いに価値を交換するような物流流通を作っていきたいです。

5Gも話題になっていますけど、NECが持っているネットワーク技術を使ってNEC Safer CitiesもNEC Value Chain Innovationの実現に向けて現在進行形で取り組んでいます。

有志が取り組むNEC未来創造会議

その中で僕が担当しているNEC未来創造会議は2050年をターゲットにしています。SDGs(※1)が2030年に設定されていますが、SDGsが2016年から施行されて5年過ぎたというところなので、SDGs2030年に関してもフォアキャストで動いてる感じも受けています。そこでバックキャストでありたい社会ってどうなのかと考えるのがNEC未来創造会議です。

※1 SDGs:エス・ディー・ジーズ。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標

国内外の有識者と議論を重ねて未来を考えることに加えて、NECとしても主体的に自分ごととして未来を考えていくために未来創造プロジェクトを立ち上げています。NECグループには11万人の社員がいますが、専門組織があるわけではありません。社内兼業制度で30%の時間をプロジェクトに割きます。

コーポレートとして取り組んでいるNEC未来創造会議ですが、そこに属するメンバーはバーチャル組織。志の高い10人ぐらいのメンバーでやっているのが実態です。

今、いろいろな社会課題が問われていますけども、本質は何かと考えたときに近視眼的な効率重視の判断で様々な分断が生まれているんじゃないかなと思います。カテゴリーでいうと人間・社会・環境・未来。マイクロプラスチック問題みたいな形で、僕らが良かれと思って使っていたストローが実は海洋汚染につながっていたとか。

分断が起きているのは効率重視と伝えましたけど、やはり効率重視でスピードが上がってしまうと視野が狭くなります。視野が狭くなると、いろいろな分断を生んでしまうことがあるので、効率重視以外のとこにも取り組んでいく必要があるだろうと考えています。

効率重視と話しましたが、その一つの例として今のインターネットを中心とした情報社会の恩恵もあるのですが、限界も感じています。

例えば、グルメサイトは5点満点で評価して、3.6点以上だと美味しくて3.5点以下だとそうじゃないとという評価があったり。数値評価は、すごく分かりやすいですが、その一つの評価軸、5点満点だけでは評価できないものがあると感じています。

COVID-19の下で、レトルトカレーを屋外キャンプでみんなで食べた時の喜びは、3.6点では表現できないような喜びがあります。情報、数字を中心とした情報でつなぐネットワークではなく、体験を中心としたネットワークを作ることで、そこにいる人々の思いまで共有することができると思います。今ARとかVRもあるように、体験を共有できるので、この体験を共有するということが分断を克服する一つの手になると思っています。

人間・社会・環境・未来の分断を克服へ

今話したような形でインターネットが広がって、僕らが繋がれる人々は範囲が広がりましたが、その中で分断が生じていると認識しています。さらに人々の繋がりの範囲を広げるとともに、本当に心の内側、内面の部分でも繋がれるような社会を、体験を共有する社会になればきっと実現できるだろうと思っています。

インターネットが情報で繋がる社会であれば、体験で繋がるネットワーク、エクスペリエンスネットと呼んでいますが、それを作りたいと考えています。体験を共有することで一人一人が思っている、コンテキストレビューでお互いを相互理解することができれば、人間・社会・環境・未来の分断を克服できると思っています。

僕らは意志共鳴型社会をコンセプトとして提示していて、他者理解を通じて自分の可能性に気づく、時空間を越えて仲間が集う、今自分が生きているということに対して感謝するものが、未来の活力となって、小さな連動が大きな未来を創造する。そういう社会を作っていきたいとNEC未来創造会議では2050年のコンセプトとして掲げています。

2050年と話しましたが、SDGsは2030年までの社会課題解決の目標と掲げていますけど、コアな主体者は企業といわれています。MDGsのときには国が主体的な社会課題解決の主体者でした。その中でSDGsの先を考えた時に、企業ではなく今後は持続可能な社会に向けて柔軟性が求められるので、企業から市民を主体としたコミュニティーに社会課題解決の主体者に変わるのではないかと思います。

