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評価の高さは本物か?乗ってわかった新型「レヴォーグ」の完成度

2020.09.26

 スバルの新型レヴォーグがまもなく10月15日に正式発売の予定だ。現在先行予約が行われており、多くの受注が入っていると聞く。各ディーラーにはまだ車両は配備されておらず、現在は先行展示イベントが各地で行われている真っ最中だ。そんな新型レヴォーグは注目すべき点は多い。なかでもスバルに初搭載された、「電子制御可変ダンパー」は走りながら、車のキャラクターを変化させ、シチュエーションに合わせた走りができる。そのダンパーを備えた車には、どのようなシーンが似合うのだろうか。

そもそも車のサスペンションとは

 車のサスペンションと言えば、路面の衝撃を吸収し、ステアリングからドライバーに路面状況を伝えることや、車の乗り心地を決めるなど重要なパーツだ。これがうまく決まらないと走り出してすぐに不安になってしまう車も少なからずあるが、今度のレヴォーグは今までのスバル車に無い進化をしたことによりそんな不安は感じない。

 サスペンションとは、オイルを含ませた筒のショックアブソーバー(ダンパー)と呼ばれる部分と、スプリングの部分がなパーツだ。スプリングは路面の凹凸などを受けて伸縮するが、スプリングだけだと伸縮が収まらずいつまでも車は上下に揺れたままになってしまう。そこでダンパーによってスプリングの伸縮を抑えることによって揺れを抑えるのが基本的な仕組みだ。ダンパーの筒の中にはたくさんのシムと呼ばれる円形の板が入っており、そこの隙間を通るオイルの量によって減衰力を調整している。またスプリングのバネ定数やスプリングの長さによっても伸縮は変わるので、その組み合わせは無限だと言っても過言ではない。その中でその車に見合ったサスペンションを作り上げるのは非常に大変かつ重要なことだ。

 サスペンションの減衰力は通常は固定されていて変化しないが、可変ダンパーでは減衰力を変更することが可能だ。車好きならアフターパーツの減衰調整式サスペンションなどで減衰が変えられるのはご存知だろう。ただこれは基本的に走りながら変化させることはできない。標準装備のサスペンションの場合、昨今の高級車には自動的に減衰力を調整できる機能を盛り込んでいるが、スバルもついに電子制御可変ダンパーを装着した。1秒間に500回の演算を行い、可変ダンパーのオイル流量をソレノイドバルブによって制御している。

 可変ダンパーを含む車の変化を、レヴォーグの開発責任者である五島プロダクトゼネラルマネージャーは「キャラ変」という現代的かつわかりやすい言葉で表現している。

開発者が「キャラ変」という仕組みとは

 今回展開されるグレードの中の一つ、STI Sportにこの電子制御可変ダンパーが搭載されている。ドライブモードセレクトという機能がそのキャラ変の正体だ。このドライブモードセレクトは純粋にサスペンションのセッティングを変えるだけでなく、様々な機能を一緒に変更する。

 エンジン出力特性のSI-DRIVE・パワーステアリング・ダンパー・AWD・アイサイト(ACC)・エアコンの6項目を組み合わせて、コンフォート・ノーマル・スポーツ・スポーツ+・インディビディアルと変化させる。

 コンフォートとはその名前の通り、エンジンの出力特性やパワーステアリングなどをコンフォートにして、穏やかで乗り心地の良い走りを実現している。そこから少しづつ変化させたノーマル、スポーツ、そして1番スポーツに振ったスポーツ+と変化する。インディビディアルはそれぞれの機能を自分好みに設定するので、お好きな組み合わせを作り上げることができる。

 レヴォーグSTI Sportは1台で高級車のような乗り心地から、同社のスポーツ車の最高峰、WRX STIのようなスポーツ走行までこなす。乗り心地(上下振動)を現行レヴォーグに比べてSTI Sportでは43%、スポーツ性(ロールレート)を26%向上している。スポーツ+ではAWDもスポーツモードに切り替わり、前後輪に対する駆動配分を変化させ高い旋回性能を実現する。またコンフォートモードでは、エアコンがマイルドに切り替わり、エアコンの除湿機能を少し弱め、車内が乾燥しすぎるのを抑えてくれる。これは女性にとってもありがたい機能だろう。

袖ヶ浦フォレストレースウェイで実感するキャラ変

 このキャラ変を、袖ヶ浦フォレストレースウェイというミニサーキットで体験した。

 最初にコンフォートで走り出すと、確かにしっとりとした落ち着いた乗り心地を感じられる。ロールは少し大きめに感じられるが、決して不快なロールではなく余裕があるロール量だ。コンフォートだからと言って、ただ柔らかいだけではなく、実はコンフォートでも可変ダンパーが瞬時の判断を行い、必要な場合は減衰力を上げていることもあり、コンフォートでも十分でないかと思える場面もある。

