現実ではない環境を、理工学的に、ユーザーの五感を刺激して作り出す技術である「バーチャルリアリティー」。
このテクノロジーは、コンピューターの技術がプリプリマンに進化することにより、特にここ最近、より注目されることとなりました。
例えば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD、頭部搭載型ディスプレイ)タイプで視覚を刺激するVR装置である「Oculus Quest」の登場は、世間に、バーチャルリアリティーへの関心を、一気に高めることになりました。
ちなみに、バーチャルリアリティー映画の映画館の世界では、「4DX」なる上映方法を行う映画館が増え、人気を博しています。
「4DX」とは、CJ 4DPLEX社が開発した、映画館用の環境効果技術です。映画上映時に、映像・音声に合わせて、座席稼働や環境効果を体感できるのがビッグな特徴です。
「前後上下左右への動き」「背中への衝撃」「地ひびき」「耳・首筋へのエアー」「足元に何かが触れるような感覚」「風」「水」「霧」「雨」「嵐」「雪」「香り」「煙」「フラッシュ」「バブル」等で五感を、何となくユカイに楽しめます。
できれば同じ環境を、自宅でお手軽カンタンに楽しみたいと思うのは、もはや社会の定説ですが、まあさすがに座席移動や雨、風、嵐を自宅のホームシアター環境で再現するのは結構厳しいです。
それでも何とか、「背中への衝撃」「地ひびき」くらいの感触を、バーチャルでリアリティーしたい(意味不明)という、粋でいなせ(江戸時代の江戸における美的観念)な人たちの切なる願いが、これまではなかなか叶(かな)えられることが難しかったのが、VR大好き人間たちの悩みの種でした。
お役立ちガジェットが全盛のこの時代、自宅ホームシアター環境でも、せめて「音」を振動に変え、体で感じてバーチャルなリアリティを体感できるようなシステムは存在しないのでしょうか……?
実はあります。
そのシステムこそが……。「体感音響システム」なのです!
音が体感できる! 没入感がバッチリな夢の音響システムとは?
ちなみに、「体感音響システム」として良く例に挙げられるのが、「ボディソニック」です。
「ボディソニック」はパイオニアの創業者である松本 望氏が研究・開発に取り組み、完成させました。
「ボディソニック」は、「ボーンコンダクション」(骨伝導)のエネルギーを伝える振動装置で構成されており、小音量でも臨場感あふれる重低音が直接体に伝わり、楽しく音楽を楽しめるのが特色です。
そんな素晴らしい音響システムである「ボディソニック」ですが、残念ながら、現行品として入手することはできません。
市販品はすでに販売終了しており、もし入手するのであれば、流通在庫や中古品を手に入れるしか方法はありません。
今の時代、ホームシアター環境で、「ボディソニック」で音響を体感することは、もう不可能なのでしょうか……?
いえ、実はまだ方法があります。
「ボディソニック」システムそのものは入手が困難ですが、似て非なるものとはいえ、いわゆる音響を振動で体感したいのであれば、方法がない訳ではありません。
システムを自作することで、全王様もおったまげの「限界突破」が可能なのです!
「体感音響システム」を自作するには、いったいどうすれば良いの?
さて、そんな楽しい「体感音響システム」を自作するには、いったいどうすれば良いのでしょうか。
ここ最近では時々、こういった商品↓↓が、ちょくちょく登場することはありますが、常に入手できるわけではないのが、悩ましい所です。
@DIME/映画、テレビ、ゲームをリアルに体感できる「バーチャルリアリティーバックパック/シート」の臨場感がスゴい!
