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旧字の『廣』は、名付けにも利用可能な漢字です。子どもの名前は一生使うものなので、新字の『広』となった背景や意味を知ることも大切です。男女別に廣を使った名前を紹介するので、名前選びに迷ったときの参考にしましょう。
廣は広の旧字体
見た目の印象がかけ離れているため、廣が広の旧字だと知らなかった人もいるのではないでしょうか?新字で広となった背景や、2種類のつくりについて紹介します。
現在利用されるつくりは2種類
パソコンで広を変換すると、廣が出てきます。漢字の構成は『まだれ』と『黄』の組み合わせに見えますが、よく見ると黄ではないことが分かります。
まだれと黄を組み合わせた漢字も、間違いというわけではありません。フォーマルな文書や書籍など印刷物では旧字が使われていましたが、手書きなどでは黄を組み合わせた形で広く使われていたようです。
新字で広となった経緯
現在使用されている『広』の歴史は1946年からで、そう古くはありません。この年、常用漢字表を再検討する話し合いが行われました。その際に、簡易字体についても議論され、廣の簡易字体として『広』が提言されたのです。しかし話し合いの結果、適切ではないと判断され、そのときは採用には至りませんでした。
同年の当用漢字表にも、旧字の廣のみが収録されたのです。
47年には、『まだれに黄』とすることが検討されましたが、代わりに簡易字の『広』が採用されることに決まりました。48年には、広が『当用漢字字体表』に含まれたのです。
その後、広が常用漢字として用いられるようになり、現在に至っているというのが、おおまかな経緯です。
廣は名付けに利用可能
旧字には、名付けに使えるものと使えないものがあります。廣が名付けに使えるのは、どのような経緯があったのでしょうか?
人名用漢字に採用
常用漢字表が作られた際に、それまで名付けに使われてきた経緯が考慮され、廣の字も人名用漢字となりました。つまり、現在でも名付けに使える漢字の一つです。
先に述べた通り、まだれに黄を組み合わせた漢字もあり、こちらも名付けに使えます。ただし、元々は廣が正式であり、まだれに黄の漢字は外字扱いになります。そのため、通常のパソコンの漢字変換では表示されません。
フォントを変えることで、表示される場合もあるようです。しかし、近年はパソコンを使う機会が増え、名前を入力しなければいけないことも少なくありません。その都度フォントを変えたり、コピー&貼り付けをしたりするのは、面倒に感じることもあるでしょう。
廣はなぜ広になったのか
廣と広は似ても似つかないため、どのような経緯で『ム』が採用されたのか気になっている人もいるのではないでしょうか?字体を簡略化するために簡易字が検討されましたが、画数の多い黄を2画にするのは、かなり大胆な決断に思えるでしょう。
はっきりとした経緯は不明ですが、『ム』が使い勝手のよい万能な略字として扱われていたことが理由とされる説があります。例えば『拂』や『佛』も、それぞれ『払』と『仏』に簡略化されているのです。
また、『ひろい』と読める漢字には、宏・弘・紘などがあり、いずれも『ム』が付いていることにならったとされる説もあります。
廣の意味と使い方
子どもの名前に使う字を選ぶときに、漢字が持つ意味についても気になる人は多いでしょう。廣はどのような意味を持つ漢字なのでしょうか?男女別の名前例も紹介するので、名前選びの参考にしましょう。
意味は「広」と同じく広さを表す
旧字と新字という違いはあっても、音読みと訓読みに違いはありません。音読みでは『こう』、訓読みでは『ひろ(い)』『ひろ(まる)』などになります。意味も、広と同じで面積や範囲の広さを表します。
『心の広い人』『広く活躍する人』『広大な大地のように温かみのある人』『スケールの大きい人』『無限の広がりがある未来』といった思いを込めた名前に使えるでしょう。
廣を使った男の子の名前例
近年、名付けランキングの上位に入っている名前に、『こうき』があります。人気の名前は、他の子どもとかぶりやすいことがネックだと考える人もいるでしょう。人気の名前でも、あえて旧字を使うことで、オリジナリティを出せます。
こうきは、『き』に使える漢字が樹・紀・輝・季・喜・希・稀など、種類豊富なのもメリットでしょう。『こう』も人気の名前の一つなので、『廣(こう)』と一文字にするのもインパクトがあるかもしれません。
『こうせい』や『こうた』も人気の名前として挙げられているので、『廣生』や『廣太』などと表記できます。『〇廣』というように、後半部に付ける名前もバリエーション豊富です。
廣を使った女の子の名前例
女の子の名前に『廣』が付くのは、男の子の名前以上に珍しいため、印象に残る名前になるというメリットがあります。
『廣菜(ひろな)』や『廣果(ひろか)』などは、音の響きが今風でありながら、旧字が使われているというギャップもインパクトがあるかもしれません。どちらも、後に続く漢字の種類が豊富なのもおすすめのポイントです。
『千廣(ちひろ)』や『真廣(まひろ)』というように後半部に付くと、響きはかわいらしいですが、漢字の持つイメージからは凛とした強さを感じる名前になります。
構成/編集部