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職場などで来客があると、お茶を出すことがあります。
ただお茶を出すだけと思うかもしれませんが、出し方にはマナーがあり、間違えると失礼になってしまうかもしれません。おいしいお茶の淹れ方から出す際のマナーまで、気を付けたいポイントを紹介します。
来客に備えてまずはお茶の準備
来客時にお茶を出すように頼まれたときには、どのような準備をすればよいのでしょうか?準備の際に押さえておきたいポイントを紹介します。
人数を確認して用意
まずはいくつお茶が必要なのか、その数を確認し、必要な数の湯飲みとそれに合った茶托を用意しましょう。
事前に訪問者の人数が分かっている場合はよいですが、お客様が到着するまで人数がはっきりしないときもあります。人数の変動に対応できるよう、少し多めに用意しておくと安心です。
このとき、用意した湯飲みが汚れていたりひびが入っていたりしないかチェックしておきましょう。汚れや欠けがあるものがあれば、きれいなものと取り換えておきます。
お茶を運ぶお盆は、湯飲みと茶托を乗せてもギリギリにならないよう、余裕のあるサイズにするのがおすすめです。また、きれいな布巾も用意しておきましょう。
急須と湯飲みを温める
お茶をおいしく入れるためにやっておきたいのが、急須と湯飲みを温めることです。事前にお湯を入れて、しばらく時間を置くことで、急須と湯飲みを適度に温めることができます。
あらかじめ急須を温めておくことで、お湯を入れたときの中の温度を一定にし、茶葉のうまみを引き出しやすくするのが目的です。また、湯飲みを温めておけば、お茶を入れたときに冷めにくくなります。簡単なことですが、おいしいお茶を入れるためには重要な一手間といえるでしょう。
おいしいお茶の淹れ方
「お茶を入れるくらい簡単だ」と思う人もいるかもしれません。しかし、お茶は入れ方によって、おいしさが大きく変わってくるものです。おいしいお茶を入れるためには、どのような点に気を付ければよいのでしょうか?
お湯を沸騰させた後、少し冷ます
お湯は必ず沸騰させてから使いましょう。沸騰させることで殺菌され、カルキ臭が抜けるという利点があります。
しかし、沸騰させた後すぐにそのお湯を使ってはいけません。お茶を入れるときは、煎茶の場合70~80℃が適温だといわれています。湯温が高すぎると渋みが強くなってしまうため、必ず少し冷ましてから使いましょう。
お湯を冷ますときには、湯飲みを使うと便利です。一度湯飲みにお湯を注ぎ、それから急須に移すと、そのまま待つよりも効率よく冷ますことができます。1人分のお湯の量を量ることもできるため一石二鳥です。お湯を冷ますためのアイテム『湯冷まし』があれば、それを使ってもよいでしょう。
急須に茶葉とお湯を入れ蒸らす
お湯を冷ましている間に、急須に茶葉を入れておきます。茶葉の量は、1人あたりティースプーン1杯(2~3g)程度が目安です。ただし、お茶の種類によって異なるケースもあるため注意しましょう。
茶葉を入れたら、冷ましていたお湯を急須に移していきます。全てのお湯を移し終わったら、蓋をして1分程度蒸らしましょう。
この蒸らし時間が、おいしいお茶を入れるための重要なポイントです。この間に茶葉が開き、お茶をおいしくする成分が出てきます。蒸らし時間が短すぎると淡泊になり、長すぎると渋みなどが出てしまうため気を付けましょう。
2〜3回に分けて注ぐ
湯飲みにお茶を注ぐときには一気に注がず、少しずつ2~3回に分けて注ぐのがポイントです。一気にお茶を注ぐようにして一つずつ入れていくと、入れた順番によってお茶の色や味に差が出てしまいます。最初に入れたものは薄く、後から入れたものは濃くなってしまう傾向があり、均一になりません。
均一な状態にするには、全ての湯飲みを並べて少しずつ入れ、2~3周で入れ終わるようにします。湯飲みには満タンに入れるのではなく、7分目程度が目安です。たくさん入れすぎると運びづらい上、お客様も飲みにくくなってしまうため気を付けましょう。
基本のお茶の出し方
せっかくおいしいお茶を入れても、出し方が間違っていてはお客様に不快な思いをさせてしまうかもしれません。失礼がないように覚えておきたい、お茶出しのポイントを紹介します。
お茶を出すベストなタイミングは?
