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汚れを凍らせて溶かしてから洗浄する日立のエアコン「白くまくんX」の画期的な自動洗浄技術

2020.09.28

最新技術を取り入れたエアコンの最上位モデルは、室内の誰もが快適でいられるのはもはや当たり前。そのためか、この数年各メーカーがとくに力を入れているのがエアコン内部の清潔性向上だ。なかでも、内部クリーン機能にとくに力を入れているのが今年10月に発売予定の日立ジョンソンコントロールズ空調の「白くまくん」プレミアムXシリーズ2021年モデルだ。

銅素材の排水トレーで清潔性の死角をなくす

じつはエアコン内部で一番汚れが溜まりやすいといわれているのは「熱交換器」と呼ばれるパーツ。熱交換器は金属製の板をミリ単位で並べている構造のため、この板と板の隙間にホコリなどが溜まり、カビの温床となりやすい。また、隙間が狭いために人の手では掃除が難しいのも問題だった。そこでこの数年、各社のフラッグシップエアコンが搭載しているのが「凍結洗浄」という技術だ。これは熱交換器を凍らせて霜をつけ、この霜を溶かすことで熱交換器についたホコリやカビを水で洗い流すというものだ。白くまくんのXシリーズも2018年からこの凍結洗浄を搭載している。

今では多くのメーカーフラッグシップモデルが熱交換器の凍結洗浄機能を搭載しているが、Xシリーズ新モデルはさらにエアコン室内機内の排水トレーに注目した。排水トレーとは、熱交換器から発生する結露水などを受けるため、室内機底部に配置された細長い皿のようなパーツだ。熱交換器から発生した水は、一度この排水トレーで受けてそのままドレンホースを介して屋外に排出される仕組みになっている。

ただし、排水トレーは水が溜まる時間が長いため、トレー内部にカビの増殖やヌメリが発生しやすい。また、エアコン内部の風があたる場所でもあるので風で運ばれた汚れやカビ菌などが溜まるという問題もある。

日立によると排水トレーが汚れる部位はふたつあるという。ひとつが、トレーのフチである前面傾斜部分。この傾斜部は水と接しないので、汚れが流れることなくどんどん溜まってしまう。ふたつ目がトレーの底部分。トレーは水平に設置されているので、水は勢いよく流れることがない。このため、トレーに水が残ってカビが発生したり、ホコリなどの汚れが排水とともに流れずに残ることがあるのだという。

そこで、新モデルのXシリーズは排水トレーの素材に熱伝導性に優れた銅を採用。これにより、なんと熱交換器の凍結洗浄時に排水トレーも一緒に凍結できるようになった。以下は排水トレーの傾斜部分にわざとホコリ汚れをつけたデモンストレーションの写真だが、凍結洗浄後はホコリがすっきりと水で洗い流されているのがわかる。

もうひとつの進化が、排水トレーの形状の変化。従来までの排水トレーは底面がフラットな構造だったが、新モデルでは底面に2本の溝が切られている。この溝に水を集めて勢いを増加させることで、少ない水量でも汚れをしっかり屋外に押し流せるという。

このほか、銅素材は除菌効果や菌によるヌメリの抑制効果がある点も見逃せないメリットのひとつだ。

本格シーズン前にエアコンが自動でお手入れ

もう一つの新機能が「プレシーズンお手入れ」。この機能を有効にすると、夏本番前の5月ごろに自動的にフィルター掃除や凍結洗浄をはじめとしたクリーン運転を実施。さらに、故障の有無を自己判断する運転も行う。ここで異常がみられた場合はランプが点滅して知らせてくれるため、夏本番に故障が判明し、慌ててエアコンを買い替えるといった問題が解消されそうだ。

従来製品を引き継ぐ快適性の高さももちろん健在

ここまでは2021年モデルの新機能について説明したが、白くまくんXシリーズは従来モデルから快適性も高いエアコンだ。特徴的なのが「くらしカメラ AI」と呼ばれる複合センサー。これは画像カメラや温度カメラ、近赤外線LEDや湿度センサーなど、さまざまなカメラやセンサーを複合したシステムのことだ。これらのセンサーを駆使して、部屋にいる人間を識別し、それぞれの在室時間を把握。さらに体感温度の変化を予測して人が不快と感じる前に暑い寒いの感じ方に合わせてかしこく気流をコントロールできる。

さらに、除湿機能ひとつをとっても寒くならずに湿度を下げる「カラッと除湿」機能を搭載するほか、カメラで部屋に干している洗濯物を見つけて集中的に乾燥させたり、カビの発生しやすいエリアを狙って除湿する機能など、多くのシチュエーションで活躍する機能を搭載している。

エアコン内部は目に見えない場所だからこそキレイにしたい

今回、熱交換器と排水トレーの凍結洗浄について説明したが、じつは白くまくんXシリーズは従来から清潔性高さで人気のある製品だ。たとえば、回転ファンを「ファンロボ」とよばれる専用ブラシで掃除する機能や、室外機に内蔵された熱交換器まで凍結洗浄で掃除ができる機能など、他社のエアコンでは見られない機能も多い。

このほか、通風路やフラップ、フィルターに汚れがつきにくいステンレス素材を採用する「ステンレス・クリーン システム」も評価が高い。

最近のエアコンは、大きな部屋でも効率的に遠くまで気流を制御できるようになったが、反面エアコン内部にカビが発生していれば、カビが含まれた風を効率的に部屋中にばらまくことにもなる。「空気」は自分や家族が毎日大量に吸い込むものだけに、エアコンを選ぶ際は快適機能や便利機能だけではなく、清潔性にも注目してほしい。

製品情報

・市場推定価格:25〜40万円(税別)
・冷房能力:2.2kW〜9.0kW
・関連情報:https://kadenfan.hitachi.co.jp/ra/

取材・文/倉本 春

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