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首都圏で利用できる交通系ICカード、SuicaとPASMO。どちらもあらかじめチャージをしておけば、改札にタッチするだけでバスや電車に乗車できたり、コンビニやスーパーでの買い物がキャッシュレスで行えたりと非常に利便性が高い。
本記事では、使えるエリアや用途にほとんど差はなく、同じように使えるこの2つのカードについて、それぞれのカードならではの特徴や利点を紹介する。
交通系ICカード・PASMOとSuicaの違いは?
PASMOとSuicaの一番大きな違いは発行元。PASMOが東急や京王、京急などといった私鉄・バス会社が中心となって発行しているのに対し、SuicaはJR東日本が発行している。
1枚でどちらのエリアも同じように利用できるため、使い分けをする必要はないが、例えば PASMOは東京メトロなどの私鉄、SuicaはJRの乗車でポイントが貯まるようになっている。これからどちらかを作ろうと考えている人は、自分がよく利用する路線が発行している方のカードを作っておくのがおすすめだ。
PASMOの特徴は東京近郊の私鉄をお得に利用できること
私鉄に強いPASMOは「東京メトロ24時間券」や「東急線ワンデーパス」など、各私鉄と連携したお得な切符の種類が豊富だ。関東近郊の私鉄を利用して出かける機会の多い人は活用したいところ。
また、チャージでポイントが貯まるクレジットカードの種類も多く、小田急・京急・京王・東急などの路線や百貨店を使う機会が多いなら持って損はない。さらに、東京メトロ・東京都交通局・東急電鉄はPASMOと連携することで乗車ポイントも貯めることができる。これらの路線によく乗車するならぜひ利用しよう。2020年より、iPhoneやAndroid端末に対応したモバイルPASMOもサービスが開始され、ますます便利になっている。
Suicaの特徴JR線や駅での買い物でポイントが貯まること
Suicaは、独自のポイントサービス「JRE POINT」を展開している。Webサイトで手持ちのSuicaやモバイルSuicaを登録すると、JR駅構内の自動販売機やコンビニ、LUMINEやNEWoManといった駅ビルでの買い物でポイントが貯まる。
また、JR線への乗車やグリーン券の購入、モバイルSuica定期券の購入でもポイントがつき、貯まったポイントで特定区間の新幹線や在来線特急の特典チケットを入手できるサービスも導入予定だ。JRの駅ビルやコンビニでよく買い物をする人や、出張などでグリーン券や新幹線を利用する頻度が高い人にはかなりおすすめ。
なお、モバイルSuicaはAndroid、iPhoneどちらにも対応しており、Apple watchで利用することもできる。
電車の利用で〝ポイ活〟ができることを知らない人は意外と多い。首都圏の「Suica」や「PASMO」はもちろん、実は関西の「ICOCA」や「PiTaPa」でも乗車...
相互利用について
2007年にPASMOとSuicaは相互利用サービスを開始し、手続き不要でさまざまなサービスを同じように受けられるようになった。主な内容は以下の通り。
・Suica、PASMO利用可能エリアの相互乗り入れ
・Suica、PASMOのどちらにも「バス定期券」や「連絡定期券」を搭載可能(ただし、発着駅がどちらもPASMOの駅の場合はPASMO、Suicaのみの場合はSuicaにしか搭載できない)
・双方のエリアでオートチャージを含むチャージを利用可能
・Suica、PASMO加盟店で電子マネーを相互利用可能
関東圏以外でも、JR東海が発行しているTOICAやJR西日本が発行しているICOCAなど、全国各地で発行されている交通系ICカードとの相互利用も可能だ(PiTaPaのみ電子マネーの全国相互利用には対応していない)。
ただし、オートチャージ機能は利用できないなどいくつかの制限がある点は覚えておこう。また、券売機で利用履歴の印字をする際、Suica・PASMOエリア以外の利用駅では詳細が表示されないため、領収書として使う場合は注意が必要だ。
バスではどちらも使える?
PASMOとSuicaはどちらもバスで利用可能だ。首都圏だけでなく、交通系ICカードの「全国相互シンボルマーク」がついている全国のバスで利用できる。ただし、異なるエリア間をまたぐ乗車の際には利用できない場合があるため、注意が必要だ。
また、全国のバス定期券を購入する場合は、希望路線の定期券を発行できるかどうかも確認しておく必要があるだろう。具体的な利用条件や制限については、バス会社の公式サイトなどに問い合わせよう。
定期券を作る場合は運行会社に注意
先述の通り、PASMOとSuicaでは発行元が異なるため、定期券を作る際には注意が必要だ。基本的にはJR東日本の定期券はSuicaのみで、JR東日本の区間から東京メトロ・都営地下鉄・私鉄に乗り継ぐ場合の定期券は、Suicaに搭載できる。
一方、PASMOに出資している鉄道会社の駅や、バス停から乗車する定期券はPASMOのみに搭載できる。なお、複数の鉄道・バス会社の路線を乗り継ぐための連絡定期券に関して、乗車駅がSuica事業者を含むPASMO定期券非発売事業者の場合は、基本的に購入できないことを覚えておこう。
【カード型・モバイル型別】PASMOとSuicaの作り方
全国で利用でき、今後もますます便利になっていくPASMOとSuica。ここでは、カード型とモバイル型に分けて、それぞれの購入場所や作り方について解説する。
PASMOの作り方
カード型の記名式PASMO・無記名PASMOは、いずれもPASMO取り扱い業者各駅の券売機や窓口で購入可能。鉄道やバスの定期券も同様に券売機や窓口で購入できるが、通学・小児用の定期券の新規購入、年度をまたいでの継続購入は窓口のみでの取り扱い。1枚のPASMOで、鉄道とバスの定期券がそれぞれ一種類ずつ購入できる。
モバイルPASMOは、対応のAndroid端末でモバイルPASMOアプリをダウンロードし、画面上の指示に従って手続きをして使用する。新規発行かカード型のPASMOからの移行から選択可能。
Suicaの作り方
カード型の無記名Suica、MY Suica(記名式)はSuicaエリア内にあるJR東日本の駅の多機能券売機、みどりの窓口で購入可能。大人用のSuica通勤定期券は同エリア内の指定席券売機、多機能券売機、みどりの窓口で、通学定期券やこども用定期券はみどりの窓口で購入できる。
モバイルSuicaを利用したい場合、モバイルSuicaアプリをダウンロードしてはじめる方法と、Googleペイ・楽天ペイ・Appleペイの各種決済アプリからモバイルSuicaを発行する方法がある。
PASMOからSuica、SuicaからPASMOに移行できる?
今使用している定期券などをPASMOからSuicaに変えたい時やその逆(SuicaからPASMO)の場合、移行は可能なのだろうか。結論としては、カード型のSuicaやPASMOを、もう片方にそのまま切り替えることはできない。
ただし、Suicaの定期券をモバイルPASMOに、PASMOの定期券をモバイルSuicaに切り替えることは可能だ。その場合は、新しい定期券をモバイルで購入した後、現在使用中の定期券を窓口に持って行き、払い戻し対応をしてもらう必要がある。モバイルSuicaとモバイルPASMOの定期券移行は、一部を除きアプリの操作のみで切り替えが可能。この場合も、手続き後は新しい定期券のみしか使えなくなる。
ちなみに、一部機種以外はモバイルSuicaかモバイルPASMOどちらかしか使用できないため、どちらも使いたい場合は対応機種かどうか確認しておこう。
文/oki