猫の「伸び」には4つの理由があった
ヨガの「猫のポーズ」は、猫が前脚をぐーーーっと伸ばしてお尻を高く突き上げ、背中を反らすあの「伸び」のポーズから来ています。このポーズには、背中や肩まわりの凝りをほぐしてくれる効果がありますが、じつは猫の「伸び」にも4つの効果があるのです。
伸びの理由1…目覚めの準備運動
猫は野性では単独行動をしていました。近くにいて危険を教えてくれる仲間がいませんので、何か危険を感知したら、俊敏に行動しなければなりません。「伸び」は眠っている間に固まってしまった筋肉や関節を伸ばし、俊敏に運動するための準備運動にあたるのです。ちなみに寝起きの「伸び」は、以下の動作がセットになっていることが多いです。
あくび→手足のストレッチ→全身ストレッチ→毛づくろい
またこの動作により、猫の大脳が活性化し、意識がはっきり覚醒することも脳外科の研究でわかっています。私達が朝目覚めた時、のびをすると頭がはっきりする気がしますが、猫も同じなんですね。
伸びの理由2…体温の上昇を防ぐ
猫は汗腺の数が限られた部位にしかなく、人のように汗をかくことで体温を下げることができません。そのため体をぐーっと伸ばすことで放熱できる面積を最大に広げ、体温を下げようとしているのです。
伸びの理由3…リラックス
人間もリラックスすると、体がだらっと伸びた状態になり、逆に緊張していると体が縮こまります。猫も同じ。警戒心の強い猫が縮こまらずに、体をだらっと伸ばしている時は、安心してリラックスしている状態なのです。
ちなみに猫の関節はとてもやわらかく、ゴムのように伸びます。関節と関節の間は通常時の2倍くらいまで伸び、背骨の関節が全ての美きると体長が1.3倍くらいになり、胴体は上下2方向に伸びます。
伸びの理由4…ストレスをなだめる
ジャンプに失敗した、お気に入りの場所に別の猫がいた、おやつが落ちていると思ったらゴミだった…・。こんなプチストレスを感じた時、猫は急に毛づくろいをしたり、爪とぎをしたり、伸びをしたりします。これは「転移行動」といって、一時的にイラッとした時に、日常よくする行動をとることでイライラを抑え、心の平穏を保とうとしているのです。
私達がイライラした時に、紙に意味のないいたずら書きをしたりす
文/桑原恵美子(PETomorrow編集部)
参考資料/「ねこの秘密」(山根明弘著・文藝春秋)「ねこの事典」(監修/今泉忠明、成美堂出版)「キャット・ウォッチング~ネコ好きのための動物行動学~Ⅱ」(デズモンド・モリス著・羽田節子訳/平凡社)
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