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用途はビールだけじゃない!ホップの健康価値を世に広めるキリンの社内ベンチャー「INHOP」の挑戦

2020.11.05

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

健康素材としてのホップの力を駆使した商品を展開

キリンの独自素材「熟成ホップ」を活用し、社会問題の解決を目指して2019年に誕生した、キリンホールディングスと電通の合弁会社「INHOP」。

代表取締役社長の金子裕司氏は、キリンホールディングスで健康機能性素材・食品の研究開発を担当。「熟成ホップ」と同素材を搭載した「キリン カラダフリー」の開発を手掛けたのち、2019年にINHOPを設立した。キリンホールディングスの社内ベンチャーとしては2例目、R&D(研究開発)成果を起点に会社を設立した初のケース。INHOP設立の経緯やホップの持つポテンシャル、7月に発売された新商品について、金子社長に話を伺った。

Q・新会社INHOP設立の経緯について

ホップはビールの原料として12世紀ごろから使われ、世界最古の医学書にホップは薬用植物の一つとして記載されており、ヨーロッパではホップのハーブとしての健康効果が知られている。ドイツではお茶やシャンプーなど、ビール以外のホップを使った製品が多数販売されている。

キリンの熟成ホップの研究開発は10年以上続いているが、私は素材の量産体制確立と「キリン カラダフリー」の開発を担当し、商品が販売された時点で、研究者としては一つの区切りを迎えた。熟成ホップの研究開発を通じて、ホップの持つポテンシャルに着目し、飲料に限らない様々な形で素材の価値をお届けする、ホップを使った市場を広げていく余地があるのではないかと考えていた。

高齢化や後継者不足などの理由から、日本のホップ農家は年々減少の一途をたどり、現在の日本産ホップ生産量は10年前の半分程度まで落ち込んでいる。この状況をホップと共に歩んできた者として傍観するわけにいかないという使命感もあった。ホップの健康機能に光を当て、その用途をビール以外にも広げていければ、日本産ホップの価値化や地域創生にも貢献できるのではと考えた。

そのためには、ホップの持つ様々な価値や魅力を、ビール用途にとどまらず広く伝え、お客様にお届けする必要がある。ブランディングに強みのある電通と、ホップの研究開発に強みを持つキリンが手を組む形で昨年「INHOP」を設立。大々的に始めるのではなく、小さくトライ&エラーを重ねながら最適解を探していくために、ジョイントベンチャーという形にした。

INHOPは熟成ホップの健康機能を起点として、ホップの価値や魅力を様々なシーンで提供するプラットフォームを立上げ、ホップのエコシステムを構築することを目指している。このビジョンに共感いただけるパートナーとともに、ホップを用いた商品の製造・販売および情報発信を展開し、2023年をめどに売上高数億円規模の事業へと拡大していきたいと考えている」

Q・「熟成ホップ」は健康素材としてどのように活用できるのか?

ホップには様々な健康価値があることが知られていたが、そのままでは苦味が非常に強く、食品として摂取するのが難しい素材。加えて、保存性や安定性など食品素材としての取り扱いにも工夫が必要で、食品への応用性は決して高くない。そのため、日本国内でビール以外に展開されることはほとんどなかった。

ホップを食品に展開するには、苦味を減らしたホップ素材の開発が不可欠と研究チームは考え、色々な手段を検討したが、そう簡単にはいかなかった。10年以上、のべ100人あまりの研究者が携わり、研究終了の危機を何度も乗り越えながら、たどり着いた結果が“ホップを熟成させる”ということ。

新鮮なホップは香りが良く苦味がシャープだが、時間が立つと香りも苦味もだんだん減っていく。そのため、新鮮なホップを使うことがビール業界の常識。しかし、ホップを敢えて熟成させれば、苦味を減らしたホップ素材が開発できるのではないかと研究を重ねて、苦味を 約1/10 に抑えることに成功した。こうして自然由来の新しい素材として、さまざまな食品に活用できる「熟成ホップ」が完成した。

