都内の人気紹介制フレンチレストラン「SUGALABO」でシェフとして活躍し、現在はカリナリープロデューサーとして活動する薬師神陸シェフが手掛ける、高級スイーツブランド『BRANCHÉ CHOCOLAT(ブランシェ・ショコラ)』が2020年9月9日に誕生した。
第一弾として『抹茶のCARRÉ AU CHOCOLAT(カレ・オ・ショコラ)』が販売開始し、早くも話題だ。
今までに体験したことがない、新感覚の味わいを楽しめるスイーツをご紹介したい。
『BRANCHÉ CHOCOLAT』の譲れないこだわり
フランス語で「繋ぐ」を意味するBRANCHÉと、チョコレートを意味するCHOCOLATから名付けられているブランドのコンセプトは、「本質的に良いものを広めていきたい」という思い。
その背景には、付加価値で売れているものが増えすぎているという、現代の食文化が抱える問題点があった。予約困難であることや、著名人が通っていることを付加価値として、価格が跳ね上がっていたり人気と称されていたりするものも少なくない現状に、薬師神シェフは違和感を覚えていた。だからこそ、味や料理が生まれたストーリーに向き合う大切さを伝えている。
『BRANCHÉ CHOCOLAT』のこだわりは、実際に日本各地へ足を運び、改めて素材を掘り下げ、食材の生産者と向き合うこと。また既知のものにとらわれず、存在感のあるたたずまいやシェアする喜び、口に運ぶまでの感動、食べた時の驚きも大切にしている。『BRANCHÉ CHOCOLAT』は、現代的かつ本物だけを使ったスイーツを届けるブランドだ。
『抹茶のCARRÉ AU CHOCOLAT(カレ・オ・ショコラ)』はどんな味?
同ブランドの第一弾の高級スイーツとして、抹茶のカレ・オ・ショコラが販売された。CARRÉはフランス語で「正方形」という意味だ。
テリーヌよりも濃厚で、生チョコよりも軽く滑らかな新感覚の抹茶のカレ・オ・ショコラの3つの特徴をご紹介したい。
甘さとコクが特徴の「八女茶」を使用
「八女茶」は高級玉露の産地として有名な福岡県・八女市で栽培される抹茶だ。特別なかぶせ製法で栽培された八女茶は、甘さとコクのある旨味の強さが特徴。今年行われた「全国茶品評会」では、八女市がかぶせ茶と玉露の2部門で全国一位となった。日本最高峰の抹茶を使用することで、ショコラの中で心地良く香り立つ。
濃厚ながらクリーミーで軽やかな食べ心地
生クリームと煮詰めたミルクをバランスよく配合し乳脂肪を控えることで、深い味わいながら軽やかな食べ心地を実現。また、福岡県産の梅酒を隠し味に加えることでショコラの甘みに輪郭を与え、シンプルながらも綿密に味を設計している。
食感の変化を楽しめる2層構造
薄く敷いた土台は、アーモンドを使用したフランスの伝統菓子の「パン・ド・ジェンヌ」に八女茶を加えている。外側を覆うクラムは、ホロホロとした舌触りが特徴で、中のショコラの滑らかさを引き立てる。伝統的なフランス菓子と日本の伝統素材のコントラストが素朴ながらも新鮮な味わいに。
薬師神シェフは完成するまでになんと50案以上のレシピを考案。「いつもスペシャルで誰からも愛される味」を探し続け、試行錯誤を重ねながら、茶葉本来の味がエレガントに引き立つレシピにたどり着いた。
抹茶のカレ・オ・ショコラとお酒のペアリング(筆者レビュー)
早速、抹茶のカレ・オ・ショコラを試食した。
まず、この金箔の箔押しが施されたパッケージにドキドキさせられる。指輪でも入っているのだろうか? と思うような、ジュエリーボックスのようなパッケージ。重厚感あるラグジュアリーなパッケージは、一から設計したとのことだ。
正方形はどこから見ても美しい。写真を撮る時にも、どこから撮っても綺麗に撮れるとのこと。この「ベストなビジュアル」も、どうしても譲れないこだわりだったそうだ。
