日本を代表する経営者として知られる、稲森和夫。その考え方や生き方は、多くの経営者から支持を集めている。 しかし、稲森和夫に関する本は数多く出版されており、どれから読むべき悩む人もいるだろう。
そこで本記事では、彼の生い立ちや人生論から経営手法に至るまで、さまざまな切り口から”稲盛イズム”に触れられる本を紹介する。経営者だけでなく、誰にとっても人生をより良くするヒントやきっかけがもらえる1冊が見つかるはず。
【目次】
稲盛和夫ってどんな人?
稲盛和夫は、1932年、鹿児島県鹿児島市に生まれる。現在88歳。世界的な企業としても知られる京セラを一代で築き上げ、KDDI(第二電電)を創業した敏腕経営者の一人だ。
2010年2月には政府の要請を受け、日本航空(JAL、現日本航空株式会社)の会長に就任し、当時経営破綻に陥り再生不可能と言われていた当社を、会社更生法の適用から2年8か月で株式の再上場を果たす。この、JALを見事に再建させたことで世間からの注目度がさらに高まった。
一方、2019年までボランティアで、14,938人の経営者が集まる経営塾「盛和塾」の塾長として、経営者の育成にあたったのち、1984年には私財を投じ稲盛財団を設立。同時に国際賞“京都賞”を創設し、毎年11月に人類社会の進歩発展に功績のあった方々を顕彰するなど、後進の育成にも心血を注いでいる。
稲盛和夫の自伝
はじめに、稲盛和夫の自伝を紹介する。”成功者”と言われる人の足どり、人となりを知ることは、彼の思想や理論、行動指針を理解する上でも大きな手掛かりとなるはず。
稲盛和夫のガキの自叙伝 私の履歴書
度重なる挫折にもめげず、人一倍の情熱と強い信念をもって京セラを世界的な企業に育てた”硬骨経営者”の自伝。稲盛氏自身が寄稿した『私の履歴書』からの引用が中心で、一人の少年が偉人にまで上り詰めるストーリーがよく分かる。半生の自叙伝を記すには、文庫本1冊ではも足りないほどの功績の持ち主だが、その概略を知るのにまずおさえておきたい一冊。
出典 公式サイト|稲盛和夫のガキの自叙伝 私の履歴書
働き方 「なぜ働くのか」「いかに働くのか」
混迷の時代における“最高の働き方”とは?稲盛氏が自分の半生を振り返りながら、労働が人生にもたらす素晴らしい可能性を伝える。“労働者、稲盛和夫”の自伝のような一冊だ。稲盛氏と言えば、経営者向けの本が多いが、この本は明らかに労働者に向けられたもの。これから労働者として社会に出ていく若者たちだけでなく、夢を持って生きているすべての人におすすめ。
出典 公式サイト|働き方 「なぜ働くのか」「いかに働くのか」
稲盛和夫の人生論、哲学を学べる本
ここでは、稲盛和夫の人生論や哲学を学べる本を紹介する。稲盛氏の生き方や考え方は、単にビジネスの現場だけで活かされるわけではない。“人とはどうあるべきか”という教訓をも示唆してくれるので、人生に迷った時には、ぜひ手に取ってみてほしい。
生き方 人間として一番大切なこと
“経営のカリスマ”が、その成功の礎となった人生哲学をあますところなく語りつくした『生き方 人間として一番大切なこと』。多くの人が生きる意味や価値を見いだせず、人生の指針を見失っている現代に問われる“生き方”。夢をどう描き、どう実現していくか、人間としてもっとも大切なこととは何か。これらの問いに対し、豊かな知恵と経験をもとに、丁寧に説いてくれる。2004年の刊行以来、世代を超えて幅広い層に読み継がれる不朽のベストセラー書。
出典 公式サイト|生き方 人間として一番大切なこと
心。 人生を意のままにする力
ミリオンセラー『生き方』から15年後、待望の続編として刊行された本書。これまで歩んできた80余年の人生を振り返り、また半世紀を超える経営者としての経験を通じて、稲盛氏が伝えたいメッセージ、それは“心がすべてを決めている”ということ。どんな心で生きるか、心に何を抱くかが、人生を大きく変えていく。すべては“心”に始まり、“心”に終わる。敏腕経営者がたどりついた境地から学ぶ、“人としてのあり方”が詰まった一冊。
出典 公式サイト|心。 人生を意のままにする力
稲盛和夫の経営手法を知れるおすすめ本
ここでは、稲盛和夫の経営手法を知れる本を紹介する。これらは現在でも「経営に関するおすすめの書籍」として、常に人ランキング上位に登場するものばかり。経営に行き詰っている人や、これから事業を立ち上げる人は要チェック。
アメーバ経営 ひとりひとりの社員が主役
“アメーバ経営”とは、稲盛氏が京セラを経営するなかで経営理念を実現するために創り出した独自の経営管理手法。これまでの常識を覆し、組織を“アメーバ”と呼ばれる小集団に分け独立採算にすることで、一人ひとりが採算を考える、市場に柔軟な戦う組織をつくるというもの。47年にわたる実践のなかで築き上げたすべてを、稲盛氏本人が解説している点が特長で、管理会計そのものの解説に留まらず、経営理念についても多数触れられている。
出典 公式サイト|アメーバ経営 ひとりひとりの社員が主役
稲盛和夫の実学—経営と会計
『稲盛和夫の実学—経営と会計』は、バブル経済に踊らされ、不良資産の山を築いた経営者は何をしていたのか、「儲けとは」「値決めとは」「お金とは」何なのか、身近なたとえ話からキャッシュベース、採算向上、透明な経営など七つの原則を説き明かす一冊。第一部が「経営者としての会計および仕事に対する考え方」、第二部は「稲盛塾での経営問答」で構成される本書は、ゼロから経営の原理と会計を学んだ稲盛氏の集大成とも言える。教科書から学んだ知識ではなく、会社を成長させる過程で苦労して導き出した考え方から説得力を感じる一冊。
出典 公式サイト|稲盛和夫の実学—経営と会計
JAL再建にまつわる本
最後に、JAL再建にまつわる稲盛氏の奮闘を記した本を紹介する。本人ではなく、共に奮闘した人物から見た姿を知ることができる貴重な資料なので、客観的に彼を理解するのにおすすめだ。
JALの奇跡 稲盛和夫の善き思いがもたらしたもの/大田嘉仁
稲盛経営哲学の集大成とも言える、JAL奇跡の再生。なぜ彼は「不可能」と言われた再生を、わずか1年でなし得たのか。会長に就任した稲盛和夫氏は、二人の部下を京セラから連れて行く。そのうちの一人が本書の著者である大田氏だ。長年、稲盛氏の秘書を務め“稲盛和夫から最も信頼される男”と称された人物だからこそ書き得た、貴重なビジネスのノンフィクション戦記である本書は、稲盛氏自身も推薦する一冊。
出典 公式サイト|JALの奇跡 稲盛和夫の善き思いがもたらしたもの/大田嘉仁
※当記事に掲載している価格等の商品情報は、記事公開時のものとなります。
文/oki