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投資制限のある国の株式が直接買える米国預託証券のメリットとデメリット

2020.10.01

2034年には名目GDPランキング予想では1位中国、2位米国、3位インドとなり、現在の1位米国、2位中国、3位日本から大きく変わります。ただ、大きな経済成長が見込めそうな中国やインドにいざ投資したいと考えても、投資制限があります。中国やインドの個別銘柄に投資したいと考えるならADRへの投資がおすすめです。

投資制限のある新興国株式市場

日本株式市場や米国株式市場は、基本的に外国人が自由に株式を取引することができます。例えば、米国株式を買うときにアメリカに住んでおらず、アメリカ本土の証券会社の口座を持っていなくても、取扱があれば日本の証券会社を通して自由に取引をすることができます。

一方新興国の中では、外国人が現地企業の株式へ投資したり、現地通貨を保有したりすることを規制している国があります。

例えば、中国本土株やインド株、ブラジル株は日本から投資をしようとしても自由に取引できません。

なお、中国市場は主に香港市場、上海市場、深セン市場の3つがあり、香港市場は外国人投資家の制限がなく香港ドル(米ドルに連動)で取引できますが、本土の上海A株と深センA株には外国人が投資できる株式数は発行済株式数の30%までとされており、個別銘柄では1銘柄あたり10%までしか保有できないという制限があるため、本土株の取引ができない日本の証券会社は多いです。

投資制限がある国の株式を米ドル建で買える

投資制限のある国に上場する現地株式に投資する方法として、ADR(米国預託証券)があります。

ADR(米国預託証券)とは、米国外の企業が米国証券市場で上場できる預託証券のことです。本物の現地株式は現地の銀行に保管されており、それを担保に米国銀行が預託証券を発行し、米国株式と同様に売買することができるようにしたものです。

ADR投資のメリット・デメリット

■メリット

1. 配当金が受け取れる

ADRはその裏付けとなる現地企業が配当を実施していれば、株数に応じて配当金を受取ることができます。配当金はまず現地通貨建の配当金が米ドルにかえられ、米ドル受取か円での受け取りか選べます。現地と米ドルの為替レート、さらに円受取なら米ドルと円の為替レートで換算されます。

配当金は現地で課税され源泉徴収で税金が差し引かれた後の金額を受け取れます(米国ではかからない)。さらに、日本で受取るときには国内の20.315%源泉徴収されます。

利益が非課税になる(一般)NISA口座で買付けした場合は日本国内分は非課税になります。

一方、NISA口座でない場合は現地と日本で課税されることで二重課税となります。確定申告により、外国税額控除を受けて二重になっている分の還付を受けることができます。

2. 個別銘柄投資できる

ADRは現地企業の全てを取り扱っているわけではありませんが、通常投資できない国の高成長銘柄に直接投資できることから、大きな利益を得られる可能性があります。

また、ADRは新興国の企業といえども、米国で上場する企業と同水準の条件を満たす必要があり、英語での情報開示が求められます。新興国企業の中でも大規模で優良な企業のみが揃っているため、安心して投資ができます(リスクが低いということではありません)。

3. 米ドル建

上海A株のようにADRを使わなくても直接個別銘柄に投資できる場合でもADRは米ドル建で取引できることにメリットがあります。

売却代金が米ドル建となることから、新興国株式を売却したときに売却代金を比較的安定している米ドルで保有することができます。

現地株に直接投資する場合にその新興国が外国人の通貨保有を制限している場合、株式の売却時円貨決済しなければなりませんが、ADRなら米ドルの外貨決済が可能です。

外国株式を売却するとき、円貨決済と外貨決済を選ぶことができますが、円貨決済は円にかえてしまうことで、外貨決済は外貨で売却し外貨で受取ることをいいます。

外貨を円貨にかえるとき、円貨を外貨でかえるとき、為替手数料がかかります。

株式の売却代金で他の外国株式を購入する場合、外貨のまま持ち為替手数料をできるだけかけずに取引するのが最適ですが、外貨を持てないことで円貨決済となってしまい、為替手数料が取引の都度かかってしまうと、取引コストが高くなってしまいます。

