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【開発秘話】シリーズ累計1万台売れているドン・キホーテの「360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー」

2020.11.25

■連載/ヒット商品開発秘話

 事故などのトラブルに備え、車にドライブレコーダーを装着する人が増えている。ただ、業者に取り付けを頼むと安くはない工賃が発生。ドライバーが自力で取り付けるにしても、後部にもカメラを取り付けるタイプになると難しく手に負えない。

 ドライバーが簡単に取り付けられる高機能なドラブレコーダーとして人気なのが、ドン・キホーテのプライベートブランド(PB)『情熱価格プラス』から発売されている『360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』シリーズだ。2018年2月に発売された『360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』は、フロントガラスに貼り付けることで前後左右の全方位を撮影。2020年4月には、リニューアルされた『オービス位置データ&GPS機能対応360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』が発売された。10月末時点の売上はシリーズ累計1万台だという。

オービス位置データ&GPS機能対応360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー

取り付け簡単で前後左右撮影可能なドライブレコーダーにニーズを見出す

『360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』が企画されたのは2018年春のこと。背景にあったのは、社会問題になっていたあおり運転に代表される危険運転であった。

360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー

 企画された当時のドライブレコーダーは前方撮影タイプが主流。しかし前方しか撮影できないと、極端に車間距離を詰めてこられたり幅寄せされたりしたときの状況が記録できない。こうしたことから、前後左右撮影可能なドライブレコーダーには需要があると判断し開発することに。加えて、手頃な価格で購入でき簡単に取り付けられるものをつくることにした。

 ドン・キホーテなどを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスで、『360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』の開発を担当した柄澤喜行氏(PB事業戦略本部PB企画開発部企画開発チーム)は、次のように話す。

「リアカメラを取り付ければ後方を撮影することはできますが、ユーザーが自力で取り付けるのは難しいです。一方、フロントガラスに貼り付ける前方撮影タイプであれば、ユーザーで取り付けることができます。前方撮影タイプ並みに簡単に取り付けられ、なおかつ前後左右撮影できるようにするため、360°撮影カメラを使うことにしました」

 ドン・キホーテでは過去にPBでドライブレコーダーを開発・販売したことあったが、それは前方撮影タイプで、前後左右撮影できるものは『360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』が初。「開発には時間がかかりました」と柄澤氏は振り返る。

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
PB事業戦略本部PB企画開発部
企画開発チーム
柄澤喜行氏

ときにはレンタカーも使い実走テストを実施

 一体、何に時間がかったのであろうか? 柄澤氏によれば、きちんと撮影できるようにするための調整作業とのことだ。

『360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』で前後左右の映像を見るとき、ソフトウェアで映像を前後左右に分割表示する。このとき、360°撮影カメラの画角などが適切でないとちゃんと表示されない。開発スタート時は後方や左右がきちんと撮れなかったという。

前後左右を捉える「マルチウィンドウモード」での撮影表示。このほか、前後を2分割表示する「フロント&バックモード」、幅広い視野で前方を捉える「ワイドアングルモード」、車内前方と運転席を写す「球面モード」と計4パターンの撮影表示を状況に応じて切り替えることができる

 問題を解決するには車に取り付けて実走テストを繰り返し、調整作業を繰り返すしかない。しかも、どんな車種に取り付けてもきちんと撮影できるようにする必要があった。

 実走テストはあらゆる車種で実施。ときにはレンタカーを借りて行なったほどだ。20回以上実施して、360°撮影カメラの角度調整範囲などを決めた。

 360°全方位をカバーした撮影視野角のドライブレコーダーは3万円程度する中、定価は市場最安値の1万2800円(税抜)を実現。ドン・キホーテらしい圧倒的な低価格を実現した格好だ。

オービス位置情報とGPSの連動に苦戦

 発売後、来客者に注目してもらうため、店頭で流す販促用の動画を制作。ドライブレコーダーの設置台数が増えている現状や、これまでのドライブレコーダーの問題点、『360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』の特徴などを盛り込んだ。

