蛍光灯2020年問題
2020年を最後に蛍光灯が店頭から姿を消すかもしれない。そんな憶測が波紋を呼んでいる。事実、主要メーカーは次々に蛍光灯器具や同ランプの生産中止を発表している。一般社団法人日本照明工業会に話を聞いた。
「すぐに蛍光ランプがなくなることはありません。ただし、LED化が進み、蛍光ランプの出荷数量が大幅に減っているのは事実です」
同会の最新統計データによるとLED照明器具の出荷数量は全体の99%以上を占め、蛍光ランプの出荷数量は十数年前の4分の1以下に推移した。なぜか? その背景には内閣府が2010年に閣議決定した「エネルギー基本計画」があり、2030年までに照明器具のすべてを高効率次世代照明(LED、有機EL)化することを目標に掲げている。
「今後の課題は残っている照明器具をLED照明器具に置き換えることです。古い蛍光灯器具が減れば、蛍光ランプの需要はさらに減るでしょう。それまでに照明器具をもっと便利で快適なものに進化させる必要があります。インテリジェントにつながるあかり、人にやさしいあかり快適など、新たな付加価値の創出が重点課題になると考えています」
照明の付加価値獲得の柱は、政府が推し進めるソサエティ5.0だろう。超スマート社会にあわせ、個々のライフスタイルに合わせた自然調光など照明のパーソナル化が進みそうだ。
国内主要メーカーの動向
蛍光ランプを取り付ける照明器具は、2019年に軒並み生産中止へ。同ランプの出荷数量も激減している。
照明器具の品種別出荷数量/金額(単月)
2020年度中に100%を目指す照明器具のLED化率は、2020年4月までに出荷量全体99.1%に達した。
取材・文/渡辺和博