婚姻届を提出するにあたって、「新しい本籍」を決める必要があります。場所次第では婚姻届の提出時に戸籍謄本の添付が必要となるなど、その後の手続きに影響を及ぼす可能性が高いので、よく考えて決めたいところ。この記事ではそもそも本籍とは何か、本籍地を決める際のポイントなどを紹介します。
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結婚すると変わる? 場所はどこでも良い? 本籍とは何か
婚姻届には新しい本籍を記入する欄があります。まずは「本籍」「戸籍」とは何かを把握した上で、夫婦の新しい本籍を決めましょう。
本籍とはわかりやすく考えると“戸籍の見出し”
戸籍とは、出生から死亡までの身分関係を登録し、公に証明するための公募のこと。原則、同じ姓を名乗る夫婦と未婚の子供による家族単位で構成されています。そして本籍は、その戸籍が所在する場所を意味しています。
戸籍には氏名や生年月日など様々な情報が記載されていますが、本籍は簡単に考えると「戸籍の見出し」のようなもの。そのため、現在住んでいる場所を示す「住所」とは別モノです。
なお、本籍は日本国内であれば自由に決めることができます。
本籍の基礎知識:結婚したら親の戸籍から抜ける
前述の通り、戸籍は同じ姓を名乗る夫婦と未婚の子供によって構成されているため、婚姻届を提出し結婚すると、親御さんの戸籍からは抜けることになります(除籍)。そして婚姻届を提出すると、夫婦として同じ姓(氏)になり、新しい戸籍が編製されます。
新しい戸籍では、婚姻の際に氏が変わらなかったほうが筆頭者となります。住民票の世帯主と同じとは限りません。
ただし、一方を筆頭者とした戸籍がすでにある場合は少し状況が異なります。例えば男性を筆頭者とした戸籍がすでにあり、婚姻後は女性が男性の氏を名乗るようなら、新しい本籍は編製されません。女性が男性の戸籍に、配偶者として入籍する形になります。
結婚前に要チェック! 本籍地以外で婚姻届を提出する時は戸籍謄本が必要
婚姻届を提出する時、提出先の市区町村に本籍がない場合は、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の添付が必要となります。戸籍謄本とは戸籍に記載されている人の全員分の証明書のことで、本籍のある役所に請求すれば入手できます。
詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
【参考】結婚が決まったら必要な手続きは?覚えておきたい戸籍謄本の請求方法と婚姻届の書き方
【本籍とは何か】本籍は戸籍謄本や運転免許証を使って確認できる
「自分の本籍がどこなのかわからない……」という方もいらっしゃると思います。親御さんや身内の方に聞いて確かめるか、もし親族の方も本籍を把握していなければ、以下の方法で確認が可能です。
■戸籍謄本(または戸籍抄本)や、本籍が記載された住民票を取り寄せて調べる
■運転免許証を使って警察署で調べる
かつては運転免許証に本籍が記載されていましたが、現在は本籍の記載がないICカード免許証が導入されています。ICチップに記録された内容は、警察署等に設置している確認端末で確認できます。
【参考】川崎市|本籍地、本籍筆頭者がわからない場合、調べる方法について知りたい
結婚したらどうする!? おすすめの本籍とは
「夫婦で暮らす家の住所」「どちらかの実家」「2人の思い出の場所」など、自由に決められる本籍。ここでは、新しい本籍を決める際に考慮したいポイントを紹介します。
実家や居住地だけじゃない! 人気の本籍地
「夫婦で暮らす家の住所」を本籍にすると、戸籍謄本を取り寄せやすいなど、諸々の手続きを進めやすいというメリットがあります。
引っ越しが多くなる可能性がある方や、本籍地をコロコロ変えたくないという方は、「どちらかの実家」もおすすめです。
