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衝撃の加速力!品川~名古屋間を40分、品川~大阪間を67分で走る時速500kmの超伝導リニア「L0系改良型試験車」乗車レポート

2020.11.03

来る営業運転開始の日を目指して、日々試験走行が行われているJR東海の「超電導リニア」。乗客を乗せて安全に走行する基本的な技術は既に確立され、今はより快適な車内空間や乗り心地の追求、保守作業の効率化などを目指して走行試験が継続されている。

これまで試験に使用されていた「L0系」からさらに改良され、より営業時の車内設備を想定し、走行性能も向上された「改良型試験車」が先日導入され、試験のフェーズは次の段階に進んだ。今回はこの「改良型試験車」に乗る貴重なチャンスに恵まれたので、実際に乗ってきた車内の様子や乗り心地をレポートしよう!

<H2>今、リニアってどこを走っているの?

今回、筆者が向かったのは山梨県の大月駅だ。

「えっ、リニアって品川から出るのになんで大月?」と思うかもしれないが、リニア中央新幹線の品川駅は工事のまっただ中。実際にリニアが走行しているのは山梨県にある「山梨リニア実験線」という場所になる。

総延長42.8kmで営業運転を想定した様々な線形で作られている実験線。その中心的な役割を担いつつ、リニアへの乗降機能を持つ施設が今回の目的地、JR大月駅からやや南にある「リニア実験センター」なのだ。

中央道を河口湖方面に走っていくと途中で特徴的なアーチ橋が見えてくるが、それが実験線の一部だ。

こちらがリニア実験センター

すぐそばに「山梨県立リニア見学センター」がある。一般の方も入場できる施設だ。営業日などはこちら

未来の0系! 「L0系」と「改良型試験車」

現在、実験線で走行しているのは「L0系」というリニアだ。

現在試験走行を繰り返しているL0系改良型試験車

L0系の形式名は高速鉄道の開拓者ともいえる東海道新幹線「0系」に由来しており、次世代の高速鉄道を担う車両にふさわしい形式名となっている。

現在、この試験車両は東京方と名古屋方で先頭車の形状が異なり、東京方の6、7号車に連結されているのが今回報道陣に車内が初公開された「改良型試験車」だ。

改良型試験車は以前こちらの記事でも紹介した車両で、先頭車タイプと中間車タイプの2両が制作された。

現在、既存のL0系と比較検証しながら試験走行に従事している。改良型試験車の特徴はいろいろあるが、今回は実際に乗車できるということで、最も気になるのはその車内と乗り心地だ!

L0系の車内から改良型試験車では、より「営業運転を意識した車内」に進化させているとのことで期待感は増すばかり!!

これが「改良型試験車」の車内だ!

そもそも、リニアの乗降口ってどうなっているのだろうか。リニアは東海道新幹線のような形状のホームではなく、どちらかといえば飛行機の搭乗口をイメージさせるような形状になっている。ところどころでリニアに乗ることを「搭乗」と表すことがあるが、なんとなくそのニュアンスもわかるような気がする。なによりリニアは浮くわけだから「搭乗」のほうがふさわしいかも。

リニアの搭乗口はこんな感じ

行き先はすでに名古屋になっていた!

改良型試験車の内装は6号車と7号車で異なっており、ここにもいろいろな試験が組み込まれている。

7号車の屋根は東京ドームの屋根のような膜素材による平面性が高い形状になっており、これは既存の鉄道車両では採用されていない機構になっている。

改良型試験車7号車の車内。膜素材を使用した天井が特徴的。

7号車の荷棚はもう少し容量が欲しい気がする。

7号車、車端部の荷物スペース。

一方、6号車は吸音パネルによる凹凸形状になっている。照明は共にLEDを採用しながら、7号車は間接照明、6号車は直接照明を採用する。

座席は6、7号車ともに同じものが搭載されており、一見新幹線と同じような座席だが、徹底的に軽量化を図りながら、快適性を向上するために背もたれ高さと座面幅を従来車より拡大。リクライニング時には座面も連動する快適仕様だ。

2+2の配置となっており、車内は新幹線に比べてだいぶスマートな印象で、荷物は主に車端部の収納スペースか自席の下に収納するようになっている。

こちらは6号車。天井の形状が異なっている。

6、7号車に新たに設置された座席。新幹線の座席よりも若干クッション性が高いように感じた。

電源設備として各席にはコンセントではなく、USBポートがつけられている。

本採用時はどのようになるか!?

