令和2年度以降の年末調整での必要書類とポイント
年末調整にまつわる書類には『全ての人が必要となるもの』と、『該当者のみが必要なもの』があります。それぞれについて具体的に見ていきましょう。
全員が必要になる書類
まず、全員が必要になる書類には3種類あります。
- 「扶養控除等(異動)申告書」
- 「保険料控除申告書」
- 「給与所得者の基礎控除申告 兼 給与所得者の配偶者控除等申告 兼 所得金額調整控除申告書」
「扶養控除等(異動)申告書」は、収入を得る人が家族を扶養している場合、所得税等から控除を受けるためのものです。これは、扶養家族がいなくても提出しなければなりません。
次に「保険料控除申告書」です。所得税等には保険料控除があり、支払った生命保険や地震保険の金額に応じて、控除が受けられます。
ただし、個人で支払った生命保険などがあれば、保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」の添付が必要です。
また、社会保険に関しては『入社前の国民年金』や『同一生計の家族分の社会保険料を支払った場合等にはその金額』についても所得控除が受けられます。
最後に「給与所得者の基礎控除申告 兼 給与所得者の配偶者控除等申告 兼 所得金額調整控除申告書」に関しては、合計所得金額の見積額が2500万円以下の場合に『給与所得者の基礎控除申告』の部分に記載し提出します。
さらに、配偶者がいる場合かつ条件に該当する場合は『給与所得者の配偶者控除等申告』にも記載をし、そのほか条件に該当する場合には『所得金額調整控除申告』の欄にも記載が必要です。
出典:令和2年分(2020年)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書|国税庁
出典:令和2年分(2020年)給与所得者の保険料控除申告書|国税庁
出典:令和2年分(2020年)給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書|国税庁
該当者が必要になる書類
次に、該当者が必要になる書類を説明します。
- 住宅ローン等を利用して、マイホームの取得・増改築等を行った場合:「住宅借入金等特別控除申告書」
これは、新築・増改築の際に行った借り入れ額に応じて控除を受けるためのものです。ただし、この用紙を用いて年末調整ができるのは、2年目からになります。初年度は、自分で確定申告を行わなければならないため注意しましょう。
出典:「年末調整で(特定増改築等)住宅借入金等特別控除を受ける方へ(PDF/2,606KB)」
控除を受け忘れた場合は「還付申告」を
「うっかり申請し忘れた」「制度を知らずに申請できなかった」という人もいるでしょう。5年以内なら「還付申告」という手続きが可能なので、心配ありません。
「所得税の更正の請求書」と該当する年の証明書を揃えて、税務署に提出します。
年末調整で還付金が発生するケース
年末調整によって、払い過ぎた税金が戻ることを期待している人もいるでしょう。還付金が発生するケースについて解説します。
還付金がある人の例
「会社が把握できない所得控除」があると、還付金が生まれる場合があります。生命保険などの支出、配偶者や扶養家族の存在、住宅ローンなどがそれにあたります。
年末調整では、控除の対象となる内容の金額や人数などを踏まえて、税額が確定します。
そのため、源泉徴収では納税額が足りないということも考えられ、場合によっては追加徴収となることは理解しておきましょう。
還付金の振り込み時期
還付金が振り込まれる時期は、年末調整が完了する時期によって異なります。通常は、12月から翌年1月下旬にかけて行われるものです。
12月の給与に上乗せされることが多いため、同月の振込額に期待を寄せる人もいるでしょう。もし、還付額が見当たらないという場合は、源泉徴収額と納税額に相違がなかったということになります。
構成/編集部