店内で流した『360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』の販促用動画

 月間600台ほどの販売を見込んでいた『360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』は発売初月に800台を販売。2020年1月は福袋の商品として使ったこともあり、1300台ほど売れている。

 売れ行きが好調の中、『オービス位置データ&GPS機能対応360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』が発売される。特徴は、オービス(自動速度違反取締装置)のある場所を示す地図データを搭載しオービスに近づくと制限速度を音声で知らせて安全運転を促すようにしたことと、GPS機能に対応したことで日時・走行場所・走行ルート・速度などを撮影した映像と一緒に記録することができるようにしたこと。GPSは日本版GPSと呼ばれることもある『みちびき』に対応している。

『オービス位置データ&GPS機能対応360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』のGPSアンテナ

 リニューアルの検討は『360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』発売後すぐに始めた。「リニューアルに当たっては、ドライバーが危険な運転をしないようスピードの出し過ぎを避けられるようにすることを考えました。検討の結果、オービス位置データを搭載し、アラートを鳴らすことで安全運転を促すことにしました」と柄澤氏。GPS機能の対応は、撮影映像と一緒に各種データを記録できるだけでなく、オービスに近づいたらアナウンスを始めるようにするにはオービスの位置と走行中の車との距離を正確につかまなければならないことから、必然的に決まった。

「オービスの位置を示した地図データとGPSの連動は大変でした」と振り返る柄澤氏。オービス設置場所の500m手前から制限速度を音声で知らせるようになっているが、開発当初はアナウンスが始まったときにはオービスに接近し、アナウンス中にオービスを通過したこともあった。オービス設置場所の500m前からちゃんとアナウンスを始め通過するまでにアナウンスを終えるよう、実走テストを繰り返しながらオービス位置データとGPSが正しく連動するよう調整作業に時間を使った。

ドライブレコーダー搭載車であることを示すステッカーを付属

 オービス位置情報データの搭載やGPS 機能の対応以外に、機能面での変更はない。ただ、付属品に関しては、後続車両にドライブレコーダーを搭載していることを示すステッカーを追加した。ステッカーは夜間でも視認できる高価な蓄光タイプを採用している。柄澤氏は次のように話す。

『オービス位置データ&GPS機能対応360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』に付属しているステッカー

「調査から、『360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』の購入後、ドライブレコーダー搭載車だということを示すステッカーを別途購入されているお客様が多いことがわかりました。そこで、お客様の利便性向上を図るために、ステッカーを付属品としてつけることにしました」

 高機能化や高価な付属品を追加しながらも、『オービス位置データ&GPS機能対応360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』の定価は1万4800円(税抜)と2000円アップで抑えた。『360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』に使ったパーツをすべて見直し、変更しても機能や品質に問題が生じないものは安いものに交換したという。

取材からわかった『360°撮影カメラ搭載ドライブレコーダー』シリーズのヒット要因3

1.取り付けが簡単

 取り付けはフロントガラスに貼り付けてから電源を取るための配線をするだけ。業者にお願いしなくても簡単に取り付けられる点が支持された。

2.ニーズにマッチしている

 あおり運転のような危険運転が社会問題になりドライブレコーダー、それも前後左右撮影できるモデルのニーズが高まってきた。このニーズにタイミングよく応えることができた。

3.価格の割に高機能

 前後左右撮影できるタイプで市場最安値を実現。リニューアルではさらなる高機能化を進めたが、2000円アップで抑えた。価格の割に高機能でお値打ち感がある。

 すでに次のリニューアルに向けて検討は進めているものの、新型コロナウイルスもあり発売時期などは未定の状況。どのようなリニューアルになるか楽しみだが、これまで同様、低価格ながら高機能で驚かせてほしいものである。

製品情報
https://www.donki.com/j-kakaku/product/detail.php?item=3094
https://www.donki.com/j-kakaku/product/detail.php?item=2868

文/大沢裕司

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