日本国内の危機的な環境問題ランキング
新型コロナの流行は、我々の住む社会がいかに「持続不可能」なものであったかを認識させるものだった。
同時に、一人一人の行動を変えることが、社会全体の動きを変えることにつながっていくことも、認識させてくれた。マスクや手洗いを一人一人が行うことで、社会としての新型コロナ対策へとつながっていくわけだ。
こうした経験に加え、自宅で過ごす時間が増えたことは、自宅で生み出されるごみの多さや、包装紙やプラスチックの多さにも目を向けるきっかけを与えることにもつながった。
普段はあまり意識することのない日常的な環境問題への意識の高まりは、次の行動を変えることにもつながっていくと思う。現段階では増加傾向にある家庭ごみを今後減らしていったり、電力消費が気候変動につながらないようにするためにはどのように行動すればいいのか。
今回、公益財団法人旭硝子財団は環境問題への危機意識および行動について把握するため、「第1回日本人の環境危機意識調査」を実施した。
調査では、今年7月のレジ袋有料化後に約6割がマイバッグを持ち歩くようになり、新型コロナウイルス感染症の流行後には、環境問題への意識や行動において約4割に前向きな変化が見られた。
日本国内の危機的な環境問題は、1位「気候変動」、2位「環境汚染」、3位「社会、経済と環境、政策、施策」となり、近年の豪雨災害や気温上昇などの異常気象および“気候危機”への懸念が明らかになった。
また、環境問題の意識や行動が進んでいると思う国として、1位日本、2位スウェーデン、3位オーストラリアと、自国の環境への取り組みに対して前向きなイメージを持っていることがわかった。
今回の調査では、日本は環境に対する取り組みが進んでいる国だという印象が強いことが示されたが、一方、「2020年版SDGsインデックス&ダッシュボード」における日本の評価は17位にとどまっている。他の国と比べれば、まだまだ改善の余地があるということなので、現状に満足せずに進むことが重要だ。
危機的だという意識の中に「社会、経済と環境、政策、施策」が入っていることは、環境問題解決と政治経済を一体化する必要性を示している。つまり、これから本当の意味での「持続可能な社会」づくりが始まることを示唆しています。新型コロナ危機を糧に、新たな社会へ向けて進んでいく時期に差し掛かったように思う。
監修者/慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授 蟹江 憲史氏
調査概要
調査目的 :日本国内の一般生活者の環境問題に対する意識や行動の実態を把握する
調査対象 :1,092名(18~24歳男女519名、25~69歳男女573名
調査地域 :全国
調査方法 :インターネットリサーチ
調査時期 :2020年8月1日(土)~8月2日(日)
有効回答数:1,092サンプル
調査主体 :公益財団法人 旭硝子財団
構成/ino.