そんな中、ネットをポチポチ散策していると、こんな商品を見つけました。
商品名を見ると「バス・シェイカー(BASS Shaker)」という商品名のようです。興味のある方は、この商品名を通販サイトで検索してみましょう。
ちなみに、こちらの商品の型番は「Dayton Audio TT25-8」です。
特にこれでなければいけないという訳ではないのであしからず。通販サイトで関連商品としてオススメに出る商品でも、まあ大差はないかと思われます。
ちなみにオーディオ用語で「BASS(バス)」は「低音」の意味なので、ようするに、低音がシェイク(振動)するワケですね。上手いネーミングですね。思わず笑みがこぼれます。
この商品のスペックを見ると……
・サイズ:86mm径・厚さ25mm
・耐入力:15W:RMS / 30W:MAX
・インピーダンス:8Ω
・周波数レンジ:20-80Hz、Fs :40Hz
……と書かれているので、何となく、このスピーカーを鳴らすには「アンプ」が必要なんだなー、と推測できます。
海外通販サイトでおなじみの「Aliexpress」だと、似たような傾向の商品を多数見かけます。
商品名は若干異なる場合もありますが、まあ多分似たようなことはできるじゃないかと思います(←テキトー)。それっぽい形状をしていれば、多分ソレがアレでコレです。
これなんか、もうちょっとパワフルな振動をするっぽいですね。
商品説明を見る限りでは、ゲーム機や映画館やリビングのソファに取り付けて楽しむことを想定しているっぽいですね。
あと多分、車に取り付けてズンドコする用途もあるみたいです。
よく、車が大好きなお茶目(ちゃめ)な若者たちが、公園やパーキングエリアなどで、大きな音を鳴らしている微笑(ほほえ)ましい光景を見ることもあるかと思いますが、車全体も振動衝撃でブルブル鳴らして青春を謳歌(おうか)する、そんなアイテムなのかもしれません。
もちろんわれわれも、ご家庭でズンドコを楽しめます。
ちなみに、サイトに表示されているスペックは、難解な英語で書かれていますが、英語は機械翻訳であればバッチリ理解できる筆者がざっくり考えるに、恐らくこのスピーカーで音を鳴らすには、100W以上の出力のアンプが必要なんだろうなあ……と、いった検討は何とかつきました。
覚えておこう! 「スピーカー」の駆動形式の違いとは?
さて普段、あんまり意識することはありませんが、いざ「スピーカー」システムを自作しようとする場合、ここだけの話、スピーカーに「アンプ」が内蔵されているか、いないかの二択しか実は存在せず、それぞれ準備が必要なものが違うらしいです。
筆者は普段、オーディオやデジタルガジェット全般はあまり詳しくなくて、記事執筆時は知ったかぶりをしているのですが(編集部「オイ!」)、今回ネットサーフィンしまくって、何とかわからない所以外のわかる部分を調べました。
いわゆるひとつの、電源を供給するタイプのスピーカーは、「アクティブスピーカー」といいます。
スピーカーの中にこっそりアンプが内蔵されているので、例えば、オーディオ機器のヘッドホン端子や、ライン端子などから、スピーカーをケーブルで接続するだけで、結構大音量を流すことができる優れものです。
最近よく見かける、スマホやPCとBluetoothで接続する「Bluetoothスピーカー」なんかも、「アクティブスピーカー」ということになります。
そして、「アンプ」が内蔵されていないスピーカーのことを、「パッシブスピーカー」といいます。
普通、「パッシブスピーカー」だけで大音量を鳴らすことはできないので、「そんなの買っても意味ないじゃ~ん!」と思われがちですが、逆に考えると、自分の好きなアンプを好きなだけ選べるということ。
音質にこだわりのある人はもちろん、アンプやケーブル、電柱にもこだわりがあります。耳の良い人は、アンプのメーカーやアンプの回路、電柱からの引き込み線の品質の違いを聞き分けることができるとか。ホンマかいな。
アンプ内蔵の「アクティブスピーカー」は構造上、性能に限界があり、より音質にこだわりのある人は、「パッシブスピーカー」+「高級アンプ」という選択肢に至るわけです。
ようするに、アンプは何を選べばいいの?
