マスクは新しい生活様式のマストアイテム。外に出るときにはマスク、人と会うときはマスク、オフィスでもマスク……といったように、マスクで過ごす時間が多くなり、場合によっては素顔でいることのほうが少ない日もあるかもしれない。
こうしたマスク着用の習慣化による健康トラブルを「マスクシンドローム」と医師が総称している。
今回、そんな「マスクシンドローム」の具体的な症状例とその対策について紹介していきたい。
マスク着用による諸症状の原因と対策(みらいクリニック院長・今井一彰氏)
今井一彰氏
みらいクリニック院長、
相田歯科耳鼻科内科統括医長、
内科医・東洋医学会漢方専門医副理事長、
NPO法人日本病巣疾患研究会副理事長
■新しい生活様式では“マスクシンドローム”に要注意
新しい生活様式では、マスクを習慣的に着用するようになったが、それは私たちの心身に“マスクシンドローム”とも言うべき症状をもたらしている。“マスクシンドローム”は、熱中症や肌荒れ、口臭など自覚しやすいものから、表情筋の衰え、口呼吸のリスク増加、咀嚼機会の減少など意識するのが難しいものまで様々で、マスク着用による不調の総称を指す。
■マスク生活がもたらす“健康トラブル”の原因
マスク着用の習慣化は多くの健康トラブル(=マスクシンドローム)をもたらす可能性があるが、特に下記2点によるものが多く、その症状は深刻なものばかりで注意が必要だ。
①口呼吸の増加
マスクは気道抵抗を高めるため口呼吸になりやすく、口呼吸は口内炎や歯周病の悪化のみならずアレルギー性疾患の増加にも繋がる。 <症状例:睡眠時無呼吸症候群、便秘、集中力の低下、頭痛 etc.>
②表情筋の衰え
マスクを常に着用していると、無自覚のうちに表情筋を使わなくなり、衰えていく。表情筋の衰えは、うつ状態など感情変化やひいては食事中のムセなど誤嚥の危険性に繋がる。<症状例:老化(ほうれい線、しわ、たるみ)、食事のムセ、うつ状態 etc.>
■子供は特に注意が必要!
大人も子供も、マスク着用の習慣化が健康トラブルを引き起こす可能性があることは変わらないが、子供は特に注意が必要だ。なぜなら、子供は健康面での症状に陥るだけでなく、将来の見た目にも大きく影響する可能性があるから。具体的には、「歯並びの悪化」や、「表情筋の衰えによる顔のたるみ」などが子供の顔つきに影響を及ぼす。また、いまの子供は幼いうちからマスクとともに生活をする“最初の世代”なので、特に注意が必要だ。
■マスク生活で健康的な身体を保つには日々の対策が必須!
マスク生活において健康的な身体を維持していくには、対策をしていかなかればいけない。そこで、手軽にできるおすすめの対策を紹介していく。
①ガムを噛む
ガムを噛むことで表情筋が鍛えられるほか、自然と鼻呼吸へと誘導されるので、口呼吸による症状の対策にもなる。また、口臭予防にもガムは効果的なのでおすすめ。
②コンブを食べる
ガム同様、噛むことで表情筋が鍛えられるほか、味覚も刺激して唾液もでるので、虫歯・口臭予防にもおすすめ。
③口元のエクササイズ
マスクが汚れないよう、口を閉じたまま舌を回す運動や、口を「い」と「う」のかたちに大きく動かす運動も、舌力がついて自然と口呼吸ができるようになるので推奨できる。
構成/こじへい