米ドル建で取引できれば外貨決済で米ドルで保有し、次は米国現地企業や他のADRに投資することもできます。

また、新興国通貨は米ドルと比べると為替手数料が非常に高いので、せっかく大きく値上がりしても為替手数料で利益が少なくなってしまうため、米ドルなら為替手数料のコストを安くすることができます。

■デメリット

1. 投資信託やETFのインデックス投資と比較してリスクが大きい

ETFで、新興国の現地株価指数に連動するインデックス投資が可能です。株価指数は現地の大企業など複数銘柄で構成されており、例え1銘柄が不祥事などを起こして大暴落しても他の銘柄が下がっていなければ価格の下落は抑えられます。

また、投資信託では、インデックスはもちろん、消費関連、IT関連などあるテーマに特化した複数銘柄に投資することもできます。

個別銘柄への投資は、新興国企業の株価変動幅が大きいことから、個別に投資することで大きなリスクがあります。

2. 為替リスクが二重にある

現地株式は現地の通貨建であることから、現地通貨と米ドルの為替変動の影響を受け、さらには売却時、配当受取時には米ドルと日本円の為替変動の影響を受けます。

3. 現地企業株式の株価と全く同じとはならない

現地通貨と米ドルの為替の影響を受けるのは上述の通りですが、米国に上場していることから米国株式市場の影響もうけます。為替や米国市場の影響から、現地の株価と乖離することがあります。

したがって、大きなトレンドはもちろん同じとなりますが、ある一点では株価が乖離することがあります。

どんなADRがありますか?

具体的におすすめのADRをご紹介します。米国株式を取り扱う証券会社で購入可能です。

■【中国】阿里巴巴集団(アリババ グループ)ADR(テッカーコード:BABA)

孫正義会長兼社長が率いるソフトバンクグループが出資しており、一時出資比率は3割を超えていたが一部売却し現在25%程度となっている。

アリババは、6億人以上の中国人消費者に向けたインターネットショッピングサイト運営、決済アプリ「Alipay」などから、中国企業が海外輸出を簡単にできるような企業向けのマーケットプレイス、マーケティング支援、物流やクラウドサービスなども手がけています。

■【中国】百度(バイドゥ)A ADR(BIDU)

中国語検索シェア第1位で、6億人以上の中国人消費者が検索するときに効果的な広告が可能です。企業から広告収入を得られ、検索データを基にした中国市場のマーケティングが可能です。

■【インド】インフォシス ADR(INFY)

世界で活躍するIT企業で、アウトソーシング、ソフトウェア開発を行う。最近では、ビックデータを分析デジタルソリューション分野に注力。

■【インド】タタ・モータース ADR(TTM)

インド発の自動車メーカーで、国内2位。ちなみに第1位はマルチ・スズキ・インディア。

■【ブラジル】ペトロブラス(ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス)ADR(PBR)

ブラジルの石油、天然ガス、エネルギー関連事業会社。南半球最大の石油採掘会社。

新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響で原油需要が減少し、原油価格が大幅下落した。原油価格を保つために減産協議を行うもシェアを拡大したい思惑から、協議が難航し一時マイナスとなる。2020念9月現在原油相場は落ち着いてきたもののまだ安い水準となっている。

なお、2018年には幹部が政治家に贈賄を促す汚職疑惑が発覚し、ブラジル連邦検察当局、米国SECに約970億円を支払っている。

新興国の個別銘柄に投資することは大きなリターンが得られる可能性があるものの、リスクも総じて高いため、余裕資金で運用しましょう。また、リスクを低減するなら、投資信託やETFなどの新興国の株式市場に連動するものに投資する手もあります。

文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。

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