「2人の思い出の場所」を本籍にするカップルもいて、皇居や東京タワー等の有名スポットも本籍として人気が高いです。ただし、現在の住まいによっては、戸籍謄本の入手や諸手続きが面倒になるので注意しましょう。
本籍地はよく考えて決めたほうがいい? 2人で考える必要性と親族に相談する意味
本籍を決めるにあたって考慮したいのは「入籍後の手続き」です。戸籍謄本・戸籍抄本は本籍地の役所以外で発行できないため、パスポートの記載事項変更などで戸籍謄本が必要になった場合に不便に感じるかもしれません(※戸籍謄本は郵送でも取り寄せ可能)。
また、ご親族が「本籍は先祖代々住んでいる土地にしてほしい」と考えている可能性もあるため、親族にも事前に確認したほうが良いでしょう。
上記の理由から、本籍はよく話し合って決める必要があります。
結婚する際に決めた本籍地はあとから変更可能
本籍は結婚後に変更することもできます。コロコロ変えてしまうと将来的にデメリットもありますが、手続きのしやすさを重視してまずは新居を本籍とするのもアリでしょう。
婚姻届を出す時に必須の知識! 本籍のルールと新本籍の書き方
新しい本籍は自由に決められますが、定めることができるのは「その戸籍が編成される時点で実際にある土地の地番、または住居表示の街区符号(がいくふごう)」です。
【参考】蓮田市|新しい本籍の定めかた
例として、現住所を新しい本籍として考えているケースで考えてみましょう。住所が「小学館3丁目15番2号ダイムマンション101号室(小学館3-15-2ダイムマンション101)」の場合、小学館3丁目は「土地の名称」、15番は「街区符号」、2号は「住居番号」となります。この場合、本籍にできるのは「小学館3丁目15番」です。
【参考】渋谷区|新本籍設定時の注意事項
婚姻届の本籍欄の書き方:マンション/アパート名は新本籍に含めない
上記の通り、本籍にはマンション/アパート名を入れることができません。
仮に書いてしまうと提出時に訂正が必要となったり、届けが受理されない可能性もあるので注意。不安な場合は、事前に役所に確認しましょう。
結婚後に本籍変更を行うには?
本籍を変更したい場合は、転籍届を出しましょう。必要なものは、転籍届/戸籍謄本(※現在の本籍地と同じ自治体内で転籍する場合は不要)/本人確認書類/印鑑。手続きは現在の本籍地、新しい本籍地、所在地(住所地)のいずれかで行えます。なお転籍届には、夫婦2人の署名押印が必要です。
【参考】小平市|本籍を移したいのですが、どのように手続きをすればいいですか
本籍変更したら運転免許証とパスポートの記載事項変更も忘れずに
本籍地を変更したら、パスポートと運転免許証に登録されている内容も変更しましょう。パスポートの場合、記載事項の変更が必要となるのは「本籍の都道府県が変わった時」です。
本籍変更(転籍)のデメリットとは?
本籍を変更すると、運転免許証やパスポートの内容を変更する手間がかかります。また転籍の回数が多いと、遺産相続の際に遺族が苦労する可能性も。
本籍を変更すると“戸籍が書き変わる”のではなく、“元の戸籍から抜ける”ことになります。戸籍から全員が抜けると「除籍謄本」が本籍地に残りますが、転籍した人が亡くなって遺産相続を行う時、その人の除籍謄本が全て必要になることがあります。
【参考】世田谷区|戸籍の証明
そのため転籍回数が多いと、遺族が各地に除籍謄本を取り寄せなければならず、手間や費用がかかってしまうのです。
本籍変更にかかる日数は?
役所によって異なる場合がありますが、一般的に本籍の変更が反映されるのは届出後1~2週間前後です。
【参考】江戸川区|戸籍の届出をしてから、戸籍謄本がとれるようになるまでどれくらいかかりますか。
※データは2020年11月中旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
※手続きの方法等は、自治体・契約会社によって異なる場合があります。
文/bommiy