突然の転勤や引っ越し、カード型定期券をモバイル端末のアプリに切り替える場合は、現在使用している定期券を「払い戻す」必要がある。しかし、実際にどうやって手続きをしたらいいのか戸惑う人は多いはず。
そこで本記事では、Suica定期券を払い戻しする際に必要な手続きや計算方法などを紹介する。新型コロナウイルスの影響で使用できなかった区間の払い戻しについても解説しているので、該当する人は参考にしてほしい。
Suicaの定期は払い戻しできる?
Suica定期券は、有効期間が1か月以上残っている場合にのみ払い戻しが可能だ。ただし、やむを得ない理由により定期券が不要となった場合は、有効期間開始日から7日以内に限り発売額から経過日数分の往復運賃+手数料220円を差し引いた金額が払い戻される。どこで手続きをするかは、カード型のSuicaかモバイルSuicaかによって異なる。
カード型のSuica定期券の場合
カード型Suica定期券の払い戻し手続きは、JR東日本エリアの駅窓口で対応している。JR東日本エリア以外の駅や券売機では取り扱いできないため注意しよう。
Suica定期券をSuicaごと払い戻しする場合、定期券部分の払い戻し金額と入金(チャージ)額の合計から手数料220円を差し引いた金額に、預かり金(デポジット)金500円を加えた額が返金される。
定期券部分のみ払い戻しをする場合は、定期券の払い戻し金額から手数料220円を差し引いた金額が返金される。払い戻し後は、チャージ額はそのままでMy suica(記名式)として利用可能だ。
【Suica定期券を払い戻す時の注意点】
・運転免許証などの公的証明書が必要。代理人が手続きを行う際は、名義人の委任状のほか代理人の証明書も必要。
・バス定期券の入ったSuica定期券の場合、バス営業所等でバス定期券を払い戻した後にJR窓口へ。
・JR東日本以外で発行された「りんかいSuica」や「PASMO」などは払い戻し不可。
モバイルSuica定期券の場合
モバイルSuicaアプリ、Google Pay、楽天Pay、Apple Pay で購入したモバイルSuica定期券は、窓口に行かなくても端末の操作のみで払い戻しの手続きができる。手続きはそれぞれのアプリによって違いはあるが、概ね以下の通り。
【モバイルSuica定期券の払い戻し手順】
1.アプリを起動し、払い戻ししたい定期券を表示させて選択する。
2.管理メニューなどで「払い戻し」を選択。内容が間違いないことを確認したら、決定して払い戻し完了。
3.払い戻し時の領収書が必要な時や払戻計算書を閲覧したい場合は、モバイルSuicaの公式ホームページの「会員メニュー」の「ご利用明細書(領収書)/払戻計算書」を確認。
通常、払い戻し金額はアプリに登録したクレジットカードに返金されるが、カード型から切り替えた定期券の場合は手続き中に指定した銀行口座へ返金される。モバイルSuicaは専用の問い合わせ先が設置されているため、手続きに不明な点があれば確認しよう。
モバイルSuica問い合わせ先:0570-78-3049(平日8:00~22:00)
払い戻しの計算方法は?
定期券の払い戻し金額は、発売額からすでに使用した月数分の定期運賃(1か月と3か月の定期運賃を組み合わせて計算)から、手数料220円を差し引いた額になる(ただし、1か月に満たない端数の日数は1ヶ月として計算される)。
例えば、4月1日から9月30日まで有効の6か月定期を8月20日に払い戻す場合は、「払い戻し額=6か月定期券発売額-(3か月定期運賃+1ヶ月定期運賃×2)-220円」。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う払い戻しは?
新型コロナウイルス感染拡大により休業や休校を余儀なくされ、一定期間定期を使用しなかった場合も払い戻しの対象となり、独自の計算方法が用いられている。
なお、この払い戻しは、新規の定期券の購入前か購入時に同時に済ませておくことが強く推奨されている。特に、払い戻しの対象になっている古い定期券の手続きを終わらせる前に、同一のSuicaを利用して新しい定期券を購入した場合は、データが書き換えられ払い戻しを受けることができなくなってしまうため注意が必要だ。
通学定期券(大学生等相当の通学定期券を除く)の払い戻しについて
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため実施された休校措置のため、通学定期券(新幹線定期券「FREXパル」を含む)を払い戻したい場合、2020年2月28日~5月25日の間を有効期間に含むものに限り、2020年2月28日以降の最終登校日をそのまま最終使用日とみなし、1か月単位で計算した額から手数料を引いた残額が払い戻し額になる。
ただし、それ以降にその定期券を利用した場合(チャージ額による乗車も含む)は、その日付が最終利用日とみなされる。最終利用日の時点で定期券の有効期限が1か月以上残っていれば払い戻しの対象になる。
通勤定期券、通学定期券(上記以外)の払い戻しについて
2020年4月7日に緊急事態宣言が発令されたことに伴い、通勤・通学定期券の払い戻しをする場合は、2020年4月7日~5月25日の間の日を有効期間に含むものに限り、2020年4月8日以降定期券を使用していない場合、次の該当する日に払い戻しの申請をしたとみなし1ヶ月単位で計算した残額から手数料を引いた額が返金される。
・有効期間の開始が4月7日以前の定期券→2020年4月7日(ただし、それ以降に使用した場合はその最終使用日)
・有効期間の開始が4月8日以降の定期券→未使用の場合は有効期間開始日の前日。使用済みの場合は最終使用日
いつまで、どこで払い戻しができる?
新型コロナウイルスの感染拡大による特別措置に基づいた定期券の払い戻し手続きは、2021年5月21日まで受け付けている。通常の払い戻しと同様に、カード型Suica定期券は窓口で、モバイルsuica定期券は端末操作で手続き可能だ。
ただし、使用最終日(4月7日以降)に払い戻し操作を行っておらず、払い戻し金額が少なくなってしまった場合は特例扱いとなり「会員専用モバイルsuicaお問い合わせフォーム」にて使用最終日を申告する必要がある。詳細は、以下の公式サイトで確認できる。
モバイルSuica よくあるご質問 「緊急事態宣言」発令に伴う定期券の払戻し対応について
文/oki