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「曙」の正しい意味とは?意外と知らない漢字の成り立ちと使い方

2021.01.14

『曙(あけぼの)』は時間帯を表す言葉として、日本では古くから使われています。曙とはいつ頃のことを指す言葉なのでしょうか。曙の意味や漢字の成り立ちについて解説します。時間帯を表すときに使われる、曙以外の言葉についても紹介しますので、あわせて覚えておきましょう。

曙が表す意味とは?

曙は「あけぼの」と読みます。平安時代の女流作家である清少納言が書いた『枕草子』は、以下のような一節から始まります。

「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、少し明かりて…」

この一節が指す『あけぼの』は、現代の「曙」と同じ意味でも使われます。1000年も前から使われている『曙』という言葉は、いったいどのような意味を持っているのでしょうか。

曙の意味

曙を辞書で引くと、以下のように解説されています。

  1. ほのぼのと夜が明けはじめるころ。「朝ぼらけ」より時間的に少し前をさす。夜明け。東雲(しののめ)。

  2. 新しく事態が展開しようとする時。「日本歴史の曙」

出典:goo国語辞書

先に紹介した『枕草子』の一節は、1の意味で使われています。

『春はあけぼの。やうやう白くなりゆく』とは、「春は夜が明ける頃が1番良い。日が昇るにつれて、だんだんと白んでいく」という意味になります。

2の意味も、新聞などで時折見かけることがありますので、覚えておくと良いでしょう。

春の早朝を表す季語にも

春の早朝を表す言葉には、『春暁(しゅんぎょう)』『春曙(しゅんしょ)』というものがあります。

『春暁』とは、夜が明ける少し手前の暗い時間のこと、『春曙』とは夜が明け始め、空が次第に明るくなり始めた時間のことを指す言葉です。

江戸時代には、枕草子を注釈した『枕草子春曙抄』という書物も刊行されています。現代でも、俳句などで「春曙」は季語として使われることがあります。

漢字の成り立ちについて

曙という漢字は、「日」と「署」の二つから成り立っています。

日は、文字通り太陽のことです。一方で「署」は象形文字で、「網と台の上に木の枝を集めて火を焚いている」様子を表しています。

また署(しょ)は緒(しょ)と同じ意味を持ち、「赤い」という意味があります。

以上のことから、「太陽が、まるで火をたいているように赤々と輝き始めている」様子を表現しているのです。

曙の類義語、似た意味の言葉

曙の類義語について紹介します。同様の意味を持つ言葉は、他にどんなものがあるのでしょうか。

黎明

黎明は「れいめい」と読みます。曙と同様に「夜明け・明け方」を指す言葉です。同時に別の意味として「新しい事柄が始まろうとしている様子、とき」という意味を持っており、曙と同様の使われ方をします。

ビジネスの場や、歴史書では「黎明期」という言葉を用いることがあります。これは、新しい物事が始まろうとする初期の段階のことを指します。「近代文明の黎明」といえば、近代文明の最初期のことです。

時期を表す言葉には、他に「草創期」「萌芽期」「創成期」があります。こちらも時折、フォーマルな場での挨拶やビジネス文書に使われることがあるので、覚えておくと良いでしょう。

暁は「あかつき」と読みます。春暁と同じく、「夜が明ける前の、まだ太陽の出ていない空」のことを指す言葉です。

「日」は太陽の意味です。「尭」はもともと「堯(ぎょう)」と書いていました。「堯」は、土が三つ重なっていることから「高く盛る」という意味を持っています。このことから、「太陽が高く昇っていく様子」を表すとされています。

また暁には、仮定の意味を表す場合もあります。「私が国会議員となった暁には~」などと使い、これは「もし私が国会議員になれたら」という意味です。フォーマルなシーンでよく使われる言い回しです。

曙の対義語はあるの?

曙の対義語についても解説します。曙と対で覚えておくと良いでしょう。

夕暮れ

暁は日が昇る時間帯を指すものなので、反対の意味の言葉は日が沈む時間帯を指します。それは『夕暮れ』です。

夕暮れの「夕」には、「日が暮れかかっている時間帯、夕方」の意味があります。そして「暮れ」は、「ある期間の終わり」を指します。「夕」も「暮れ」も、どちらも夕方頃を指す意味を持っています。

夕暮れ間近の時間帯を『生(なま)夕暮れ』といいます。

黄昏、大禍時とも

夕暮れの時間を指す言葉に、『黄昏時(たそがれどき)』『大禍時(おおまがとき)』というものがあります。

『黄昏』は当て字です。もともとは「誰ぞ彼」といい、「薄暗くすれ違う人が誰かがわかりにくい時間帯」という意味がありました。

『大禍時』は『逢魔が時』と書くこともあります。魔(あるいは災い)に遭いやすいとされる時間のことです。夕方の薄暗い時間には災いに遭いやすいと信じられていた時代があり、不吉な時間であることを意識し、化け物や魔物に警戒する戒めの意味を含んでいたとされています。

「黄昏」の「誰ぞ彼」も同様です。挨拶をした人間の顔が暗くてよく見えず、人か魔物か判別しにくく、怪異に遭いやすいとされていました。

希望に満ちた朝方の時間とは違い、夕方は不吉な時間として、昔の人には認知されていたのです。

構成/編集部

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