 次は一気にスポーツに振ってスポーツ+で走行する。するとエンジン出力もS#というものになり、エンジン回転も元気になりサスペンションも引き締まり、コーナーを攻めていけるという車に変化する。わざとコーナーの縁石に乗り上げても不快な揺れは無く、ボディは少しロールしているが、足回りがしっかり段差を吸収してくれて安定した姿勢でコーナーを抜けられる。試しに何度か縁石を踏んでみたが不安定にならず、安定した姿勢でコーナーを抜けていく。本当にWRX STIになったような感じだ。4輪のサスペンションの一つ一つがしっかり作動しており車体が変にぶれない。これは乗っていて楽しいモードだ。

 中間のノーマルとスポーツも試したが、この2つのモードに関しては変化点が少なく、その差を大きく体感できなかったが、一般道を普通に走るなら、このどちらかのモードを選んでおけば問題ないだろう。逆を言えば、もう少しだけそれぞれのモードをもっとキャラ分けして、コンフォートはとことんエコ、そしてノーマル、スポーティーに走りたいときはスポーツ。サーキットなどを走りたい時はもっと過激なスポーツ+など振り切った感じの変化でも良かったのではないかと感じられる。

 このキャラ変の足回りを支える、フルインナーフレームのスバルグローバルプラットフォーム(SGP)と言う、ボディ骨格の仕上がりに良さがあったからこそ、サスペンションの変化にも追従できるのも特筆すべき点だろう。

 キャラ変とは少しズレるが、新型レヴォーグのシート形状が自分にはとてもフィットし、コーナリングでロールさせても体がズレることもなく、肩周りや腰回りをしっかり保持してくれた。シート表皮はSTI Sportはボルドーカラーの本革仕様となるが、本革だからと言って滑るような感じはなくしっかりしている。そのこともあり乗り心地が良く感じられた部分もあるだろう。ちなみにボルドーカラーはSTI Sportのアイコンにもなっている。

走りに行きたくなる場所はどこだ?

 走りが良いというのは分かった。さてどこに走りに行くのがこの車に似合うだろうか。コンフォートでは足回りも柔らかくなり、乗り心地も良く程よく除湿するモードで車内も快適だ。小洒落た街中から郊外の道までどこでもカバーしてくれそうだ。個人的にはイジワルな設定だが低速域のトルクの出方、微振動も吸収する減衰の良さもあり、石畳の道でどのような走りをするかを見てみたい。

 スポーツ+するとワインディングを走りたくなるだろうが、小回りが多い峠を攻める。と言う車ではないので、大きい曲率でゆったりとコーナリングする高原のワインディングが似合うような気がする。往復の高速道路ではコンフォートで走り、高原のワインディングではスポーツ+にする。スポーツ+でハードかなと思えば普通のスポーツにすれば良い。と言ったシチュエーションごとに変えられるのが良い。

 1日楽しんだあとの帰り高速道路では新機能のアイサイトXを使い、全車速追従クルコンを使って走り、アクティブレーンチェンジアシストで自動的に車線変更も行える。帰りの高速道路にありがちな渋滞も、50km/h以下ならばハンズフリーで走ることも可能だ。疲れてうっかり寝てしまうような状況では、ドライバーモニタリングシステムが常にドライバーを監視し、ドライバーの異常を検知し警告を出してくれる。またドライバーに異常が起きた際には車が自動で止まってくれて周囲に異常を知らせる、ドライバー異常時対応システムが作動するなど、安全に関するシステムも搭載された。

 発進や加速、減速やコーナリングもプロドライバーが行うような自然なフィーリングで走るアイサイトX。ギクシャクしたアクセルやブレーキを踏むくらいなら、アイサイトXに任せた方がよっぽど快適に走れる、と思えるほど自然に走ってくれる。

 関東からだとつい箱根や信州などの高原を思い浮かべるが、この車ならどこまでも遠くまで走っても苦にならないだろう。中国地方や四国、九州の山並みを見渡せる高原やワインディング、東北や北海道のダイナミックな自然が残る中の道など、全国を走りたいと言う気持ちにさせてくれる。まだ見ぬ道を走りに行きたい。そう感じさせてくれる車だ。

■関連情報
https://www.subaru.jp/levorg/levorg/

文・撮影/雪岡直樹

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