「SaaS(Software as a Service)」とは、これまでパッケージソフトとして提供されていたソフトウェアを、インターネットを通じてクラウド上で利用できる形態のことを指す。
国内SaaS市場は年平均成長率約13%の勢いで急成長しており、2024年には約1兆1,200億円へと拡大する見通しだ。
そんな中スマートキャンプはSaaS業界の市場規模やビジネスモデル、最新トレンドをまとめた『SaaS業界レポート2020』を公開した。今後のSaaS活用やビジネスの参考資料として役立てみては?
2024年には1兆1,200億円規模へ『SaaS業界レポート2020』
2020年は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受けてテレワークが進むなど企業における働き方が大きく変化し、DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環としてSaaSが注目されるようになった。
『BOXIL SaaS』の資料請求動向を分析すると、急速なテレワークの普及を受けてWeb会議システム、電子契約サービス、電話関連システム、プロジェクト管理ツール、ナレッジ管理ツールなど、オンラインでのコミュニケーションを支援するサービスへの関心が高まったことがわかる。
また、SaaS市場の拡大に合わせて国内SaaSスタートアップによる資金調達金額も増加しており、2017年の約400億円、2018年の約570億円から2019年には約750億円に達している。
2019年以降、マーケティングオートメーションSaaSを提供する株式会社フロムスクラッチが100億円、労務管理SaaSを提供する株式会社SmartHRが61.5億円、建設プロジェクト管理SaaSを提供する株式会社アンドパッドが60億円、オンライン商談SaaSを提供するベルフェイス株式会社が52億円の資金調達を行うなど大型の資金調達が続いており、SaaSスタートアップ1社あたりの平均資金調達金額も2018年の3.0億円から2019年には4.8億円へと上昇した。
そのほか、SaaSビジネスビジネス拡大のポイント、ファイナンス動向(資金調達、IPO、M&A)詳細や、SaaS業界における7つのトレンドをまとめている。
SaaS業界における7つのトレンド
1.オンライン営業
新型コロナウイルス感染症を背景として本格的なテレワーク時代へと突入し、これまで対面で商談を行っていた営業先もテレワークへと移行した。このように新しい時代の営業・マーケティングを支えるツールとして、オンラインイベント、インサイドセールス管理、クラウドCTI、オンライン商談、カスタマーサクセスなどのSaaSの需要が増加している。
2.オンライン組織
テレワークが一般化し、社員同士が離れた場所で仕事をすることを前提としたオンラインでの組織づくり、採用、タレントマネジメントが当たり前となり、オンラインでの組織コラボレーション活性化を支援するナレッジマネジメント、オンラインでの採用・人材活躍を支援するWeb面接、リファレンスチェック、人事評価、オンボーディング支援、エンゲージメント向上などのSaaSの需要が増加している。
3.ノーコード・ローコード
SaaSをはじめとしたITシステム活用において複雑な開発の必要性がハードルになっていたが、プログラミング不要で現場でも簡単にITシステムを活用できるノーコード・ローコードが世界的な潮流となっている。Webサイトやモバイルアプリの制作、業務の自動化、システム連携などを実現するSaaSに注目が集まってる。
4.APIエコノミー
SaaSの利用が進んだことでAPI(Application Program Interface:アプリケーションプログラムの機能を呼び出し、その実行結果を戻り値として受け取る仕組み)連携の重要性が高まっており、APIによる連携を前提として活用されるサービス、また連携を進めるサービスが増加している。
5.セキュリティ
SaaSをはじめとしたITサービスが増加しており、ID・パスワードの漏えいやサイバー攻撃などのセキュリティリスクも増大。このようなリスクに対してSSO(Single Sign On)やID管理、WAF(Web Application Firewall)、脆弱性診断などのSaaSが登場しており、今後さらに増加していくと予想される。
6.トランザクション
BtoC領域(小売、サービス、飲食など)を中心に、販売や予約などのトランザクション機能を提供するSaaSにも注目が集まっている。海外のトレンドを踏まえると、今後BtoB領域でも増加していくことが予想される。
7.IoT
テクノロジーの進化、デバイスや通信環境の整備を背景として、農業や建設、介護などの現場業務やオフィスのIoT化が進んでおり、SaaSによってハードウェアの操作やデータの収集・活用、業務の自動化が行われている。
構成/ino.