今回探した、「体感音響システム」は、どこをどう見てもアンプが内蔵されているようには見えないので、スピーカーは「パッシブスピーカー」であることは、ほぼ確定。
あとはアンプに何を選ぶ? という段階になります。
通販サイトで、オーディオ用の安価なアンプを探してみると.2~3000円くらいから結構見つかります。
取りあえず、「低音を重視して鳴らせばいいんだよな~!」と思い込むことにして、先ほどの小さい方の体感音響スピーカーのスペックを再確認してみると、インピータンスが8Ωで、ワット数がMAX30Wなので、そのスペックをまかなうことができる、高音、低音のトーンコントロールのダイヤルのついたステレオアンプを購入したのですが……。
そこが過ちの始まりだとは、この時はまだ気づかなかったのでありました。まる。
しまった! アンプの購入で大失敗!
※アンプの画像はあくまでもサンプルです。これでなければ「いけない」、という訳ではありません。
さて、なんとかアンプを入手しました。そして箱を空けてみたところ、すると南斗、もとい何と……・。野沢雅子さん的に言うと、「てぇへんなこと」に気がつきました。
「本体だけ! 電源がない!」
……そうなんです。この手の安価なアンプは、電源が付属していないことが多いんです。まさにトホホです。
ちなみにアンプのスペック表には……。
●スピーカーインピーダンス:2~8Ω
●電源電圧:12-14.4V DC 3-5A
……という記載がありますので、この範疇(はんちゅう)のACアダプタを購入しなければいけません。
そのため12V/5AのACアダプタを追加購入することになりました。ここで要注意なのが、DCプラグの径には、いくつか種類があるということ。
今回のアンプのプラグの径は5.5mm/内径 2.1mmだったので、それに適合するアダプタを入手しないと、購入したはいいけれど刺さらないという、残念極まりない事態におちいってしまうので要注意です。
正直筆者も、うっかり、電圧と電流値ばっかり気にして、DCプラグの径が合わないアダプタを、すんでの所で購入してしまいそうになり、結構ヤバかったです。
あと、アンプの最大出力より大きな出力に対応するアダプタでなくてはいけません。
今回選んだアンプは 25W×2 出力、したがって50Wだったので、ACアダプタは60Wのものを選びました。
もちろん、もっとワット数の高いアダプタでも大丈夫な筈(はず)です。以下であってはいけません。
あれ? せっかくの「体感音響システム」用のスピーカーが、思った通りに動かない!
さて、「アンプ」も無事入手し、「ACアダプタ」も追加購入しました。
ちなみに「Dayton」の方のスピーカーにはリード線が出ており、アンプの背面にはバネタイプという、バネのボタンを押して電線を差し込み、手を離すとそのまま線が固定されるという、お手軽カンタンなスピーカー端子がついていました。そのまま線を差し込もうとして、はっと気が付いたんだな、これが!
「R(右)と、L(左)、どっちの端子に繋げばいいんだ……?」
体感音響スピーカーはボディがソニックすればいいので、別にステレオ出力である必要はありません。
左右ステレオ感がある振動衝撃って何なんだろうという話な訳で。ようするに、出力がステレオである必要がなく、スピーカー1個で充分な筈のに、意味も無くステレオアンプを買ってしまったのでした。イヤハヤ南友(なんとも)。
まあ悩んでも仕方ないので、独断と偏見で片方の出力端子にスピーカーを繋ぎましたとさ。
そして、アンプ側の高音の音量を絞り、低音の音量を上げてアンプの入力に音源を接続し、(音源の出力に関しては後述します。これも結構苦労した!)鳴らしてみました!
……?
確かにスピーカー自体は、音源の音声に合わせて振動衝撃が伝わりました。しかし! 振動衝撃だけでなく普通の音声も、それなりにスピーカーから出力されてしまいました。しかも低音がこもって、モゴモゴしていて、かなり聞きづらいです。
……ようするに、通常の音声は音源から分岐させて、普通のアンプとスピーカーのシステムでちゃんと音を鳴らし、別途、分岐先の体感音響スピーカー側の方は普通のアンプのトーンコントロールじゃキレイに通常音と低音が分離してくれないので、がっつり低音領域のみが出力されるアンプを用意しないとダメ、ということのようなのです。
あらまあ、何ということでしょう! 誰も教えてくれなかったのが悪い! こんちくしょう!