Society4.0からSociety5.0へ。その時に国や企業も一緒になって市民の活動をいかに支援できるか。それが重要じゃないかなと考えています。

そういう形で僕らNECも企業の役割を変えていかなきゃいけないと考えています。今までカンパニーという一つの建物の中に社員がいたという場所から、誰もが集まれるようなパーパスに賛同するような人々が集まるような開かれたコミュニティーに会社自体も変わっていかなきゃいけないと思っています。

武井:岡本さん、有難うございます。NEC未来創造会議、個人的にすごく好きで、向かっている方向性、見ている未来というのがほとんど一緒なので共感しかないですよね。続いて、小木曽さんお願いします。

産業構造の進化を説く、新経済連盟

小木曽:新経済連盟という楽天の三木谷が代表を務める経済団体の事務局をやっています。もともと運輸省で役人を9年ぐらいやって、その後楽天に入社し、今でも楽天の社員です。新経済連盟では政策部長を務め、政府の審議会などに出ています。スマートシティの関連では宮坂副知事のもとで東京都のDXフェローをしています。

リビングテックについて、不動産の不動産テックとどう違うの? という話をしていて、いろんな捉え方があると思うんですけど、リビングテックこそメインストリームでしょう。リビングって狭い意味じゃないし、不動産という意味でも必ずしもないし、生活中心でやっていくっていうことが当たり前なはずなのにそこが中心軸に来てない。本来あるべき姿に戻るという時に、必要な概念としてリビングテックがあるんじゃないかと思います。

Society5.0。私は産業分類というのがなくなるであろうと思いますね。みんなスーパーアプリ化しているというか、会員制サービスしか存在しなくなる。強いていうとB2BとB2Cの区別あるかもしれませんが、BとCの違いさえ、30年後はBとCって何?という時代が来るかもしれません。産業分類自体がなくなる中でどういう風にやっていくのかっていうことだと思います。

歴史に例えると、都市OSといわれているのは、データでの楽市楽座。当然住民ファースト、上から目線じゃなくてボトムアップ方式でやっていきます。産業構造も相変化していくし、行政構造も対応して変わっていく。産学連携でやっていくところのまさに1番馴染みがある所として都市OSがあるという認識で我々は経済団体として活動しています。

来るべきデジタル化の波に向けて

新経済連盟で基本経済政策やっていますと、3つ柱があります。東京をシリコンバレーに。人・モノ・金・情報をここに集めてインテリジェントハブ化していく。それからスマートネイション、移民政策。我々当然このデジタル化の波が来ると思っていました。

不動産の関係ではIT重設と書面の電子化は解決されていくものと信じています。我々、トランザクションコスト(※2)を下げていくっていうことのためにアナログ原則を撤廃してほしいということを言っています。対面書面原則、配置原則とか専門家がそこになきゃいけないとかそういういろんな原則でどういう法令の規制があるのかってことを話しています。

※2 トランザクションコスト:取引コスト

不動産情報バンク、不動産版マイナンバーですね。ものにIDをつけて管理するようなデジタルIDという話をしていて、都市OSでもデジタルIDは重要です。ベースレジストリーと言いますが、いろいろな関連の情報についてデータ化をしていく時に、不動産情報バンクの構築の提案をしています。都市OSの話と連携し、デジタル庁と連携しながら進んでいくんじゃないかなと思っています。

企業で経営会議やるときにデータ使いますよね。政府では経営会議にあたるものは閣議です。その閣議では資料って定性的な事しかなくて、データに基づいた資料とかも十分ない。閣議後の閣僚懇談会での自由討議しているんですけどデータを使った話をしているのかどうか。

そもそもデータを使うっていう姿勢がないところに、データを整理しようっていう動きは出てこない、要するに出口戦略が必要です。データに基づいて判断をするっていう出口があるからこそ入り口のデータのベースレジストリーとか、不動産登記の仕組みを変えるとかいうところになるんであって、最終ゴールがないのに人間頑張らないじゃないですか。目的がないのに何で直すのか? マインドセットを変えないといけないところが重要かと思います。

中編へ続く。

取材・文/堀田成敏(nh+)

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