営業の商談がオンラインに移行し、思うような成果が出なくなった…。そんな営業マンもいるかもしれない。
オンライン営業システム「bellFace(ベルフェイス)」を手がけるベルフェイス株式会社が全国の営業職の男女500名を対象に「オンライン営業に関する調査」を実施したところ、9割以上の人がオンライン営業の機会が増えたと回答した。
アフターコロナでも、スタンダードになっていくと予想されているオンライン営業。今のうちから極めておくのも良さそうだ。そこでオンライン営業を得意とする識者に、オンライン商談時におけるよくある失敗と、その対策を聞いた。
オンライン営業初心者がよく陥りがちな失敗5つ
オンライン営業については初心者という人が大半ではないだろうか。初心者が陥りがちな失敗について、自らもオンライン営業を実践し、同時に多数の営業支援実績のある、株式会社アルヴァスデザインの代表取締役 CVO 高橋研さんは次の5つを挙げる。
【取材協力】
高橋 研さん
株式会社アルヴァスデザイン 代表取締役 CVO
ビジョンは営業する/されるが楽しい世の中の実現。自らの営業実体験をもとに科学的な営業ノウハウを確立。大手企業を中心に多数の営業支援実績を持つ。著書に「実践!インサイトセールス」(プレジデント社)がある。
https://alvas-design.co.jp/
1.そもそも商談をオンラインにすべきか、対面すべきか判断できない
原因:営業プロセス上で、対面が重要になるシーンを理解していない。お客さまの意向を聞くという概念がない。
2.お客さまにアポイントメントを忘れられる
原因:対面よりもオンラインのほうが軽く扱われやすく、ドタキャンもされやすいという認識が欠如している。
3.いざ商談というときにPCが思い通りに動かない
原因:PCのスペックによっては、オンラインツールを起動させることで、PC動作が遅くなるということを理解していない。
4.商品説明だけして終わってしまう
原因:『お客さまと一緒に商談を進める』という営業の基本概念を忘れてしまっている。
5.次回のアポイントメントにつながらない
原因:顧客視点での価値を共有しきれていない。
オンライン商談の失敗に対する解決策
そこで高橋さんに、オンライン営業の失敗それぞれに対する解決策を教えてもらった。
1.そもそも商談をオンラインにすべきか、対面すべきか判断できない
「これまで訪問をしていた商談は、ある程度オンラインで置き換え可能です。しかしお客さまのことを感情面まで含めて深く理解したり、営業側の熱意を伝えたりするシーンでは、訪問営業のほうが目的をまっとうしやすいはずです。またお客さまが訪問とオンラインのどちらを希望するかは、実際にお客さまに聞いてみることが一番です」
2.お客さまにアポイントメントを忘れられる
「アポイントメントを獲得したら、必ずアポイントメント内容を記載したメールを送付することが大切です。その場でスケジュールを押さえていただき、必ずリマインドメールを送付します。顧客にとってオンライン商談は訪問より優先順位が下がりやすいことから、リスケされやすいことを認識しておきましょう。アポイント日によっては数日前~前日にリマインドメールを送ることも忘れないようにしてください」
3.いざ商談というときにPCが思い通りに動かない
「使わないアプリケーションはすべて閉じておくだけで、PC動作が遅くなることをある程度回避することができます。またオンライン商談ツールを起動させていると、他のアプリケーションの立ち上げにも時間がかかってしまうこともあるため、商談で利用する可能性がある資料は、商談前にすべてデスクトップ上で開いておくことをおすすめします」
4.商品説明だけして終わってしまう
「オンライン商談ではお客さまの反応が分かりづらく、つい焦ってしまうこともあります。そんなときは『お客さまと一緒に商談を進める』という基本に立ち戻り、お客さまの理解度や質問を都度、確認しながら進めることをおすすめします」
5.次回のアポイントメントにつながらない
「初回のオンライン商談に先立って、お客さまにとっての価値を仮説として用意しておきましょう。そもそもお客さまが価値を感じるであろう会話は何か、その会話テーマにおける自社商品・サービスならではの価値は何か、お客さまが今のタイミングで着手する価値は何か。こういった仮説を用意し、商談時に伝えることで次回以降のアポイントメントが取りやすくなります」
オンライン商談のリアル商談に勝るメリット
オンライン商談は不慣れでモチベーションが上がらないという人もいるかもしれない。リアル商談に勝るメリットにはどんなことがあるのか。
1.単位時間当たりの商談件数を増やせる
「移動時間がなくなるため、1日あたりの商談件数、1カ月当たりの商談件数を増やすことができます。特定のお客さまと短時間で効率的なコミュニケーションを取りたい場合などは、対面商談よりもオンライン商談のほうが生産性は上がるはずです」
2.遠方のお客さまとのコミュニケーションを増やせる
「遠方のお客さまのもとへ移動をして訪問する場合は大変な時間とコストがかかってしまいます。しかし、オンライン商談は交通費や宿泊費を一切かけることなく、お客さまとの商談が可能です。さらに、地方拠点に営業拠点を設ける必要もなくなるため、大幅に移動コストも負担も削減できるメリットがあります」
3.かけがえのない成長環境となる
「営業を始めたばかりの方であっても、短時間で多くの経験することができます。そして先輩や上司に商談を横から見てもらい、フィードバックを受けることも容易です。さらに同行営業などもやりやすいため、商談の中でのサポートも得やすい環境です」
オンライン商談は、まだ多くの人が不慣れだ。今のうちに慣れておき、腕を磨いておくことで、一歩先を行くことができるのに加えて、ニューノーマルな営業スタイルとして今後、大いに役立つはずだ。
取材・文/石原亜香利
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