昔からの“猫の常識”、今はこんなに違ってた!
「猫は自由を求める動物」「猫は孤独でも平気」「猫は人より家につく」などなど、昔からいわれている猫のイメージってありますよね。
でも実際に猫と暮らし始めたら「本当かな?」と思うこともしばしば…。どうやら、昔の外飼いが普通だった猫と、今の完全室内飼いの猫は、かなり変わっているようなんです。
○猫は、外の世界の自由を愛する動物
◎できるだけ動かずじっとしていたい
昭和時代の映像を今観て違和感を抱く2大ポイントは、「いつでもどこでも煙草をスパスパ吸ってる人」と、「外をのんびり歩いている猫」の多さではないでしょうか。ご存じのように日本では2005年から「動物愛護管理法」で「猫は屋内飼養に努めること」と明記されるようになり、(地域で保護している「地域猫」を除いては)室内飼いが圧倒的に多くなっています。年配の方の中には、「猫は外を自由に歩き回りたい動物」「閉じ込めるのはかわいそう」という見方をする人もいますが、動物行動学の専門家の意見は正反対。
猫は野性でも地上と樹上の縦方向の移動が多く、もともと広い範囲を歩きまわりたがる動物ではない」というのです。にもかかわらず、昔の外飼いの猫やノラ猫が外をぶらぶら歩きまわっている印象が強いのは、食料と安全な場所を探しまわり、自分の縄張りをパトロールする必要があるため。
逆に言えば食料と安全さえ確保されていれば、猫は「できるだけ動かずじっとして、次の狩りのために体力を温存していたい」と思っているのだそうです。
✖猫は孤独を愛する動物
◎状況によっては集団生活を選ぶ
猫は基本的に、親から独立した後は単独で行動する動物。そのため “孤独を好む”というイメージが強いのですが、じつは、状況次第では集団生活も柔軟に行っていることがわかっています。状況とはズバリ、食料が豊富にあること。都市部などの優良な餌場などでは、争わず、ゆるい集団生活を送っている猫たちがいます。本来は単独生活を送る動物なのに、臨機応変に生活スタイルを変えることができるのも、猫が世界中で生き延びている理由のひとつでしょう。
またノラ猫では、子育てをしているメスで血縁関係にある猫たちが同じ場所に住みついて、共同保育を行うことがあります。中には血縁関係にあるメス同士が発情期の時期を同調させ、同時期に出産するようにしていっしょに子育てをする場合さえあるそうです。
✖猫は集会を開いて、情報交換をしている
◎集会の目的は謎
餌が豊富でノラ猫がたくさん集まる地域では、“猫の集会”がよく見られました。コミックや映画では、こうした猫の集会で、猫同士が語り合ったり、情報交換をしたりするシーンがよく描かれています。でも実は、猫の集会で猫同士が何かアクションを起こすシーンはほとんど見られず、ただ黙って何時間も立ちつくしているだけ。いったい何のために集まるのか、動物生態学の研究者の間でも大きな謎とされています。
『ねこの秘密』という本の著者で動物生態学の研究者である山根明弘さんが、猫の集会の目的を探ろうと観察を繰り返した時は、どんなに長時間観察してもまったく動きが無いので、とうとう行動の分析はできなかったとか…。
✖ノラ猫はケンカ好き
◎仁義を重んじる平和主義者
猫は基本的にケンカを好まない動物。というのもケンカで怪我でもしたら、狩りができなくなり、生死にかかわるからです。そのため、集団の中ですれ違っても極力目を合わせないようにしますし、それが礼儀。もしケンカに発展しそうになっても鳴き声だけで決着をつけようとします。小さな子猫でも、びっくりするようなドラ声を発することがあるのは、そのためです。また、こうした“鳴き声対決”をするため、「ノラ猫はしょっちゅうケンカをしている」というイメージがついたのでしょう。
鳴き合いで決着がつくとすぐに、敗れたほうは降参のポーズをとるなどして、その後に同じ猫同士で争うことはありません。いわばそれが、猫の“仁義”。小さなことでキレやすい人間よりも、よっぽど平和主義者なんですね。
文/桑原恵美子(PETomorrow編集部)
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