客人へお茶を出す最適なタイミングは、訪問の目的や状況に応じて慎重に判断する必要があります。
とはいえ一般的なのは、客人が到着して挨拶が済んだ後。これにより、客人に歓迎の意を示し、リラックスしてもらうことができます。特に初対面の場合や正式な訪問の場合、このタイミングでお茶を出すことで、和やかな雰囲気を作る助けとなります。
また、話が始まる前にお茶を出すことも重要です。これは、会話がスムーズに進むようにするため。
例えば、ビジネスの打ち合わせや商談の場合、議題に入る前にお茶を出すことで、双方の緊張を和らげ、リラックスした状態で話し合いを始めることができます。この時、お茶を出すことで、少しの間を作り、自然な流れで会話に入ることができます。
さらに、話が一段落したタイミングでお茶を出すのも良い方法です。長時間の会話や打ち合わせの中で、適度な休憩を提供することで、集中力を保ち、話の内容を整理する時間を作ることができます。特に重要な話題や決定事項を話し合う前にお茶を出すことで、一息ついてリフレッシュし、より良い議論ができるようになります。
最後に、訪問が終了する前のタイミングで再度お茶を出すこともあります。これは、訪問の締めくくりとして、再度感謝の意を示すためです。特に長時間の訪問や重要な会合の場合、最後にお茶を出すことで、訪問を心地よく締めくくることができます。
このように、客人へお茶を出す最適なタイミングは、訪問の状況や目的に応じて柔軟に対応する必要があります。
湯飲みと茶托は別々にお盆へ乗せて運ぶ
運ぶときは、最初から湯飲みを茶托に乗せておくのではなく、別々にお盆に乗せましょう。これは、運んでいる最中にお茶をこぼした場合に備えるためです。別々にしておけば、万が一のときも茶托を汚すことはないため、安心して運べます。
お客様のいる部屋に入ったら、サイドテーブルなどにお盆を置きましょう。ちょうどよい場所がないときには、下座のテーブルの端のスペースを使っても問題ありません。
そして、お盆の上で湯飲みを茶托にセットします。気付かないうちにお茶がこぼれている可能性もあるため、持参した布巾で湯飲みの底を軽く拭いてから置きましょう。湯飲みの底が濡れていると、飲もうとして持ち上げたときに茶托とくっついてしまう可能性があるため、意外と重要なポイントです。
出すときは右後方から
お茶を出すときには席の後ろに回り、右後方から出すのがマナーです。両手で茶托を持ち、右膝前の位置に置きましょう。テーブルが低い場合は膝を曲げて、体をかがめるようにして出すとスマートです。湯飲みに絵柄がついている場合は、絵柄が正面に来るようにしますが、無地や均一の絵柄であれば、向きを気にする必要はありません。
お茶を出すときには、「どうぞ」などの声を添えると好印象です。すでに会話が始まっているのであれば、邪魔になってしまうため言葉は出さないようにしましょう。
テーブルや椅子の配置によっては、後方に回ることが難しいケースがあるかもしれません。そのときは、「前から失礼いたします」などの声をかけてから出すようにしましょう。
スペースがない場合はお客様へ一声かける
打ち合わせなどの場合、テーブルの上に資料が置かれていることがあります。たくさん書類が広げられていると、ちょうどよいスペースがないかもしれません。
その場合は「失礼いたします」と声をかけて、スペースを空けてもらいましょう。場合によっては「そちらに置いてください」など、別の場所に置くよう指示される可能性もあります。
スペースがないからといって、社内の人間に目で合図をしたり、勝手に書類をどけたりするのは禁物です。失礼がありそうなときには、一声かけると覚えておきましょう。