……というワケで、泣く泣く音源を二股に分けるケーブルを入手して……。
片方には通常の音声が鳴らせるアンプ(先ほど購入したアンプを流用)と、そこら辺に転がっていたパッシブスピーカーを接続し、もう片方の低音用のアンプは、「どないすんべ」と思ってさらにネットをサーフィンすると、「サブウーハーアンプ」なるものを見つけました。
ちなみに、「サブウーハー」もしくは「バスウーハー」、ようするに「ウーハー」とは、低音に特化したスピーカーのこと。
このアンプを使えば、低音のみフィルタリングしてくれて、体感音響スピーカーからは余計な音声も流れずに、バッチリとボディなソニックを楽しめるんじゃあないだろうかという、勝手な思い込みでさっそくポチってしまいました。
ともあれ、今回もワット数とインピータンスには要注意!
かつ、ACアダプタが別売の場合は、ACアダプタの購入も忘れずに! DCプラグの口径も要確認!
※アンプの画像はあくまでもサンプルです。これでなければいけない訳ではありません。
ちなみに、今回選んだ「サブウーハー」のアンプは、背面に音声出力端子があるのですが、これがいわゆる「RCA端子」もしくは「ピンプラグ」「ピンジャック」と呼ばれるもの。
この場合、スピーカー側の端子に合わせた、変換ケーブルか変換プラグが必要となるのでご注意ください。ホント、オーディオ端子は、色々規格があるので、結構苦労します。
ともあれ、結局何とか「体感音響スピーカー」と接続して、スイッチオン!
ウ“オオオオオン!
……あれ?
「まだ普通の音声の一部が、体感音響スピーカーから混ざって出てくるぅうう!」
……普通の音声と、体感音響スピーカーからの「低音」が強調された音声が混ざり合っています。さらに振動衝撃が加わって聞こえてくるのですから、何だか相当に気持ち悪い音声です。
どうやら、「サブウーハーアンプ」だけじゃ、まだ低音を絞り切れていないんですね。純粋に振動衝撃の対象になるような、超低音のみを超フィルタリングしなければならないようです。どうすればいいんだろう? 暗礁に乗り上げてしまいました。
というワケで、徒手空拳(としゅくうけん)で、さらにネットサーフィンしまくって何とか調べ上げたところ、ついにこんなモノを見つけてしまいました。
これは、ウーハー用の音声信号を、低音音域を指定して、高音をカットしてくれるフィルターのようですね。「BASS ウーハー用 ボリュームコントローラー」「低音調整器」みたいなキーワードで検索すると見つかるはずです。
これ自体にアンプは付いていないので、音源と「サブウーハーアンプ」とスピーカーの間に挟み込んで配線処理する必要があります。
ついに完成! 体感音響がでけた!
……なんだかんだ試行錯誤して、サブウーハーアンプ+低音調整器+体感音響スピーカー側の方では、期待通り、体にビンビン振動衝撃が伝わる体感音響を堪能することができました。後半の説明が雑ですみません。
ともあれ、「作戦大成功!」
……ちなみに、今回、Amazon Fire Stickの音源を体感音響化したのですが、これがまあ、一筋縄でいきませんでした。
HDMI出力から音声分離をするにはどうすればいいかとか、光とアナログ音声の遅延の問題とか……。まあ、それについては、御要望があれば続きを書きたいと思います。
ホームシアターでズンドコしたい! 「体感音響システム」の自作で限界突破してみた!
これでもう、映画館に行く必要はなし……なんてことはない! やっぱり映画館サイコー!
※資料・画像引用 筆者自身の撮影によるもの、もしくはメーカー・販売店サイト、又はWikipedia等。
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文/FURU
デジタル系ガジェットに散財する、サラリーマン兼漫画描き兼ライター。電脳ねたがテーマの漫画を得意とする→https://www.furuyan.com
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2020年3月26日(木)J-WAVE 「STEP ONE」の「LIFE IN SMART」に生出演しました!