熟成ホップの製造方法はとてもシンプルで、ペレット化したホップを加熱熟成し、それを水で抽出、濃縮するというもの。シンプルなので量産化もできる。液体と粉体、どちらの形態でも使用でき、熟成ホップを用いた機能性表示食品も開発されていることから、様々な食品に展開可能な素材であると考えている。

Q・今後の展開について

ホップ=ハーブの一つ、という認識を広めるため、様々な食品や料理に使える商品の開発を進めていきたい。また、ホップ生産農家の女性の手はきれい、と伝承的に言われることもあり、化粧品など女性向け商品の開発にも興味を持っている。さらに、ホップの特徴の一つである「香り」に着目。特に日本産ホップは香りの良さが特徴でもあり、日本産ホップの拡大という意味でも注力したい。

少しでも多くの人に「ホップは体にいい」ということを知っていただき、そして気軽に摂っていただける商品を世の中に増やしていく、まずはそのような世界を目指したい。

熟成ホップ入り商品「シンキングサプリ・ホップイングミ」「シンキングサプリ 受験力」

中学受験を控える小学生から、思考時間の長いオフィスワーカー、いつまでも生き生きとしていたいと願うシニアまで、あらゆる世代の健康課題を解決する素材として展開していきたいと話す金子社長。

今年7月に発売した「シンキングサプリ・ホップイングミ」「シンキングサプリ 受験力」は、デスクワークや打ち合わせ、勉強やオンライン授業、PC作業やアイデア発想のときなど、仕事中や勉強中などでも手軽に「熟成ホップ」を摂れるようにした商品。新発売の2商品はINHOP公式サイト内から購入できる。

○「シンキングサプリ・ホップイングミ」(10袋入り・税込3240円)

ホップを世の中に広げていくための第一歩として、年齢を問わず手軽に食べられる菓子という形で開発。ミシュランガイド2020掲載店のレストラン「sio」の鳥羽周作シェフの協力を仰ぎ、ディスカッションを進める中で、ホップの味を活かしつつ、頭を使うシーンでも食べやすいグミに決定した。

「ホップイングミには、1袋にビール5本分ほどのホップが含まれている。ホップの味を活かしながら、美味しく食べられるように香味バランスを調える必要があった。苦いけれどクセになるような継続的に食べていただける味を追求し、グレープフルーツを加えることで苦みと同時にさわやかさを楽しめる風味に仕上げた。通常のグミと比べ甘さを抑えているので、普段お菓子をあまり食べない方もお楽しみいただけるのではないか。

鳥羽シェフとはこの先も協働を続けていき、熟成ホップを使った他商品の開発や情報発信を進めていければと考えている」(金子社長)

○「シンキングサプリ 受験力」(180㎎×60粒入り 税込3240円)

毎日手軽に摂取できる錠剤型サプリメントも同時に発売。朝出かける前や、夕方塾に向かう時、家で勉強する時など、いつでも好きなタイミングで食べられる、思考のための「サポート食」。「受験生を抱える親御さまのお悩み解決に貢献できることはないか、と考えて開発した」(金子社長)

【AJの読み】ホップが持つ健康価値を世の中に広く伝えていく企業が誕生

ホップに対する世の中の大半の認識は「ビールに苦味と香りを加えるもの」だと思う。私も2年前にホップを使ったのど飴の取材で、ホップはハーブとしても使われることを初めて知ったが、今回の取材でホップが持つポテンシャルをさらに深く知り改めて驚いた。

「シンキングサプリ・ホップイングミ」を試食したが、確かにホップ由来の苦味はあるが、グレープフルーツ風味があるので食べやすく、しかもこの苦味がクセになりそう。甘いものは苦手なので普段グミはあまり食べないが、こちらは執筆中に1個、また1個とあっという間に1袋を完食。甘さは控えめなので男性にもおすすめだ。

INHOPは、ホップがビールの原料としか知らない人に向けて、ホップが持つ健康価値を世の中に広く伝えていく企業であり、食品やコスメなどさらに幅広いホップ商品を打ち出していくとのことなので、今後の展開に期待したい。

文/阿部純子

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