16普段、私たちがよく口にしている「ビール」には、様々な種類があることをご存じでしょうか?
世界の各ビールメーカーが発売しているビールの種類は100以上あるといわれており、製造方法や原材料などにより異なるビールの種類。今回は、そんなビールの種類について紹介していきます。
ビールは大きき分けて「ラガー」と「エール」の大きく分けて2つのタイプがある
ビールは主に麦芽とホップ、水とビール酵母から作られるお酒で、醸造酒に属します。
この酵母の種類により、ビールは大きく2つに分けられます。1つは「ラガー」と呼ばれるビールで、もう1つは「エール」と呼ばれるビールです
上面発酵酵母を使用して造ったビールをエール、下面発酵酵母を使用して造ったビールをラガーと呼びます。上面発酵酵母は15~20度で活発に発酵するのに対して、下面発酵酵母は5~10度と、上面発酵酵母よりも低い温度で活発に発酵します。
エールビールは豊かな香りで奥深い味わいのものが多く、ラガービールは喉ごしが爽やかなものが多いです。
ビールのスタイルって何? 100以上あるビールの種類!
エールビールとラガービールの違いがわかったところで、次はビールの「スタイル」について見ていきましょう。スタイルとは、エールとラガーをさらに細分化したものです。
その数はおよそ100種類以上といわれているため、すべてを把握しておくことは難しいかもしれません。しかし代表的なスタイルを知っておけば、海外旅行などでビールを注文する時、役に立つかもしれません。
日本では主流になっている缶ビールでもおなじみ! ラガービールの主な種類(スタイル)
異なる2つの醸造方法と「スタイル」という言葉の意味がわかったところで、続いては主なビールのスタイルを見ていきましょう。まずはラガービールからです。
ラガービールの種類:海外でも人気の「ピルスナー」
ピルスナーは、日本はもちろん世界でも多くの人に愛されているスタイルで、日本の大手ビールメーカーが発売している主要な銘柄の多くが、このピルスナーだといわれています。誕生したのは19世紀。現在は中央ヨーロッパのチェコ共和国に位置するボヘミア地方のピルゼン。市民醸造所で作られた「ピルスナーウルケル」がオリジナルとされています。ホップの効いた爽やかな香りと味わいが特徴的な淡色ビールです。
ラガービールの種類:口当たりがやわらかい「ドルトムンダー」
ドルトムンダーはドイツのトルドムントで生まれたといわれている淡色ビールで、ピルスナーを参考に造られています。似ているスタイルの「ボヘミアンピルスナー」、「ジャーマンピルスナー」、「ミュンヘナーへレス」と合わせて「ピルスナーファミリー」と呼ばれることも。ただし、麦芽を低温で2日間浸漬させたり、ホップの特徴を控えめにするなど、ピルスナーとは異なる部分もあります。ホップの苦みや香りは控えめで、口当たりが軽く、マイルドかつドライな味わいが特徴です。
【参照】キリンビール大学 ドルトムンダー
ラガービールの種類:コーヒーのような香ばしさ「シュバルツ」
黒ビールと呼ばれるビールはたくさんありますが、中でもこの「シュバルツ」は、まさに真の“黒ビール”と呼べるかもしれません。ドイツのバイエルン地方で古くから造られているシュバルツは、ドイツ語で「黒」を意味します。その名前のとおり、見た目は美しい黒色ですが、苦みは抑えめでラガー特有のシャープな味わいとなっています。コーヒーやチョコレートのような香ばしさを楽しんでみてはいかがでしょうか。
【参照】キリンビール大学 シュバルツ
ほかにもたくさんあるラガービールの種類
ラガービールには、ほかにもたくさんのスタイルがあります。「ドッペルボック(ドイツ)」は、麦芽の香りや甘みが強いのが特徴で、「ウィンナーラガー(オーストリア)」は程よい苦みと爽やかな飲み口が楽しめる赤銅色のラガービール。「アメリカンラガー(アメリカ)」はクセがなく、苦みは弱めでさっぱりとした味わい。
このように同じラガーでも、様々な香りや味わい、色が楽しめるのです。