口当たりはとてもなめらかで、舌の上ですぐにとろけるが、抹茶のコクとほどよい苦味がいつまでも口の中に残る。甘すぎず、生クリームとショコラのなめらかさを堪能しながらも、抹茶の旨みの強さもしっかりと感じる。
土台のアーモンドの香ばしさと抹茶の香ばしさが同調し、最後にほんのりと梅酒も香る。外側を覆うクラムも食感のアクセントとなりおもしろい。
生チョコよりも柔らかい印象。冷蔵庫で解凍するが、解凍状態によってはやや硬めなど好きな食べ方もできるのでは。
コーヒーや紅茶、煎茶などで合わせることが定番かもしれないが、「大人の高級スイーツ」ということで、筆者はお酒との相性を検証してみた。
担当者によると、「このお酒に合う」という組み合わせは特に推奨していないが、「キンキンに冷えたものよりは、常温またはあたためたお酒がベター」とのヒントをいただいた。
抹茶に合いそうなお酒の目星をつけながら、ペアリングを検証した。5段階評価でレビューしたい。
白ワイン、赤ワイン(ミディアムボディ)、赤ワイン(フルボディ)
日本酒(辛口)・・・「5」
常温の辛口の日本酒と合わせたが、早速だが一番合うペアリングとなった。抹茶のほろ苦さ、緑の香りと風味の広がりを感じながらも、最後は口の中がすっきりとする。とても綺麗に調和した。
日本酒(生酒)・・・「4」
室温に戻し、常温に近い状態のフルーティーな生酒と合わせた。こちらも抹茶の香りを感じるが、生酒のフルーティーさが余韻に残る。日本酒と合わせやすいとは言えそうだ。
梅酒…「3」
抹茶のカレ・オ・ショコラに梅酒が含まれているため、常温の梅酒のフルーティーさと合い、また飲み終わった後も抹茶のコクが余韻として残る。素敵な組み合わせではあるが、梅酒の後味が強いため、少し甘ったるくなる印象だ。
白ワイン(辛口)・・・「3」
キンキンに冷やし過ぎていない白ワインと合わせた。果実味や酸味が強すぎない、すっきりした辛口白ワインなら合うかも。抹茶のカレ・オ・ショコラの土台のアーモンドの香ばしさが引き立つ印象だった。
赤ワイン(ミディアボディ)・・・「4」
抹茶のほろ苦さと、赤ワインのほどよい渋みがうまく合う。抹茶のカレ・オ・ショコラのほろほろとしたクラムの食感が際立つ印象。
赤ワイン(フルボディ)・・・「1」
重たい赤ワインとの組み合わせは、ワインの味が勝ってしまい、互いの良さをかき消してしまった。
上記のレビューはあくまで個人的な感想によるが、秋の夜長に好きな音楽を聴きながら、お酒と一緒に贅沢に楽しむこともできるようなスイーツだ。
自分用にはもちろん、初めて見る宝石のようなパッケージは贈り物や手土産にも最適。2~4人向けだが、約2センチずつ3等分し、3人でシェアするくらいがちょうど良い量だと感じた。現在は通販サイトのみの販売となり、ギフトボックス入りのほかにも、エコボックスの販売もある。
2021年4月に「苺のカレ・オ・ショコラ」を販売予定
さらに今後の展開として、2020年11月に「和栗のカレ・オ・ショコラ」、2021年1月に「至極のカレ・オ・ショコラ」、2021年4月に「苺のカレ・オ・ショコラ」を販売予定。
どれも日本の食材を使って手掛け、商品ごとにパッケージの色も変わる。
見た目や食べたときの驚きや感動など、今までにない新しい体験がたくさん詰まっているカレ・オ・ショコラを楽しんで欲しい。
【商品概要】
・抹茶のカレ・オ・ショコラ GIFT BOX(税抜4980円)(贈答用)
・抹茶のカレ・オ・ショコラ ECO BOX(税抜3980円)(自宅用)
(内容量)1個(約200g)
(商品サイズ)約65mm×65mm×65mm(横×縦×高さ)
【『BRANCHÉ CHOCOLAT』ブランドサイト】
https://branche-chocolat.jp/
【取材協力】
タグピク株式会社
マルシェ株式会社
取材・文/Mami
(一社)日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート