ギターを練習していると、楽譜に「Capo1」「Capo2」などと書かれているのを見かけることがあると思います。カポタスト(通称カポ)とは、ギター演奏を補助したり、移調する際に使うグッズです。この記事では、カポの効果や付け方、おすすめ製品を紹介します。
ギターカポとは? カポの効果と装着方法
カポタスト(以下、カポ)とは、ギターのネックをホールドすることで弦を押さえ、音程等を変えるアイテムです。弾き語りをする人は1つは持っておきたいもので、クラシックギター奏者やバンドのギタリストでも使っている方は少なくありません。
【ギターカポの効果】コード変換で演奏しやすくなる
カポの効果の1つに、セーハの代用があります。セーハとは、人差指など1本の指で複数の弦を押さえること。セーハで押さえる「バレーコード」は、多くのギター初心者が苦戦する難所です。バレーコードが多い曲でカポを使えば、バレーコードが少なくなり、演奏しやすくなります。
例えば下の図のように、カポを1フレットにつけてEコードを押さえると(画像右)、カポなしのFコード(画像左)と同じ音が鳴ります。オレンジ色の部分が指で弦を押さえる場所です。
ただし、カポをつけるとそのポジションが0フレットとなるので、全てのコードをカポのポジションに応じて変更する必要があります。
【ギターカポの効果】キーを変えられる
カポは、演奏したい曲のキー(基盤となる音程)が自分の声域と合わなくて歌いにくい時にも便利です。
カラオケでキーが高くて(または低くて)歌いにくい時に、機械を操作して音程を上げ下げするのと同じで、カポの位置でキーを変更します。キーは1フレットごとに半音上がります。
ギターの2フレットにカポをつけた場合(カポ2)のキーの変化例
カポを2フレットにつけた時、キーは1音分上がります。例えばカポなし(カポ0フレット)でキー=Aの場合、カポを2フレットにつけるとキー=Bに変化します。
ギターの3フレットにカポをつけた場合(カポ3)のキーの変化例
カポを3フレットにつけた時、キーは1音半分上がります。例えばカポなし(カポ0フレット)でキー=Aの場合、カポを3フレットにつけるとキー=Cに変化します。
【ギターカポの効果】コードの響きを変える
カポを使うとコードフォームが変わるため、音の響きも変わります。
高音の響きを活かしたい時や、複数名での演奏時にほかのギタリストと響きに違いをつけたい場合などに役立ちます。
ギターカポの付け方
カポを使う時は、以下の手順を踏むようにしましょう。
[1]カポを、弦を均等に押さえるようを意識して取り付ける。
[2]弦がビビっていないか、音がきれいに鳴るか、1本1本鳴らして確認。
[3]カポ装着後は必ずチューニングする。
カポは「フレットの近く」に「フレットと平行になるように」付けるのが基本です。押さえ方が悪いと、弦と弦の間隔がいびつになって音がキレイに鳴りません。なお、コードフォームやカポの形状によっては、演奏時にカポが指に当たってしまうことがあります。その時はカポを少し斜めにしましょう。
カポを付け外しするとチューニングが変化しやすいため、チューニングを欠かさないようにしてください。
ギターカポの種類とおすすめ製品
ギターカポの主な種類は、以下の通り。
■ゴム留めタイプ……ネックにゴムを巻き付けて留めるタイプ。お手頃価格なものが多く使い方もシンプルなため、初心者の方におすすめです。ただし、長年使うとゴムが伸びることも。
■クリップタイプ……洗濯バサミのように挟むタイプ。片手で着脱できるので、頻繁にカポの位置を変える方や、ライブでカポを使いたい方におすすめです。
■レバータイプ……クリップタイプと同様にネックを挟むタイプですが、バネ付きのクリップタイプに対し、レバータイプは片手で着脱できません。そのぶんホールド力があります。
■ネジ式……ネジを使って留めるタイプ。ネジで締め具合を調節できるので、ギターに合わせてしっかりホールドしてくれます。
そのほか、ローリングカポなどの特殊なタイプもあります。なお、カポはアコースティックギター用/エレキギター用/クラシックギター用とギター別に分かれていることがあるので、購入時はよく確認しましょう。
【参考】表現の幅が広がる! 初心者でも弾きやすいカポタストのおすすめ17選
ワンタッチで着脱できるギターカポタスト! Phoenix「カポタスト タイプ R」
Phoenix「カポタスト タイプ R」は、ワンタッチで手軽に着脱できる人気製品。
ホールド力も高く、コスパ抜群の製品です。画像はブラックですが、カラーバリエーションも豊富。弦を拭くことができるファイバークロスとピックも付属します。
ギターカポの代表ブランド! Amazonでも評価の高いSHUBBのカポ
SHUBB(シャブ)はカポの代表的なブランドの1つで、プロ/アマ問わず愛用者が多いです。
こちらの「C-1」はレバー式で、特許を取得したロック機構により、弱すぎず強すぎず、ほど良いホールド力で弦を押さえてくれます。なお、素材/カラーのバリエーションも豊富です。
弾き語り/エレキギターユーザーご用達のカポ「カイザー」
Kyser(カイザー)のカポ「THE QUICK-CHANGE CAPOS」は、弾き語りをする人やバンドのギタリストから人気が高いです。片手で着脱可能で、耐久性の高さも魅力。
エレキ用は「KGEB」と、スプリングのテンションを弱くすることで弦高の低いギターにも合う「KG6LT」(エレキ・アコギ兼用/写真)といったラインナップがあります。
そしてアコギ用カポはカラーバリエーションが豊富なため、デザインにこだわる人にもおすすめです。
サメがギターにかぶりつく!? 見た目のインパクトが絶大な「シャークカポ」
フェニックスはルックスが個性的なカポも人気です。
こちらの「シャークカポ」は装着するとサメがギターに噛みついているように見えるユニークなカポ。歯の部分はネックを傷つけない素材になっているのでご安心を。
種類豊富なジム・ダンロップのカポタスト
いまや着脱がラクなカポや機能性を重視したカポが主流となっていますが、低価格で使いやすいゴム留めタイプも根強く人気があります。その魅力は、プロミュージシャンでも愛用している方がいるほどです。
ギターアクセサリーの有名ブランド「ジム・ダンロップ」は様々なタイプのカポを取り揃えています。ゴム留めタイプの「Elastic Capos」シリーズだけでも、クラシックギターなどのフラットフレット用や12弦ギターにも使える製品、ホールド力の高い「Dunlop Elastic Heavy Double Capo 72D」(写真)といったバリエーションがあります。
クラシックギター用カポのおすすめ
クラシックギターに使用するカポは「クラシックギター用」と記載されているものや、アール(カーブ)がない「フラット指板」用のカポを使用しましょう。
例えばD’Addario(ダダリオ)のクラシックギター用カポ「NS Classical Capo Lite(PW-CP-16)」は着脱しやすく、コスパが高いことで人気があります。
カポなしでもギターを弾きたい……カポは自作できる?
カポはあくまで演奏を補助するものなので、持っていないとギターが弾けないというわけではありません。ただし、スコアに「Capo●」と記載してある場合、その楽譜はカポを使う前提で書かれているものであるので、カポなしでそのまま弾くと「思っていたのと違う……」といった事態になります。
カポは一見、自作できそうにも見えますが、実際に実験してみたところ、使いにくい上にギターを傷める危険を感じました。詳しくは以下の記事をご覧ください。
【参考】表現の幅が広がる! 初心者でも弾きやすいカポタストのおすすめ17選
カポなしでも簡単に弾ける! 初心者におすすめのコードがシンプルなギター練習曲
カポがなくても、使用しているコードが比較的簡単で演奏しやすい曲はたくさんあります。往年の名曲でいうとBEN.E.KING「Stand By Me」や、スピッツ「チェリー」など。最近の人気曲でもカポなし曲は多数あるので、演奏したい曲があれば調べてみましょう。
※データは2020年11月下旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
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文/bommiy