フルーティな香りが特徴的なエールビールの主な種類(スタイル)
続いてはエールビールのスタイルについて見ていきましょう。豊かなコクとフルーティな香りが特徴のエールビールにも、たくさんの種類があります。
エールビールの種類:イギリス発祥の「IPA」
イギリス発祥のIPA(インディア・ペールエール)は18世紀末、イギリスからインドまでの長い航海に耐えられるように改良されてできたビールです。ビールの品質劣化を防ぐため、大量のホップを使い、アルコール度数を高めにすることで菌の増殖を抑えているのです。そのためホップ特有の苦みと香りが強い傾向にあるのです。
【参照】キリンビール大学 IPA
エールビールの種類:ドイツで生まれた「アルト」
ドイツのデュッセルドルフという都市で発展したといわれている、濃色ビールです。ホップの香味が効いており、アルコール分は4.5%〜5.5%。
【参照】ビール酒造組合 ビールの豆知識
エールビールの種類:ホップの香りが豊かな「ペールエール」
イギリス生まれの「ペールエール」は、18世紀にバートン・アポン・トレントという町で生まれました。ホップ特有の苦みとフルーティな香りが特徴的で、硬水を使います。ペールエールを飲む時には、グッと勢いよく飲むのではなく、少しずつ味わいながら香りや味を楽しみましょう。
【参照】キリンビール大学 ペールエール
まだまだある! エールビールの種類
ラガーと同じく、エールビールにも紹介したスタイル以外にも様々な種類があります。「スタウト(アイルランド)」は、麦芽化していない大麦を焙煎して作る、独特な苦みと香りが特徴の黒ビール。トラピスト会修道士の協会に認められたビールだけが名乗ることができる「トラピストビール(ベルギー)」は、アルコール度数が高い傾向にあります。「バーレイワイン(イギリス)」はアルコール度数の高さが特徴です。アルコール度数を上げるためには、長期醗酵と長期熟成が必要ですが、じっくりと熟成される過程で木樽の香りが移った、独特な風味が特徴です。
ほかにも様々な個性豊かなエールビールが発売されているので、ぜひ楽しんでみてくださいね!
クラフトビールって何? ビールの生産量ってどれくらい?
ここからはビールのエール、ラガーの違いやスタイル以外にも、知っておきたいビールの情報を紹介していきます。
そもそも「クラフトビール」とは
クラフトビールという名称は、大手のビールメーカーではなく、小さなビール醸造所で丁寧に造られたビールを「手工芸品(クラフト)」に例えて呼び始めたのが始まりとされています。日本においては1994年の酒税法改正によって、小規模なビール醸造所が全国に多数登場。これにより、多くの個性豊かなクラフトビール(地ビール)が誕生したのです。
【参照】キリン 酒税法改正により日本全国で「地ビール」が誕生する
よなよなの里 クラフトビールの定義
クラフトビールにはどんな種類がある?
紹介したとおり、クラフトビールは世界中の様々な醸造所で作られているため、種類も豊富です。
例えば日本の場合、長野県軽井沢町に本社を置くヤッホーブルーイングは、「よなよなエール」や「水曜日のネコ」といった個性豊かなクラフトビールを多く販売しています。オンラインショップでの注文も可能なため、クラフトビールを気軽に楽しみたい! という人は注文をしてみてはいかがでしょうか?
【参照】ヤッホーブルーイング
日本ではどれだけの量のビールが造られて、飲まれている?
キリンビールによると、2018年の日本におけるビールの生産量は、約510万8300klとなっているようです。これは世界第7位の生産量で、消費量は約510万8000klとなっています。
【参照】キリンビール大学 レポート 2018年 世界主要国のビール生産量
2018年 世界主要国のビール消費量
※データは2020年8月中旬時点での編集部調べ。
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文/髙見沢 洸