やや形状の変わったドリンクホルダー。ペットボトルのほか、コーヒーショップで購入した容器なども安定して置けるようになっている。

大きめの荷物は自席の下に収納できる。

あっという間に時速500km! 着陸時には軽い衝撃が

今回は実験線を数往復乗車した。改良型試験車と従来のL0系の二つの車内を乗り比べすることができたが、まず、何といっても驚くのが最高時速までの加速力だ!

リニアは最高時速500kmでの営業走行を目指しているが、停止状態から2分30秒ほどで最高時速500kmに達してしまう。これだけでも驚きだが、「乗り心地を考慮しなければ実力的にはもっと速い」とのこと。ちょっと本気のリニアにも乗ってみたい気もする。

ちなみにリニアは10cmほど浮上して走行するが、低速走行時には飛行機のように車輪が出て車輪走行を行う。減速してきて車輪が接地する瞬間には軽い衝撃があるが、飛行機の着陸のような強さではない。

気になる高速走行中の改良型試験車の車内だが、若干「カタカタ」という硬めの揺れが続くが、新幹線とほぼ同等といってもいいレベル。揺れについては新幹線で言うところのレールにあたる、車外に設置されている「ガイドウェイ」と「コイル」の高精度な設置と、車両に取り付けられた超電導磁石と車両をつなぐ部分にある「空気バネ」の調整などで、より高い制振制御を研究。今後も乗り心地向上を図っていくとのことだ。

従来型のL0系の車内。東海道新幹線の車内によく似ている。

テーブルも従来車は新幹線と同様のものに。ドリンクホルダーについてはこの形状だと、カップ状のコーヒーなどはやや入れづらい。

L0系従来車のデッキ部分。新幹線よりもどこかいろいろと寸法が詰まっていそうな雰囲気。

気になるのはむしろ「音」で、走行区間がほぼトンネルということもあり、やや大きめの「ゴォー」という音が気になる。

車両の防音対策は入念で、例えばリニアの車内の床は改良型試験車、従来車ともに、もふもふとした柔らかめのカーペットになっている。これは吸音材が敷き詰められているためで、天井などにも静音性を高める工夫や素材が組み込まれている。

また、リニアの高速走行を実現する上では軽量化が欠かせず、そのため車内空間は単に乗車するだけでは不自由がないものの、手荷物の収納スペースについては課題を感じた。

自席の下にキャリーケース程度の大きさのものは収納できるが、もう一つ何かを持っていると正直辛い。頭上の網棚や車端部の荷物スペースも現状では、利用者からするともうちょっとゆとりが欲しいかな、というのが実感だ。

時速500kmの世界は今までの鉄道のそれとは別次元


時速500kmだと車窓はこうなる!

柔らかい踏み心地の床には吸音材が入っている。

シートは快適性を向上させたというだけあって、従来のL0系に加えて高機能性も感じ、よりゆったりと座ることができる。内装もかなり明るくなり、トンネルが続くリニアではこの開放感は重要になってくるだろう。

一方でテーブルが従来L0系では、前の座席に取り付けられている新幹線と同じタイプのものに対し、改良型試験車では個々の座席の肘掛け横に設置されており、だいぶスマートに。

これについてはPC作業などを考えるとやや狭そうだが、「将来的にはノートPCなどのそうしたデバイスも小型化される可能性を考えている」ということで、テーブルのサイズについてはまだまだ変更の余地があるようだ。

車内設備は検討中の部分もあり、今後の課題も多いように感じるが、それでも品川〜名古屋が最速40分、さらに品川〜大阪が最速で67分という速達性能はもはや異次元だし、どうしてもワクワクしてしまうのは乗り物好きの性だろうか……。

荷物スペース、揺れについても、今回僕が感じたような点を洗い出すのがこのL0系と改良型試験車の使命でもあり、「試験走行を繰り返し、より理想的な営業仕様に近づけていきたい」とのことなので、次の車内展開を楽しみにしたい!

従来のL0系の車内に比べて、「新幹線っぽさ」がずいぶんなくなった改良型試験車。今回は未来の乗り物の次の姿に少しだけ触れることができた。

取材・文/村上悠太

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